不動産売買仲介の仲介手数料の約定書テンプレート 上限額・支払時期(契約時と決済時の半金)・解除のとき・インボイスに対応したExcel雛形と記入例を無料でダウンロード
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仲介手数料の約定書テンプレート無料DL【Excel雛形・記入例つき】|支払時期・解除時の扱い・インボイスの書き方【売買仲介向け】

仲介手数料の約定書を、記入例つきのExcelテンプレートで無料配布しています。金額と支払時期(契約時・決済時)、手付解除やローン特約で契約がなくなったときの扱い、800万円以下の特例の合意まで、売買仲介が揉めないための書き方を整理。インボイスの記載項目つき請求書シートも同梱

仲介手数料約定書テンプレートインボイス売買仲介契約実務

売買契約が決まり、決済の日を迎えたところで、売主から「手数料は値引きしてくれると思っていた」と言われる。買主のローンが通らずに契約が白紙になり、契約時に受け取った半金を返すのかどうかで話がこじれる。仲介手数料をめぐる揉めごとは、どれも金額と支払の条件を書面で確かめていないところから始まります。

媒介契約書にも報酬の欄はあります。ただ、媒介契約を結ぶ時点では売買代金が決まっていないので、そこに書かれる額は、多くが見込みの額か計算式です。売買代金が決まった時点で、金額・支払の時期・解除のときの扱いを確かめる書面が、仲介手数料の約定書(支払約定書)です。

この記事では、約定書に書く項目を、金額の上限、支払の時期、契約がなくなったときの扱い、インボイスと印紙の順に、事業用・収益物件の売買仲介の実務に沿って整理します。

記事の最後まで読まなくても使えるよう、約定書の記入用テンプレートと記入例、報酬の上限額を確かめるシート、インボイスの記載事項をそろえた請求書を、Excelにまとめて無料で配布しています。

無料テンプレート

仲介手数料の約定書テンプレート(Excel・記入例+上限額の確かめ・インボイス対応の請求書つき)

売買契約の締結時に、依頼者(売主・買主)と仲介手数料の金額・支払の時期・解除のときの扱いを書面で確かめるための記入用テンプレート。本件売買契約の表示・報酬の額・支払の時期と方法・融資の不成立による解除・その他の解除(手付解除・違約解除・合意解除・買換え特約)・800万円以下の特例・適格請求書・協議の8条と署名欄を配置し、A4縦2ページ(両面に印刷すれば1枚)で印刷できます。収益一棟マンションの売却で売主から報酬を受け取る場合の記入例、売買代金と建物の消費税額から報酬の上限(税抜・税込)を出して約定する額が範囲内かを判定するシート、登録番号・取引の年月日・税率ごとの消費税額をそろえたインボイス対応の請求書、出典つきの注意点(約款の受領の時期・ローン特約・手付解除・印紙)も収録しています。

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約定書があるかで、手数料の揉めごとが変わる

仲介手数料で起きる行き違いは、だいたい次の4つに分かれます。

揉めごとよくある場面約定書で決めておくこと
金額「上限いっぱいとは聞いていない」「両手なら値引きがあると思っていた」税抜の額・消費税額・税込の合計と、計算の根拠
支払の時期決済の日にまとめて払うつもりの依頼者に、契約の日に半金を請求した第1回・第2回の時期と金額、振込先
解除のときローン特約で白紙になった、手付解除された、買主が残代金を払わなかった解除の種類ごとに、返すのか・請求するのか
書類請求書に登録番号がない、領収書の印紙の額が分からない登録番号と、請求書を出す時期

金額と支払の時期は、媒介契約のときに口頭で伝えていても、売買代金が決まるまでの数か月の間に記憶が食い違います。解除のときの扱いは、そもそも話していないことがほとんどです。

約定書は、この4つを売買契約の締結の日に、依頼者と一緒に一枚の紙で確かめるための書類です。

仲介手数料の約定書とは──媒介契約書との違い

約定書は、法律で作成が義務づけられた書類ではありません。宅地建物取引業法が書面で交わすことを求めているのは、媒介契約書と、重要事項説明書、売買契約の成立時に交付する書面(いわゆる37条書面)です。

それでも多くの仲介会社が約定書を交わすのは、媒介契約書の報酬欄だけでは決めきれないことがあるからです。

書類交わす時期報酬について書けること
媒介契約書売却・購入の依頼を受けたとき見込みの額や計算式(成約価格の3%+6万円+消費税 など)と、受領の時期の決め方
約定書売買契約を締結するとき実際の金額(税抜・税込)、2回に分ける割合と日付、解除のときの扱い、振込先

媒介契約書に報酬欄があっても約定書を取る理由

国土交通省の標準媒介契約約款にもとづく媒介契約書の様式には、「約定報酬額」と「約定報酬の受領の時期」の欄があります(標準媒介契約約款・国土交通省PDF)。

ただ、媒介契約を結ぶ時点では、いくらで売れるか、建物の消費税がいくらかが決まっていません。報酬の欄は円で書く形ですが、多くは売出価格からの見込みの額か、計算式です。受領の時期も「契約時に半額、決済時に残額」のような決め方にとどまります。

売買代金が決まると、報酬の金額が初めて確定します。その時点で金額と支払の日付、解除のときの扱いを依頼者と確かめ、署名をもらっておくのが約定書の役割です。後から「その金額は聞いていない」と言われたときに、話し合いの出発点になります。

交わす時期は売買契約の締結時

約定書は、売買契約の締結の日に交わすのが基本です。標準媒介契約約款の第9条1項は、37条書面を作成して契約の当事者に交付した後でなければ、報酬を受け取れないと定めています(この記事の条の番号は、専任・専属専任媒介契約約款のものです。一般媒介契約約款では、報酬の請求が第10条、受領の時期が第11条です)。

この定めと食い違わないよう、当日は「重要事項説明 → 売買契約の締結と37条書面の交付 → 約定書への署名 → 第1回の請求」の順に進めるのがおすすめです(停止条件付きの売買なら、第1回の請求は条件が成就した後)。売主と買主の両方から報酬を受け取る(両手の)場合は、それぞれと1通ずつ交わします。

依頼者が法人のときは、署名する人を前もって確かめておきます。代表者の記名押印にするのか、決裁の権限を持つ役員でよいのかは、会社ごとに違います。契約の当日に「社内の決裁が要るので持ち帰りたい」と言われると、第1回の支払の時期もずれます。約定書の案は、売買契約書の案と一緒に、契約の数日前に送っておくと安心です。

金額の決め方──上限額と800万円以下の特例

報酬の額は、宅地建物取引業法第46条にもとづく国土交通省の告示で上限が決まっています。上限の範囲内であれば、いくらにするかは依頼者との協議で決めます(標準媒介契約約款 第8条2項)。

税抜の価格に掛ける速算式

上限の計算で大事なのは、建物の消費税を除いた売買代金に料率を掛けることです。課税事業者の場合、税抜の売買代金の価格帯ごとに、次の速算式で計算できます(報酬の額の告示・国土交通省PDF)。

税抜の売買代金上限(税抜)上限(税込)
200万円以下5%5.5%
200万円超〜400万円以下4%+2万円4.4%+2.2万円
400万円超3%+6万円3.3%+6.6万円

収益一棟マンションを1億5,000万円(うち建物の消費税500万円)で売る場合、税抜の売買代金は1億4,500万円です。上限は1億4,500万円×3%+6万円=441万円(税抜)、消費税を足して485万1,000円(税込)になります。

事業用・収益物件でよくある価格帯の上限は、次のとおりです。

税抜の売買代金上限(税抜)上限(税込)
5,000万円156万円171万6,000円
1億円306万円336万6,000円
3億円906万円996万6,000円

上限は、依頼者の一方から受け取れる額です。両手の取引なら、売主・買主それぞれから上限まで受け取れるので、1億4,500万円の例では合計で882万円(税抜)が上限になります。約定書も、それぞれの依頼者と、それぞれの額で交わします。売主か買主の代理として動く場合は、上限の考え方が異なります。

価格帯ごとの早見表や、両手・片手の違いの計算は、別の記事で詳しく解説しています。

800万円以下の特例は、事前の説明と合意が要る

2024年7月1日に施行された告示の改正で、税抜の売買代金が800万円以下の宅地・建物(告示では「低廉な空家等」)の売買の媒介では、媒介に要する費用を勘案して、30万円の1.1倍(税込33万円)まで受け取れるようになりました。空き家に限らず、価格の低い土地や建物にも当てはまり、売主・買主のどちらの依頼者からも受け取れます。

ただし、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、この特例で報酬を受けるときは、媒介契約の締結に際し、あらかじめ報酬額について依頼者に説明し、合意する必要があるとしています(解釈・運用の考え方・国土交通省PDF)。

約定書で初めて特例の額を示すのでは遅い、ということです。媒介契約書に特例の額を書いておき、約定書ではその合意を確かめる形にします。たとえば税抜500万円の土地なら、原則の上限は21万円(税抜)ですが、特例で30万円(税抜)までになります。

減額を書くとき

上限より低い額で合意したときは、約定書には合意した金額そのものを書きます。「上限額の1割引き」のような書き方は、売買代金や消費税の扱いで計算が分かれる余地を残すからです。

計算の根拠の欄には、「上限額 441万円のところ、協議により400万円とする」のように、上限と合意額の両方を書いておくと、後から見た人にも経緯が伝わります。両手の取引で一方だけ減額するときも、売主・買主それぞれの約定書に、それぞれの金額を書きます。

無料テンプレート

仲介手数料の約定書テンプレート(Excel・記入例+上限額の確かめ・インボイス対応の請求書つき)

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支払時期の書き方──契約時と決済時の半金

仲介手数料は、売買契約の締結時に半額、決済・引渡しの時に残りの半額を受け取る形が広く使われています。不動産適正取引推進機構(RETIO)のQ&Aは、契約の成立時に半額、媒介の責任を果たしたときに残額を受け取るよう求めた、建設省の昭和27年の通牒を紹介しています(不動産のQ&A・RETIO)。

半金ずつと、決済時の一括の比較

支払の形仲介会社から見ると依頼者から見ると向く場面
契約時と決済時に半金ずつ決済までに解除されても、半金は受け取っている(ローン特約で契約がなくなったときは返す。買換え特約のときの扱いも約定書で決めておく)引渡しまで仲介会社が責任を持って動くという安心がある多くの取引の基本の形
決済時に一括解除されると、請求の話し合いから始まる支払が決済の日にまとまり、資金の段取りが楽契約から決済までが短い取引
契約時に一括受け取りが最も早い引渡しまできちんと動いてくれるかの不安が残る依頼者が希望する場合に限る

どの形にするにせよ、約定書には「第1回 2,425,500円(本件売買契約の締結時)」「第2回 2,425,500円(決済・引渡しの時)」のように、金額と時期を対で書きます。「決済時」とだけ書くと、決済が行われないまま契約が解除されたときに、いつ払うのかが曖昧になります。

なお、半金ずつという形は、法律で割合が決められているものではありません。契約から決済までが長い取引や、決済の前に測量や建物の明渡しが残っている取引では、契約時の割合を少なめにする決め方もあります。決めた割合は、媒介契約書の「約定報酬の受領の時期」と食い違わないようにしておきます。

受け取れるのは、契約書を渡した後

先に触れたとおり、標準媒介契約約款の第9条1項は、37条書面を交付した後でなければ報酬を受け取れないと定めています。売買契約の締結の日に第1回を受け取るなら、契約書の交付が先です。

また、売買契約が停止条件付きで成立した場合は、その条件が成就した場合にのみ報酬を請求できます(同約款 第8条1項ただし書)。テンプレートの第3条にも、この定めを入れています。

振込先と、振込手数料をどちらが負担するかも約定書に書いておきます。法人の依頼者は、支払の手続きに社内の決裁が要ることが多く、振込先と金額が書面で分かっていると処理が早く進みます。

契約がなくなったときの扱い──ローン特約・手付解除・違約解除

約定書で一番大事なのが、売買契約が決済の前になくなったときの扱いです。なくなり方によって、仲介手数料の扱いが変わります。

なくなり方標準媒介契約約款の定め約定書での扱い(テンプレートの例)
ローン特約による解除受け取った報酬の全額を返す(第9条2項。融資特約で解除する型は、依頼者が解除した場合)誰が解除しても全額を返す(第4条)
手付解除定めなし第1回の支払額をもって報酬とする、など協議して決める(第5条)
違約による解除定めなし報酬の全額を支払う、など協議して決める(第5条)
合意による解除定めなし協議して決める(第5条)
買換え特約で契約がなくなったとき定めなし全額を返す(第5条の記入例)

買換え特約(買主が自分の物件を売れなかったときに、契約が効力を失うか、解除できる定め)で契約がなくなったときも、約款に定めはありません。国土交通省の解釈・運用の考え方は、買換えのための売却と購入の両方の依頼を受けた業者に、売却が成立しなかったときは、購入の媒介で受け取った報酬の全額を返す特約を書面にしておくことが望ましいとしています(解釈・運用の考え方・国土交通省PDF)。これは買換えの依頼者から受け取る、購入の側の報酬についての考え方です。売主から受け取る報酬の扱いは、約定書で決めておきます。テンプレートの記入例では、買換え特約で契約がなくなったときも全額を返す形にしています(記入用の第5条は空欄で、依頼者との合意で決めます)。

ローン特約なら、全額を返す

標準媒介契約約款の第9条2項は、融資の不成立を解除条件として結んだ売買契約が、融資の不成立が確定して効力を失ったとき、または融資が下りなければ解除できる定めにもとづいて依頼者が解除したときは、受け取った報酬の全額を遅滞なく返す(利息は付けない)と定めています。

テンプレートの第4条は、この定めをもとに、誰が解除したかを問わず全額を返す形にしています。約款の2つ目の型は依頼者が解除した場合ですが、売主から報酬を受け取る約定書では、ローン特約で解除するのはふつう買主だからです。買主の解除のときも全額を返すと書いておけば、売主との間で解釈が分かれません。

大事なのは、ローン特約の期限です。期限を過ぎてから買主が残代金を払えなくなった場合は、原則として、ローン特約による解除ではなく、買主の債務不履行による解除になります。テンプレートでは、売買契約に定めた融資の承認の期限を、約定書にも写しておく欄を設けています。

手付解除と違約解除は、約定書で決める

標準媒介契約約款には、手付解除や違約による解除のときの報酬の定めがありません。

RETIOのQ&Aは、売買契約が成立した後に当事者の都合で解約になっても、仲介会社の報酬の請求権は失われないと解されている、と説明しています。そのうえで、手付解除で取引が完了せず仲介会社の業務が軽くなったことなどを理由に、裁判所が報酬の全額までは認めないこともある、と紹介しています。

違約による解除については、参考になる裁判例があります。代金1億2,500万円の土地の売買で、買主が銀行の融資を受けられずに残代金1億1,250万円を払わず、売主が買主の債務不履行を理由に契約を解除した事案です。売主は報酬の支払を拒みましたが、裁判所は、支払約定書に報酬を「登記決済時」に払うと書いていたのは支払の期限(不確定期限)を定めたもので、決済が行われないことが確定した解除の時点で請求できるとして、411万円余りの請求を全額認めました(東京地裁 令和4年11月10日判決。RETIO NO.137・PDF)。

この事案では、売買契約書に「手付解除や契約違反による解除のときは、未払の報酬をすみやかに払う」という定めもありました。裏を返せば、こうした定めがない約定書では、同じ結論になるとは限りません。

手付解除のときの決め方は、主に次の3つです。

決め方約定書の書き方の例考え方
全額を請求する手付解除のときも、報酬の全額を支払う売買契約の成立で報酬は発生する、という原則どおりの形。ただし、争いになると全額は認められないこともある
第1回の額で精算する手付解除のときは、第1回の支払額をもって報酬とし、第2回は請求しない決済までの業務がなくなった分を差し引く形。テンプレートの記入例はこの形
協議して決める手付解除のときの報酬は、甲乙協議して定める決めていないのに近く、揉めたときの拠り所になりにくい

どれが正しいという決まりはありません。大事なのは、約定書に書き、売買契約の前に依頼者へ説明しておくことです。手付解除は、売主・買主のどちらからでも起こりうるので、両手の取引なら、両方の約定書で同じ扱いにそろえておくと説明がしやすくなります。

約定書に書く9項目と記入例

テンプレートの約定書は、次の9項目を8つの条と署名欄に並べています。記入例は、収益一棟マンションの売却で、売主から報酬を受け取る(片手の)場合です。

項目書く中身記入例
1. 本件売買契約の表示物件の所在・種類、売買契約の締結日東京都見本区見本町三丁目、鉄骨造4階建の共同住宅(12戸)、令和8年10月20日
2. 売買代金総額と、うち建物の消費税額1億5,000万円(うち建物の消費税額500万円)
3. 依頼者の立場と媒介契約売主か買主か、媒介契約の種類と締結日売主、専任媒介契約(令和8年8月1日)
4. 報酬の額税抜・消費税額・税込の合計と、計算の根拠441万円+44万1,000円=485万1,000円(1億4,500万円×3%+6万円)
5. 支払の時期第1回・第2回の時期と金額契約時 242万5,500円、決済・引渡し時 242万5,500円
6. 振込先と手数料の負担口座と、振込手数料をどちらが持つか見本銀行 見本支店 普通預金、振込手数料は依頼者の負担
7. ローン特約による解除全額を返すこと、融資の承認の期限全額を遅滞なく返還(利息なし)、期限は令和8年11月20日
8. その他の解除・失効手付解除・違約解除・合意解除・買換え特約で契約がなくなったときの扱い手付解除は第1回の額で精算、違約解除は全額、合意解除は協議、買換え特約は全額を返還
9. 特例・登録番号・署名800万円以下の特例を使うか、登録番号、双方の署名または記名押印特例は使わない、T0000000000000、甲は記名押印・乙は免許番号つきで記名押印

記入例の社名・所在地・人名・番号は、すべて架空です。

解除のときの扱いは、テンプレートでは次の文例にしています。自社の書式に写すときの下敷きにしてください。

第4条(融資の不成立による解除)本件売買契約が、売買代金についての融資の不成立を解除条件とする定めにより効力を失ったとき、または本件売買契約の融資特約(期限までに融資の承認を得られないときに解除できる定め)にもとづいて解除されたときは、乙は、甲から受領した報酬の全額を遅滞なく甲に返還する。この返還には利息を付さない。

第5条(その他の解除・失効のとき)本件売買契約が、その成立の後に前条以外の理由で解除され、または効力を失ったときの報酬の扱いは、次のとおりとする。手付解除のとき:第1回の支払額をもって報酬とし、第2回は請求しない。違約による解除のとき:報酬の全額を支払う(第2回は、解除の日から1か月以内に支払う)。合意による解除のとき:甲乙協議して定める。買換え特約による解除または失効のとき:受領した報酬の全額を遅滞なく返還する(利息は付さない)。

甲は依頼者、乙は仲介会社です。第5条の中身は当事者の合意で決めるもので、記入例はその一例です。

約定書は、売買契約と同じ日に交わす書類です。売渡承諾書や買付証明書のように価格が決まるまでの書類とあわせて、自社の書式を見直しておくと、契約の日の準備が早くなります。

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仲介手数料の約定書テンプレート(Excel・記入例+上限額の確かめ・インボイス対応の請求書つき)

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インボイスと印紙──請求書・領収書の書き方

法人の売主や、不動産投資をしている個人事業の買主は、仲介手数料の消費税を仕入税額控除に使うために、適格請求書(インボイス)を求めてきます。事業をしていない個人の売主は、仕入税額控除に使わないので求めないことが多いのですが、出しておいて困ることはありません。書式を一つにそろえておけば、依頼者ごとに使い分ける手間もなくなります。

なお、仲介会社が免税事業者で登録をしていない場合は、適格請求書を出せません。報酬の上限の計算も、課税事業者とは異なります。

請求書に書く6項目

適格請求書には、次の6つを書きます(消費税法第57条の4第1項。消費税法・e-Gov法令検索)。

記載事項仲介手数料の請求書での書き方
発行者の名前と登録番号仲介会社の名前と、T から始まる登録番号
取引の年月日原則として、売買契約の効力が発生した日
取引の内容「不動産売買の媒介報酬(第1回/全2回)」と物件の所在
税率ごとに分けた金額と適用税率10%対象の金額(税抜または税込)
税率ごとの消費税額10%対象の合計から1回だけ計算した消費税額
交付を受ける人の名前依頼者の名前(法人なら法人名)

取引の年月日について、国税庁の消費税法基本通達 9-1-10 は、不動産の仲介手数料の売上の時期を、原則として売買契約の効力が発生した日としています。取引が完了した日(同日前に受け取った額はその受け取った日)とする扱いを続けている場合は、それも認められます(消費税法基本通達 9-1-10・国税庁)。

約定書に登録番号を書いておくことは、それ自体はよいことです。ただ、取引の年月日や税率ごとの消費税額まで、約定書だけでそろうとは限りません。支払の各回に、記載事項のそろった請求書を出すのが確実です。テンプレートの請求書シートは、この6つを並べ、消費税額を合計から1回だけ計算する形にしています。

領収書の印紙は、消費税額を分けて書く

領収書(受取書)は、記載された受取金額が5万円以上なら印紙が要ります。100万円以下は200円、200万円以下は400円、300万円以下は600円と、金額で税額が上がります(No.7105 金銭又は有価証券の受取書・国税庁)。

仲介会社が課税事業者で、受取金額のうち消費税額を分けて書いていれば、税抜の金額で税額を判定できます(No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額・国税庁)。免税事業者が書く受取書は、税込の金額で判定します。税込110万円の受取なら、「うち消費税額10万円」と書けば100万円以下の区分で200円、税込の金額だけを書くと200万円以下の区分で400円です。「税込」とだけ書いて消費税額を書かない場合は、税込の金額で判定されます。

請求書に「済」「領収」と書いて受取の証明に使う場合も、受取書に当たります。約定書そのものの印紙の扱いは、記載の内容によって変わりうるため、迷ったら所轄の税務署に確認してください。

決済の日に依頼者が払う費用は、仲介手数料のほかにも登記費用や精算金があります。依頼者に事前に渡す諸費用の一覧にも、仲介手数料の税込の額と支払の時期をそろえて書いておくと、当日の行き違いがなくなります。

よくある失敗と、決済までの段取り

よくある失敗6つ

失敗起きること防ぎ方
税込の売買代金に料率を掛ける1億5,000万円(うち建物の消費税500万円)の例で、上限を15万円(税込16万5,000円)超えて請求してしまう建物の消費税額を除いた額で計算する
800万円以下の特例を、約定書で初めて示す媒介契約のときの説明と合意がなく、特例の額を受け取れない媒介契約書に特例の額を書き、約定書では確かめるだけにする
支払の時期を「決済時」とだけ書く決済の前に解除されたとき、いつ払うのかで揉める金額と時期を対で書き、解除のときの扱いを別に書く
ローン特約の期限を写さない白紙解除なのか違約解除なのかで、返すかどうかが分かれる融資の承認の期限を約定書にも書く
両手なのに一方としか交わさないもう一方の依頼者との金額・時期が口約束のまま残る売主・買主それぞれと1通ずつ交わす
請求書に登録番号や取引の年月日がない依頼者が仕入税額控除を受けられず、出し直しになる記載事項のそろった請求書を各回に出す

決済までの段取り

約定書まわりの段取りを、時系列に並べると次のとおりです。

  1. 媒介契約を結ぶ(見込みの額や計算式と、受領の時期を書く。800万円以下の特例を使うなら、ここで説明して合意する)
  2. 価格が決まる(買付証明書・売渡承諾書)
  3. 重要事項説明と売買契約の締結、37条書面の交付
  4. 約定書に署名をもらい、第1回の請求書を出す(停止条件付きの売買なら、条件が成就した後)
  5. 融資の承認の期限を確かめる
  6. 決済・引渡しで第2回を受け取り、領収書を出す

必要書類の全体は、別の記事のチェックリストにまとめています。

約定書の手前を、短くする

約定書を交わすのは、売買契約が決まった後です。その手前で時間がかかるのは、物件資料を整えて、条件の合う顧客を探し、提案を送るところです。

スマッチュの運営観測では、業者ネットワークが育った営業担当者の場合、月に300件を超える物件情報が流入してきます。一方で、実際に概要書を作り、顧客に当てられているのは月30〜50件ほど。残りは「見るだけ」で流れていきます。

スマッチュでは、物件資料をアップロードすると、AIが読み取った内容を確かめて物件概要書を作成します。「マッチング」ボタンで、登録した顧客の条件と全件照合し、条件の合う顧客への提案メールの下書きまで用意できます。約定書はテンプレートで正確に、成約までの前工程はAIで速く、という分担ができます。

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仲介手数料の約定書テンプレート(Excel・記入例+上限額の確かめ・インボイス対応の請求書つき)

売買契約の締結時に、依頼者(売主・買主)と仲介手数料の金額・支払の時期・解除のときの扱いを書面で確かめるための記入用テンプレート。本件売買契約の表示・報酬の額・支払の時期と方法・融資の不成立による解除・その他の解除(手付解除・違約解除・合意解除・買換え特約)・800万円以下の特例・適格請求書・協議の8条と署名欄を配置し、A4縦2ページ(両面に印刷すれば1枚)で印刷できます。収益一棟マンションの売却で売主から報酬を受け取る場合の記入例、売買代金と建物の消費税額から報酬の上限(税抜・税込)を出して約定する額が範囲内かを判定するシート、登録番号・取引の年月日・税率ごとの消費税額をそろえたインボイス対応の請求書、出典つきの注意点(約款の受領の時期・ローン特約・手付解除・印紙)も収録しています。

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まとめ

仲介手数料の約定書は、法律で義務づけられた書類ではありません。それでも、売買代金が決まった時点で金額・支払の時期・解除のときの扱いを書面で確かめておくと、決済の前後の揉めごとの多くを防げます。

押さえることは3つです。第一に、上限は建物の消費税を除いた売買代金で計算し、800万円以下の特例は媒介契約のときに説明と合意を済ませておくこと。第二に、支払は金額と時期を対で書き、ローン特約・手付解除・違約解除のときの扱いを分けて書くこと。第三に、登録番号は約定書に書くだけで済ませず、記載事項のそろった請求書を支払の各回に出すことです。

配布しているExcelは6シート構成です。

シート内容
使い方ガイド使う順序、注意点(約定書の位置づけ・上限・特例・ローン特約・手付解除・インボイスと印紙)、出典
約定書(記入用)第1条〜第8条と署名欄。色の付いたセルに入力して、A4縦2ページ(両面に印刷すれば1枚)で印刷できる
記入例(収益一棟・売主側)1億5,000万円の収益一棟マンションの売却で、売主から報酬を受け取る場合(社名・所在地・人名は架空)
上限額の確かめ売買代金と建物の消費税額を入れると、上限(税抜・税込)を出し、約定する額が範囲内かを判定する。800万円以下の特例にも対応
請求書(インボイス対応)登録番号・取引の年月日・税率ごとの金額と消費税額をそろえた請求書。消費税額は合計から1回だけ計算する
スマッチュで使う約定書を交わす手前の、物件を条件の合う顧客に届ける工程を短くする方法

自社の書式を見直すときの下敷きとして使ってください。文言は、取引の内容や媒介契約の定めに合わせて、必要に応じて弁護士・税理士にご確認ください。物件を条件の合う顧客に早く届けたいときは、スマッチュも試してみてください。

著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)

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仲介手数料の約定書テンプレート(Excel・記入例+上限額の確かめ・インボイス対応の請求書つき)

売買契約の締結時に、依頼者(売主・買主)と仲介手数料の金額・支払の時期・解除のときの扱いを書面で確かめるための記入用テンプレート。本件売買契約の表示・報酬の額・支払の時期と方法・融資の不成立による解除・その他の解除(手付解除・違約解除・合意解除・買換え特約)・800万円以下の特例・適格請求書・協議の8条と署名欄を配置し、A4縦2ページ(両面に印刷すれば1枚)で印刷できます。収益一棟マンションの売却で売主から報酬を受け取る場合の記入例、売買代金と建物の消費税額から報酬の上限(税抜・税込)を出して約定する額が範囲内かを判定するシート、登録番号・取引の年月日・税率ごとの消費税額をそろえたインボイス対応の請求書、出典つきの注意点(約款の受領の時期・ローン特約・手付解除・印紙)も収録しています。

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