不動産売買仲介の修繕履歴表 エクセル無料テンプレート 一棟アパート・マンション売却で買主に渡す書き方・記入例 アイキャッチ
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修繕履歴表エクセル無料テンプレート|一棟アパート・マンション売却で買主に渡す書き方・記入例【不動産売買仲介】

修繕履歴表の無料Excelテンプレートを記入例つきで配布。一棟アパート・マンションの売却で、屋上防水・外壁・給排水・設備の工事の時期と費用を1枚にまとめ、買主の「次の大きな修繕はいつ?」に答えられる形にします。売主から履歴を集める手順と、重要事項説明との関係も解説します。

修繕履歴表修繕履歴一棟アパート一棟マンション収益物件テンプレート売買仲介

内見を終えた買主の担当者から、仲介会社に電話が来ます。「屋上防水は前回いつやりましたか。給水ポンプは入れ替えていますか。それによって、修繕の予算と融資の相談の仕方が変わるので」。売主に聞くと、「10年くらい前に、外壁と一緒に何かやったと思う」。領収書はどこにあるか分からず、管理会社にも問い合わせが要ります。返事を待つあいだに、買主の熱は少しずつ冷めていきます。

修繕履歴表は、この「いつ・どこを・いくらで直したか」に、問い合わせが来る前に答えておくための表です。工事の年月・部位・内容・施工会社・費用・保証・残っている書類を1工事1行でまとめ、販売資料と一緒に買主へ渡します。

この記事では、一棟アパート・一棟マンションの売却で修繕履歴表が求められる理由と、区分マンションの修繕の記録との違い、重要事項説明・告知書との関係、書く項目と記入例、国土交通省のガイドラインを使った次の修繕の目安、売主から履歴を集める段取り、よくある失敗を、事業用・収益不動産の売買仲介の実務に沿ってまとめます。

記事の最後まで読まなくても使えるよう、記入用の表、全16戸の賃貸マンションの記入例、次の修繕の目安を自動で出すシート、売主への聞き取り票を、Excelにまとめて無料で配布しています。

無料テンプレート

修繕履歴表テンプレート(Excel・記入例+次の修繕の目安・売主への聞き取り票つき)

一棟アパート・一棟マンションなど収益物件の売却で、売主から建物の修繕の記録を集めて買主に渡すための表。物件の情報と、工事の年月・部位・工事の種類・内容・施工会社・費用・保証・残っている書類・情報の出どころを1工事1行で書け、費用の合計は自動で出ます。鉄筋コンクリート造・全16戸の賃貸マンションの記入例、部位ごとに最後に工事した年を入れると経過年数と国土交通省のガイドラインの修繕周期の例と比べた判定(まだ・もうすぐ・目安の範囲・目安を過ぎた)を自動で出す「次の修繕の目安」、集める書類と売主に聞くことをまとめた聞き取り票も収録しています。

入力いただいたメールアドレスに、テンプレートのご案内とスマッチュの活用情報をお送りします。配信はいつでも停止できます。プライバシーポリシー

この記事の要点

  • 修繕履歴表は、一棟の収益物件の売却で、建物のどこを・いつ・いくらで直したかを1工事1行でまとめ、買主に渡す表です
  • 区分マンションの修繕の記録は管理組合が持っていますが、一棟の物件では売主か管理会社しか持っていません。売主が作っていなければ、仲介会社が一緒に集めます
  • 重要事項説明で説明するのは、確認済証・検査済証・定期調査報告などの書類が残っているかです。一般の修繕の履歴の表は義務ではありませんが、買主と金融機関の判断の材料になります
  • 書く欄は、工事の年月・部位・工事の種類・内容・施工会社・費用・保証・残っている書類・情報の出どころの9つ。記憶だけの行は、出どころで分けます
  • 国土交通省のガイドラインの修繕周期の例と経過年数を並べると、次の大きな修繕の時期の目安を、断定せずに示せます

「屋上防水はいつ?」に答えられない売却

一棟の収益物件を買う人が知りたいのは、買ったあとに、あといくらかかるかです。家賃の収入から修繕の支出を引いたものが、手元に残るお金だからです。修繕の記録は、その支出を見積もるための一番の材料になります。

誰が修繕の記録を何に使うか記録がないと
買主(投資家)買ったあとの修繕の予算と、利回りの見直し大きな修繕が近いと考えて、その分を値段から引こうとする
金融機関融資の審査で、収支の見通しと建物の状態を確かめる追加の資料を求められ、審査が長くなることがある
買主側の仲介会社買主への説明と、ほかの物件との比べ方「記録がない物件」として、比べる候補の後ろに回される
管理会社(買主が引き継ぐ場合)次の点検と修繕の計画を立てる一から建物を調べ直す

記録がない物件は、悪い物件とは限りません。ただ、買主から見ると「分からない」は「高くつくかもしれない」と同じ意味になります。屋上防水を3年前にやり直している物件でも、それを示せなければ、20年以上何もしていない物件と同じ目で見られます。

答えられないと、値引きの材料になる

修繕の記録がないとき、買主は安全側に見積もります。たとえば外壁の塗り替えと屋上防水が「まだかもしれない」と考えれば、その工事の費用を値段から引こうとします。売主がその工事をすでに済ませていたなら、払わなくてよい値引きです。

逆に、記録が揃っていれば、「2010年に外壁と屋上防水をやっていて、保証の書類も残っています。次の大きな工事の目安はこのくらいです」と、買主が聞く前に言えます。値段の話を、記録をもとにした話に変えられます。

一棟の物件で、とくに困る理由

区分マンションでは、管理組合が修繕の記録と長期修繕計画を持っていて、仲介会社は管理会社に重要事項の調査を頼めば取り寄せられます。一棟アパート・一棟マンションには、その仕組みがありません。売主が個人の投資家で、管理会社に入居者の対応だけを頼んでいる場合、建物の工事の記録は、売主の家の書類の箱の中にしかないこともあります。

収益物件の販売資料では、レントロール(部屋ごとの賃料の一覧)と並んで、修繕の記録が「収支の見通し」の材料になります。レントロールの作り方は、こちらにまとめています。

修繕履歴表とは|誰が作り、誰に渡すか

修繕履歴表は、建物の工事の記録を、年の順に1枚の表にまとめたものです。決まった書式はなく、売主が自分で作っていることもあれば、管理会社が作っていることもあります。売却のときに仲介会社が作り直すことも多い書類です。

項目内容
何を書くか建物のどこを・いつ・どんな工事で・いくらで直したか。保証と、残っている書類
誰が作るか売主(か、建物を管理している管理会社)。売主が作っていなければ、仲介会社が売主と一緒に作る
誰に渡すか買主・買主側の仲介会社・融資を頼む金融機関
いつ渡すか販売資料と一緒に渡すか、詳しい資料として、秘密保持の約束を取り交わしたあとに渡す
決まった書式ない。工事1件を1行にして、年の順に並べるのが読みやすい

区分マンションの修繕の記録・長期修繕計画との違い

修繕履歴表と似た書類は、ほかにもあります。役割が違うので、混ぜないようにします。

書類誰が持っているか中身一棟の売却での使い方
修繕履歴表(この記事の表)売主・管理会社終わった工事の記録販売資料と一緒に買主へ渡す
管理組合の修繕の記録区分マンションの管理組合共用部分の終わった工事の記録一棟の物件には無い
長期修繕計画区分マンションの管理組合(一棟の物件では、作っている売主は少ない)これから先の工事の予定と費用作ってあれば添える。無ければ、修繕履歴表の「次の修繕の目安」で代わりに目安を示す
建物状況調査(インスペクション)の報告書依頼した人ある時点の建物の劣化の状況売る前に調査していれば添える
告知書(物件状況等報告書)・設備表売主が書く雨漏り・故障など、売主が知っている建物の状態と、付いている設備売買契約のときに買主へ渡す

修繕履歴表は「過去にしたこと」、長期修繕計画は「これからすること」、建物状況調査は「いまの状態」です。買主はこの3つを合わせて、買ったあとの支出を考えます。売主が長期修繕計画を作っていない一棟の物件では、修繕履歴表に経過年数と目安を添えるだけでも、「これから」の見当をつける材料になります。

重要事項説明・告知書との関係

修繕履歴表は、法律で決まった書類ではありません。ただ、重要事項説明と告知書の中身とつながっているので、食い違わないように作ります。

重要事項説明で説明すること

宅地建物取引業法第35条第1項第6号の2は、既存の建物の売買で、2つのことを重要事項として説明するよう定めています。1つは建物状況調査をしたかどうかと、した場合の結果の概要。もう1つは、設計図書・点検記録その他の建物の建築と維持保全の状況に関する書類で、国土交通省令で定めるものの保存の状況です。

その書類は、同法施行規則第16条の2の3に並んでいます。対象は住宅の売買です。

号書類
一建築確認の確認申請書・確認済証
二検査済証
三建物状況調査の結果の報告書
四建設住宅性能評価書
五建築基準法の定期調査報告・定期検査報告の書類
六昭和56年5月31日以前に着工した建物の、耐震の基準に合っていることを示す書類

一般の修繕工事の記録(屋上防水や外壁の塗り替えの契約書・請求書など)は、この一覧に入っていません。つまり、重要事項説明で「修繕履歴表がある・ない」を説明する決まりはありません。それでも、この一覧の書類と修繕の記録は、売主の同じ書類の箱から出てくることが多いので、集めるときは一緒に探します。

区分所有建物の売買では、別に「一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容」を説明します(同法施行規則第16条の2第1項第10号)。一棟の物件の売買にはこの項目がないことも、修繕履歴表を任意で作る理由の1つです。

重要事項説明の項目を全体で確かめるときは、こちらのチェックリストが使えます。

告知書・設備表との役割の分け方

告知書(物件状況等報告書)には、雨漏り・シロアリ・給排水の故障など、売主が知っている建物の状態を書きます。修繕履歴表には、その不具合を「いつ・どう直したか」を書きます。2つは表と裏の関係です。

書類書くこと食い違いの例
告知書雨漏りが「過去にあった」、いまは「直した」修繕履歴表に、その雨漏りの工事の行がない
修繕履歴表2010年に屋上防水を修繕告知書の雨漏りの欄が「知らない」になっている
設備表給湯器は「付いている・故障なし」修繕履歴表で、同じ給湯器を去年取り替えている(問題はないが、取り替えた年を設備表にも書くと親切)

告知書で「過去に雨漏りがあった」と書くなら、修繕履歴表の同じ時期に直した工事の行があるはずです。売主が告知書を書く前に修繕履歴表を作っておくと、記憶の食い違いを先に見つけられます。告知書と設備表の書き方は、こちらにまとめています。

書く項目と記入例

修繕履歴表に書くのは、物件の情報と、工事1件ごとの行です。配布のテンプレートの欄は次のとおりです。

物件の情報

欄書くこと
物件名・所在地販売資料と同じ表記
構造・階数・戸数鉄筋コンクリート造・地上4階建て・全16戸、のように
竣工年と月。次の修繕の目安で、工事をしたことがない部位の基準になる
作成日・作成者いつ・誰が作った表か
売主の確認売主が内容を確かめた日

工事1件ごとの欄

欄書くこと注意
工事の年月工事が終わった年と月日付で入れると「2010年10月」と表示される
部位屋上防水・外壁・シーリング・鉄部塗装・給水設備・排水設備・消防設備・昇降機・専有部の設備など一覧から選べる。同じ年の工事でも、部位ごとに行を分ける
工事の種類点検・補修・修繕・塗替・打替・更生・取替「取替」と「補修」では、次の工事までの年数がまったく違う
工事の内容どこを、どんな方法で「防水工事」ではなく「屋上の露出防水(ウレタン)の重ね塗り」のように
施工会社頼んだ会社の名前保証の確かめと、記録の問い合わせ先になる
費用(税込)工事1件の金額分からなければ空欄。推測の金額は書かない
保証年数と期限の年月「10年(2020年10月まで)」のように期限を書く
残っている書類見積書・契約書・請求書・領収書・保証書・写真何が残っているかで、買主への渡し方が決まる
情報の出どころ売主の保管書類・管理会社の記録・施工会社に照会・売主の記憶・確定申告の明細記憶だけの行を分けるための欄

記入例(全16戸の賃貸マンション)の読み方

テンプレートの記入例は、1998年3月に竣工した鉄筋コンクリート造・地上4階建て・全16戸の賃貸マンションです(物件名・会社名・人名・所在地・金額はすべて架空)。10件の工事のうち、主なものを抜き出すと次のとおりです。

工事の年月部位工事費用(税込)ポイント
2004年9月鉄部塗装塗替1,320,000円2017年・2024年にもしている。直近の2回は7年おきで、周期の例(5〜7年)の範囲
2010年10月屋上防水修繕3,850,000円保証10年は2020年10月で切れている。次の工事の時期を考える材料
2010年10月外壁塗替12,100,000円同じ年の大規模修繕でも、部位ごとに行を分ける
2010年10月シーリング打替2,420,000円外壁と同じ周期で見られる
2013年8月給水ポンプ取替1,980,000円取替の周期(14〜18年)に近づいている
2019年11月インターホン取替2,860,000円入居者の満足に関わる設備。取り替えた年を書くと、買主に伝わりやすい
2021年3月消防設備取替990,000円自動火災報知設備の受信機。点検の報告書も残っている
2023年7月専有部の設備取替198,000円203号室の給湯器。確定申告の明細から拾った行

10件の工事の合計は28,908,000円で、表の上に自動で出ます。この例から買主が読み取れるのは、「2010年に大規模な修繕をしていて、鉄部は周期どおり、設備も順に入れ替えている。ただし屋上防水と外壁は前回から16年たち、保証も切れている」ということです。売主にとっては不利に見える情報もありますが、書いておけば、買主が「もっと悪いかもしれない」と考える余地をなくせます。

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修繕履歴表テンプレート(Excel・記入例+次の修繕の目安・売主への聞き取り票つき)

一棟アパート・一棟マンションなど収益物件の売却で、売主から建物の修繕の記録を集めて買主に渡すための表。物件の情報と、工事の年月・部位・工事の種類・内容・施工会社・費用・保証・残っている書類・情報の出どころを1工事1行で書け、費用の合計は自動で出ます。鉄筋コンクリート造・全16戸の賃貸マンションの記入例、部位ごとに最後に工事した年を入れると経過年数と国土交通省のガイドラインの修繕周期の例と比べた判定(まだ・もうすぐ・目安の範囲・目安を過ぎた)を自動で出す「次の修繕の目安」、集める書類と売主に聞くことをまとめた聞き取り票も収録しています。

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次の修繕の目安を添える

修繕履歴表は過去の記録ですが、買主が本当に知りたいのは「次はいつか」です。そこで、部位ごとに最後に工事した年から今年までの年数を出し、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)の修繕周期の例と並べます。

ガイドラインの修繕周期の例

ガイドラインには、長期修繕計画の標準様式の記載例として、工事ごとの修繕周期の例が載っています。主なものは次のとおりです。

部位工事周期の例
屋上防水補修・修繕12〜15年
屋上防水撤去・新設24〜30年
外壁塗装塗替12〜15年
シーリング打替12〜15年
鉄部塗装(雨掛かり部分)塗替5〜7年
給水管・排水管更生19〜23年
給水管・排水管取替30〜40年
給水ポンプ補修/取替5〜8年/14〜18年
貯水槽取替26〜30年
電灯設備取替18〜22年
インターホン設備取替15〜20年
自動火災報知設備取替18〜22年
昇降機補修/取替12〜15年/26〜30年

「目安」として示し、断定しない

この周期は、新築マンションを例にした目安です。ガイドラインも、修繕周期は建物の仕様や立地などに応じて決め、見直すときは劣化の状況の調査・診断の結果に基づいて決めることが必要だとしています。木造や鉄骨造のアパートでは、使っている材料が違うので、そのまま当てはまらないこともあります。

そのため、テンプレートの「次の修繕の目安」は、工事が「必要」とは書かず、経過年数と周期の例を比べた4段階の判定だけを出します。

判定決まり買主への伝え方の例
まだ周期の例の下限の2年前より前前回の工事から日が浅い
もうすぐ下限の2年前から数年のうちに目安の時期に入る
目安の範囲下限から上限まで目安の時期に入っている。劣化の状況を見て判断する
目安を過ぎた上限を超えた目安の時期を過ぎている。建物状況調査や専門業者の診断をすすめる

記入例のマンションを2026年で見ると、屋上防水の修繕・外壁の塗り替え・シーリングは前回から16年で「目安を過ぎた」、給水管の取り替えは竣工から28年で「もうすぐ」、鉄部塗装は2年で「まだ」になります。この表を見せたうえで、「外壁と屋上は目安の時期を過ぎているので、調査をおすすめします」と先に伝えれば、値段の交渉で後から持ち出されるより、話を落ち着いて進められます。

売主から履歴を集める段取り

修繕の記録は、売主が売ると決めた時点では、ばらばらの場所にあります。媒介契約の直後から集め始め、販売資料を出す前に表にします。

いつ誰がすること
媒介契約の直後仲介会社・売主聞き取り票で、残っている書類と、売主が覚えている工事を確かめる
その週のうち売主管理会社に、修繕と点検の記録を出してもらうよう頼む
1〜2週間仲介会社集まった書類から、1工事1行で表に書く。分からない行は、施工会社に問い合わせる
販売資料を作るまで仲介会社次の修繕の目安を見て、時期が来ている部位を把握する。告知書・設備表と食い違いがないか見る
買主に渡す前売主表の内容を確かめ、確かめた日を書く

集める書類

配布の聞き取り票には、集める書類を12項目並べています。それぞれ「ある・ない・分からない」を選び、置き場所か取り寄せ先を書くと、「分からない」の数が自動で出ます。

  • 建築確認の確認済証・確認申請書、検査済証
  • 建物状況調査(インスペクション)の報告書
  • 建築基準法の定期調査・定期検査の報告書(対象の建物・昇降機・設備がある場合)
  • 消防用設備の点検の報告書
  • 修繕工事の見積書・契約書・請求書・領収書
  • 工事の保証書(防水・外壁・設備など)
  • 工事の前と後の写真・工事の報告書
  • 管理会社の修繕・点検の記録
  • 長期修繕計画(作っていれば)
  • 確定申告の決算書の減価償却の明細・修繕費の内訳
  • 設備の取扱説明書・メーカー保証書
  • 設計図書(図面)

建築基準法第12条の定期報告は、建物の用途や規模によって、特定行政庁が対象に指定しているものがあります。共同住宅でも対象になっていることがあるので、報告書があれば、点検の記録として修繕履歴表と一緒に渡せます。

確定申告の明細から拾う

個人の投資家が売主の場合、記録が一番揃っているのは、実は確定申告の書類です。毎年の決算書には修繕費の金額があり、金額の大きい工事は、資産として減価償却の明細に載っていることがあります。工事の年と金額だけでも分かれば、施工会社の名前は請求書や通帳の振込の記録から探せます。

ただし、確定申告の書類には売主の所得の情報が含まれます。必要な行だけを書き写してもらうか、売主に該当の部分を見せてもらい、書類そのものを預からないようにします。

売主に聞くこと

書類のほかに、売主に直接聞いておくことがあります。

  1. これまでに雨漏り・漏水・設備の故障があったか。あったなら、いつ・どこで・どう直したか
  2. いま工事中のもの、見積もりを取っている・予定している工事はあるか
  3. 残っている保証はあるか。期限はいつか。買主に引き継げるか
  4. 管理会社から、修繕を勧められているが、まだしていない部位はあるか
  5. 入居者から、繰り返し出ている要望・苦情はあるか
  6. 記憶だけで、書類が残っていない工事はあるか

4つ目の「勧められているが、まだしていない工事」は、売主から言い出しにくい話です。管理会社の点検の報告書に書かれていることも多いので、報告書を見ながら聞くと、話が具体的になります。

よくある失敗と防ぎ方

失敗起きること防ぎ方
記憶だけで書く年や部位がずれていて、買主が施工会社に確かめたときに食い違う「情報の出どころ」を書き、記憶だけの行は、渡すときにそう伝える
費用を推測で書く買主が金額を前提に予算を立て、あとで実際と違うと分かる分からない金額は空欄にし、備考に「不明」と書く
「大規模修繕 済」だけどの部位を何の工事でしたのか分からず、次の時期を読めない同じ年の工事でも、部位と工事の種類ごとに行を分ける
保証の期限を書かない切れた保証を「保証あり」と受け取られ、引渡し後にもめる年数と期限の年月を書き、引き継げるかを施工会社に確かめる
告知書と食い違う雨漏りの告知と工事の記録が合わず、買主が両方を疑う告知書を書く前に修繕履歴表を作り、売主と一緒に読み合わせる
専有部の工事を落とす入居者が入れ替わるたびの設備の取替が見えず、古い設備が多いと見られる部屋ごとの給湯器・エアコン・水回りの取替も、1行ずつ書く

どの失敗も、表を作る時点で「分からないこと」と「分かっていること」を分けていないことから起きます。分からない行を空欄のまま残すのは恥ずかしいことではありません。分からないまま埋めた行が、あとで信用をなくします。

保証の引き継ぎや、引渡しのときに渡す書類の確認は、決済・引渡しのチェックリストにも入れておくと、渡し忘れを防げます。

スマッチュ運営観測|探されているのに、売買仲介向けの書式が少ない

スマッチュでは、書類のテンプレートを配る記事を出す前に、その書類がどう探されているかを測っています。修繕履歴表について、2026年10月28日時点で確かめたことは次のとおりです。

確かめたこと結果測り方
「修繕履歴」に続く検索候補修繕履歴表・テンプレート・エクセルなど、書式を求める語が並ぶGoogle の検索候補
物件の種類・場面の検索候補「建物 修繕履歴 テンプレート」「アパート 修繕履歴」「不動産売買 修繕履歴」が出るGoogle の検索候補
スマッチュのサイトの表示2026年7月28日〜10月25日の3か月、「修繕」「履歴」「長期修繕」「大規模修繕」を含む語での表示は0回Google Search Console
スマッチュのコラム171本の中修繕の履歴を扱う記事は0本。3本の中で1行ずつ触れているだけサイト内の全文検索

検索候補に書式を求める語が並ぶ一方で、検索して出てくる書式の多くは、区分マンションの管理組合向けか、個人の住宅向けです。一棟の収益物件を売るときに、仲介会社が売主から記録を集めて買主に渡す、という場面の書式は多くありません。この記事で、記入用の表に「情報の出どころ」の欄と、売主への聞き取り票を付けたのはそのためです。

スマッチュのサイトは、これまで収益物件の販売資料として、レントロール・マイソク・告知書と設備表を扱ってきましたが、建物の修繕の記録は扱っていませんでした。収支の見通しの材料のうち、家賃の側はレントロール、支出の側は修繕履歴表、という組み合わせで、販売資料が揃います。

テンプレートの使い方と、販売資料へのつなぎ

配布の Excel は6つのシートでできています。

シート中身
① 使い方ガイドファイルの構成、使う順番、書き方の注意、出典
② 修繕履歴表(記入用)物件の情報と、30行の工事の記録。部位・工事の種類・情報の出どころは一覧から選べ、費用の合計が自動で出る
③ 記入例(一棟マンション)1998年竣工・全16戸の賃貸マンションの10件の工事(架空)
④ 次の修繕の目安部位ごとに最後に工事した年を入れると、経過年数と判定(まだ・もうすぐ・目安の範囲・目安を過ぎた)が自動で出る
⑤ 売主への聞き取り票集める書類12項目の「ある・ない・分からない」と、売主に聞くこと6つ
⑥ スマッチュで使う物件資料の整理・顧客探し・提案の工程を短くする方法の紹介

使う順番は、次の3つです。

  1. 媒介契約の直後:聞き取り票で、残っている書類と、売主が覚えている工事を確かめる
  2. 販売資料を作るまで:集めた書類から、修繕履歴表に1工事1行で書き、次の修繕の目安のシートで時期が来ている部位を見る
  3. 買主に渡す前:売主に内容を確かめてもらい、確認した日を書く

販売資料へのつなぎ

修繕履歴表は、それだけで渡すより、販売資料の中で位置を決めておくと読まれます。物件概要書やマイソクの備考の欄には、主な修繕を1〜2行で書きます。たとえば「2010年 外壁塗装・屋上防水・シーリング打替、2019年 インターホン取替(修繕履歴表あり)」です。詳しい表は、レントロールと並べて、詳しい資料として渡します。

収益物件のマイソクに何を載せるかは、こちらにまとめています。

資料づくりと顧客探しを、短くする

修繕の記録を集めるのは、売主との打ち合わせと問い合わせが続く、手間のかかる仕事です。その分の時間を作るには、ほかの工程を短くする必要があります。物件資料を整理して、条件の合う買主・投資家を探し、提案する工程です。

スマッチュでは、物件資料をアップロードすると、AIが読み取った内容を確かめて物件概要書を作成します。概要書には備考の欄があるので、主な修繕を書き足せます。「マッチング」ボタンで、登録した顧客の条件と全件照合し、条件の合う顧客への提案メールの下書きまで用意できます。修繕の記録は丁寧に集め、その前の資料づくりと顧客探しはAIで速く、という分担ができます。

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物件PDFを送るだけ。
「誰にどう提案すべきか」まで
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概要書づくり・顧客選び・紹介メール——物件紹介の面倒な作業を、AIがまるごと自動化。

01

物件概要書を自動作成

PDFをAIが読み取り、自社ロゴ入りの概要書に。手入力ゼロ。

02

紹介すべき顧客をAIが提案

登録顧客全員のニーズと自動照合し、おすすめ順に理由つきで提示。

03

紹介メールも下書きまで自動

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まとめ

修繕履歴表は、一棟の収益物件の売却で、建物のどこを・いつ・いくらで直したかを1枚にまとめ、買主に渡す表です。法律で決まった書類ではありませんが、買主と金融機関が買ったあとの支出を見積もる材料になり、答えられないと値引きの材料になります。区分マンションと違って、一棟の物件の記録は売主か管理会社しか持っていません。

書くのは、工事の年月・部位・工事の種類・内容・施工会社・費用・保証・残っている書類・情報の出どころです。同じ年の工事でも部位ごとに行を分け、分からない金額は空欄にし、記憶だけの行は出どころで分けます。国土交通省のガイドラインの修繕周期の例と経過年数を並べれば、次の修繕の時期を、断定せずに目安として示せます。

配布の Excel は、記入用の表・一棟マンションの記入例・次の修繕の目安・売主への聞き取り票を、そのまま使える形にまとめています。次の一棟の物件の媒介契約のあと、聞き取り票を売主と一緒に開くところから使ってみてください。内見のあとの「屋上防水はいつですか」に、その場で表を開いて答えられれば、それがいちばんの成果です。

参考資料・出典

著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)

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一棟アパート・一棟マンションなど収益物件の売却で、売主から建物の修繕の記録を集めて買主に渡すための表。物件の情報と、工事の年月・部位・工事の種類・内容・施工会社・費用・保証・残っている書類・情報の出どころを1工事1行で書け、費用の合計は自動で出ます。鉄筋コンクリート造・全16戸の賃貸マンションの記入例、部位ごとに最後に工事した年を入れると経過年数と国土交通省のガイドラインの修繕周期の例と比べた判定(まだ・もうすぐ・目安の範囲・目安を過ぎた)を自動で出す「次の修繕の目安」、集める書類と売主に聞くことをまとめた聞き取り票も収録しています。

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