
鍵預かり証エクセル無料テンプレート|売主から鍵を預かるときの受領書【不動産売買仲介】
鍵預かり証(鍵預り証)の無料Excelテンプレートを記入例つきで配布。売却の媒介中に、内覧のため売主から鍵を預かるときに使えます。鍵の本数と種類、預かる目的と期間、保管のしかた、返す日と受け取りの署名までを1枚に残せます。鍵引渡書と対で使える、売買仲介向けの書式です。
鍵預かり証鍵預り証内覧媒介契約空室テンプレート売買仲介
媒介契約を結んだ翌週、売主の会社の総務の方から電話が来ます。「先日お渡しした鍵ですが、何本お渡ししましたっけ? うちの控えでは4本なんですが」。担当者の机の引き出しには3本。残りの1本は、先週の内覧で同行した後輩が持っているのか、客付けの業者に貸したまま戻っていないのか、そもそも最初から3本だったのか。誰も書いていないので、誰にも分かりません。
鍵預かり証は、この「何本でしたっけ?」を、鍵を受け取ったその場で終わらせるための書類です。何の鍵を何本、何のために、いつまで預かったかを1枚にまとめ、売主と仲介会社が署名して1通ずつ持ちます。返すときは、同じ紙の下の欄で、返したことを確かめます。
この記事では、鍵預かり証の位置づけを、鍵引渡書・キーボックス・媒介契約書との違いから整理し、書く項目と記入例、預かる場面ごとに足すこと、預かっている間の持ち出しの記録、よくある失敗と無くしたときの対応を、事業用・収益不動産の売買仲介の実務に沿ってまとめます。
記事の最後まで読まなくても使えるよう、記入用の1枚、全フロアが空室の事務所ビルの記入例、鍵の持ち出し記録を、Excelにまとめて無料で配布しています。
無料テンプレート
鍵預かり証テンプレート(Excel・記入例+鍵の持ち出し記録つき)
売却の媒介の期間中に、内覧の案内などのために、仲介会社が売主から物件の鍵を預かるときの受領書。預かった日と当事者・鍵(種類・番号・本数)・預かる目的と鍵を使える人・保管のしかた・返す時期と無くしたとき・確認と署名・返したときの確認の7つの欄を、A4縦1枚で印刷できます。全フロアが空室の事務所ビルの記入例と、持ち出した本数と戻した本数から判定(戻った・足りない・多い・未返却)を自動で出す持ち出し記録も収録しています。
この記事の要点
- 鍵預かり証は、法律で決まった書類ではなく、売主から鍵を預かった事実と中身を残す受領書です
- 物を預ける契約(寄託)は、合意だけで成り立ち、書面は要りません。だからこそ、書かない限り何も残りません
- 書く項目は、預かった日と当事者・鍵・目的と使える人・保管のしかた・返す時期と無くしたとき・署名・返したときの確認の7つ。鍵は「一式」ではなく種類ごとの本数で書きます
- 預かっている間は、持ち出すたびに1行ずつ記録します。専任媒介の業務の報告にもそのまま使えます
- 決済の日に買主へ直接渡すときは、鍵引渡書で本数を確かめ、預かり証の返却の欄にその旨を書いて閉じます
「預かった鍵、いまどこにありますか?」が揉める理由
鍵の預かりで揉めるのは、たいてい媒介の終わりぎわです。売却がまとまって決済の段取りに入ったとき、あるいは媒介契約を更新せずに終えるとき、「預けた鍵を返してほしい」と言われて初めて、何本預かっていたのかを確かめようとします。そのとき手元に記録がなければ、売主の記憶と担当者の記憶のどちらが正しいかを決める材料がありません。
揉める理由は、次の4つに集約できます。
| 揉める理由 | 実際に起きること | 預かり証で防げること |
|---|---|---|
| 数えた記録がない | 受け取ったときに封筒ごと預かり、本数を確かめていない | 種類ごとの本数を、売主の前で数えて書く |
| 持ち出す人が増える | 担当者・同行の社員・客付けの他社と、鍵に触る人が増えていく | 鍵を使える人の範囲を、預かるときに決める |
| 合鍵の疑い | 返した本数が合っていても、「合鍵を作られたのでは」と疑われる | 「合鍵を作らない」ことを書面で約束しておく |
| 返した記録がない | 返したはずの鍵が、売主の側で見つからない | 返した日と本数に、売主の受け取りの署名をもらう |
事業用・収益不動産では、鍵の種類が多いことも揉めやすさに拍車をかけます。正面玄関・通用口・各フロアの入口・セキュリティカード・機械室・屋上と、1棟で10本前後になることも珍しくありません。賃貸中の一棟物件で空室だけを預かる場合は、「どの部屋の鍵か」まで書き分けないと、返すときに混ざります。
もう1つ、見落とされがちなのが、売主の側の担当者が替わることです。法人の売主では、鍵を渡した総務の方と、返却を受け取る方が別の人になることがあります。そのとき、売主の社内に「何本渡したか」の記録が残っているとは限りません。預かり証を1通ずつ持つのは、売主の側の記録を作ってもらう意味もあります。
決済の日に、預かっていた鍵を買主へ直接渡す場合もあります。その場合も、最初に何本預かったかが分からなければ、決済の場で渡す本数が正しいかを確かめられません。決済の当日の段取りは、こちらにまとめています。
鍵預かり証とは|鍵引渡書・キーボックス・媒介契約書との違い
鍵預かり証は、仲介会社が売主から物件の鍵を預かったことと、預かった鍵の中身を、売主と仲介会社のあいだで確かめて残す受領書です。呼び方は会社によって「鍵預り証」「鍵の預り書」「鍵受領書」などさまざまですが、役割は同じです。
似た場面で使う書類や道具と並べると、役割の違いがはっきりします。
| 書類・道具 | いつ使うか | 誰と誰のあいだか | 何を残すか |
|---|---|---|---|
| 鍵預かり証 | 媒介の期間中、鍵を預かるときと返すとき | 売主と仲介会社 | 預かった鍵の種類・本数、目的、使える人、保管のしかた、返したこと |
| 鍵引渡書(物件引渡確認書) | 決済・引渡しの日 | 売主と買主(仲介会社は立会い) | 引き渡した鍵・付帯設備・書類・メーターの値 |
| キーボックス | 媒介の期間中、現地で鍵を保管するとき | 売主・仲介会社・案内する人 | 何も残さない(鍵を入れておく箱) |
| 媒介契約書 | 媒介を始めるとき | 売主と仲介会社 | 媒介の種類・期間・報酬・業務の報告の方法など |
法律で決まった書類ではない
鍵預かり証は、宅地建物取引業法で作ることが決まっている書面ではなく、書式も自由です。民法では、物を預けて保管してもらう契約を「寄託」といいます(民法第657条)。2020年4月に施行された民法の改正で、寄託は当事者の合意だけで成り立ち、書面も要らない契約になりました。
つまり、鍵を手渡した時点で、預ける・預かるという関係はできています。紙を作らなくても関係はあるのに、その中身(何の鍵を何本、いつまで)は、書かない限りどこにも残りません。預かり証を作る理由は、この中身を残すことにあります。
媒介契約書には、鍵の決まりがない
国土交通省が定めている標準媒介契約約款は、多くの仲介会社が媒介契約書の土台にしている約款です。国土交通省が公開している版(令和4年5月26日最終改正)の本文を確かめると、「鍵」という語は1度も出てきません。媒介契約書の様式だけに頼ると、鍵の預かりについては何も決まっていない状態で販売を始めることになります。
鍵の本数・使える人・返す時期は、媒介契約書とは別に、預かり証で決める。これが、鍵預かり証の置きどころです。
預かった鍵に、どこまで注意を払うか
預かった物にどこまで注意を払うべきかは、民法にいくつかの決まりがあります。報酬を受けない受寄者(預かる人)は「自己の財産に対するのと同一の注意」で保管すればよいとされています(民法第659条)。いっぽう、媒介契約は一般に準委任と考えられ、受任者は「善良な管理者の注意」をもって事務を処理する義務を負います(民法第644条、第656条で準委任に準用)。
仲介会社が鍵を預かるのは、媒介の報酬を受ける販売活動のためです。鍵の預かりを媒介の事務の一部とみるか、報酬のない寄託とみるかで、求められる注意の程度の読み方は分かれうるところです。ただ、どちらに読んだとしても、仲介会社として鍵の管理を軽くしてよい理由にはなりません。個別の事案で責任がどうなるかは、弁護士など専門家に確かめてください。
あわせて押さえておきたいのが、預けた側はいつでも返すよう求められるという決まりです(民法第662条)。返す時期を決めていても、売主から「返してほしい」と言われたら、返す前提で動く必要があります。預かり証の「返す時期」の欄に「売主から求められたとき」を入れておくのは、このためです。
書く項目と記入例
配布の Excel の「鍵預かり証(記入用)」は、次の7つの欄でできています。A4縦1枚に収まり、2通印刷して売主と仲介会社が1通ずつ持ちます。
| 欄 | 書くこと | 書き方のこつ |
|---|---|---|
| ① 預かった日・当事者・物件 | 預かった日時、売主(預ける人)、仲介会社と担当者、媒介契約の種類と期間、物件の所在地・名称、種別と状況 | 媒介の期間を書いておくと、返す時期の目安になる |
| ② 鍵 | 種類、番号(刻印)、本数、備考 | 「一式」と書かない。種類ごとに1行 |
| ③ 預かる目的と、鍵を使う人 | 目的、鍵を使える人、立ち入るときの連絡、合鍵 | 他社に貸すかどうかを、ここで決める |
| ④ 保管のしかた | 保管する場所、持ち出しの記録 | キーボックスの暗証番号は書かない |
| ⑤ 返す時期と、無くしたとき | 返す時期、無くしたときの段取り | 「売主から求められたとき」を必ず入れる |
| ⑥ 確認と署名 | 売主と仲介会社の記名押印 | 2通作り、1通ずつ持つ |
| ⑦ 返したときの確認 | 返した日、返した鍵、売主の受け取りの署名 | 返すときに、同じ紙に書き足す |
鍵の欄
鍵の欄は、種類・番号(刻印)・本数・備考の4つの列です。いちばん大事なのは、鍵を「一式」とまとめずに、種類ごとに1行ずつ書くことです。「鍵一式」と書いてしまうと、返すときに何がそろっていれば一式なのかを、誰も決められません。
番号(刻印)は、鍵の持ち手に打たれている英数字です。同じ形の鍵が何本もあるとき、番号で書き分けておくと、どれを返していないかがすぐに分かります。ただし、鍵の種類によっては番号から合鍵を作れるものもあるため、番号を控えた紙の置き場所には気をつけます。番号の控え方を売主と決めておくと安心です。
預かる目的と、鍵を使う人の欄
目的は「内覧の案内」「物件調査」「修繕・清掃の立会い」から選びます。目的を書いておくと、目的の外で鍵を使っていないことを、後から説明しやすくなります。
鍵を使える人は、「仲介会社の担当者だけ」「仲介会社の社員」「他社の仲介会社に貸すことがある」から選びます。事業用・収益不動産では、買主を連れてくるのが他社(客付けの仲介会社)であることが多く、他社に鍵を貸す場面が出てきます。貸すことがあるなら、預かるときに売主の了解を取り、貸す前に連絡するかどうかも決めておきます。
立ち入るときの連絡は、「毎回、前日までに売主へ連絡」か「販売活動の報告でまとめて伝える」かを選びます。空室で売主が遠方にいる場合は、まとめて伝える形が現実的です。その場合も、後で説明できるよう、立ち入った記録は持ち出し記録に残します。
合鍵の欄は、「合鍵を作らない」にチェックを入れるだけです。わざわざ書くのは、返した本数が合っていても「合鍵を作られたのでは」という疑いが残ることがあるからです。作らないと約束した紙があれば、その疑いに答えられます。
記入例(全フロアが空室の事務所ビル)の読み方
配布の Excel の「記入例(空きビル)」は、地上4階・全フロアが空室の事務所ビルを、専任媒介で預かる場合の書き方です。社名・人名・所在地・番号はすべて架空です。
| 書いていること | 記入例 | 読みどころ |
|---|---|---|
| 媒介契約 | 専任(2026年10月1日から12月31日まで) | 専任媒介の有効期間は3か月まで。返す時期の目安になる |
| 鍵 | 正面玄関2本・通用口1本・セキュリティカード3枚・各フロアの入口3本・屋上と機械室1本(合計10本) | 郵便受けはダイヤル式のため0本と書き、番号は口頭で聞く |
| 鍵を使える人 | 仲介会社の社員、他社に貸すことがある(貸す前に売主へ連絡) | 客付けの他社に貸す前提を、最初に決めている |
| 保管する場所 | 仲介会社の鍵の保管庫(施錠) | 現地のキーボックスは使わない |
| 返す時期 | 媒介契約が終わったとき・売主から求められたとき・決済の日に買主へ直接渡す | 3つとも入れておくと、どの終わり方でも迷わない |
本数が0本の行をあえて残しているのは、「郵便受けの鍵はどうしましたか」と後で聞かれたときに、最初から鍵がなかったことを示すためです。書いていない行は、預かり忘れなのか、もともと無いのかが分かりません。
無料テンプレート
鍵預かり証テンプレート(Excel・記入例+鍵の持ち出し記録つき)
売却の媒介の期間中に、内覧の案内などのために、仲介会社が売主から物件の鍵を預かるときの受領書。預かった日と当事者・鍵(種類・番号・本数)・預かる目的と鍵を使える人・保管のしかた・返す時期と無くしたとき・確認と署名・返したときの確認の7つの欄を、A4縦1枚で印刷できます。全フロアが空室の事務所ビルの記入例と、持ち出した本数と戻した本数から判定(戻った・足りない・多い・未返却)を自動で出す持ち出し記録も収録しています。
預かる場面ごとに足すこと
鍵の預かりは、物件の状態や売り方によって、気をつけることが変わります。事業用・収益不動産の売買仲介でよくある5つの場面を取り上げます。
空き家・空きビルの内覧
全体が空室の物件は、鍵の種類がいちばん多くなる場面です。正面と裏口、各フロア、設備室、屋上と、建物の端から端まで数えます。売主の担当者と一緒に、実際に鍵穴に差して開くかを確かめてから預かると、「預かったときから開かなかった」鍵を見分けられます。
空室が長く続くと、内覧のついでに換気や郵便物の確認を頼まれることがあります。目的の欄の「その他」に書き足しておけば、内覧以外で立ち入った理由を後で説明できます。
賃貸中の一棟物件で、空室だけ預かる
賃貸中の一棟物件では、入居者のいる部屋の鍵は預かりません。預かるのは、空室の鍵と、内覧のときに通る共用部(オートロック・エントランス)の鍵です。どの部屋の鍵かを部屋番号で書き分け、「種別・状況」の欄に預かる空室の部屋番号を書きます。
共用部に入るときは、入居者の目に触れます。管理会社が入っている物件では、内覧の日程を管理会社にも伝えておくと、入居者から問い合わせがあったときに管理会社が答えられます。
事業用のセキュリティカード・暗証番号
事務所ビルや店舗では、物理的な鍵のほかに、セキュリティカードや警備会社のシステムの解除が必要なことがあります。カードは番号を控え、解除の手順書が付いていれば一緒に預かって備考に書きます。
警備会社の解除の番号やキーボックスの暗証番号は、預かり証に書きません。番号は、売主と担当者だけが知る形にして別に管理します。宅地建物取引業者には、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務があります(宅地建物取引業法第45条)。鍵の置き場所や暗証番号、空室になっている期間も、扱いに気をつけたい情報です。
客付けの他社に鍵を貸す
他社の仲介会社が買主を内覧に連れてくるとき、鍵を貸すか、自社の担当者が立ち会うかを決めます。貸す場合は、預かり証の「鍵を使える人」で売主の了解を取っていることが前提です。
実際に貸すときは、持ち出し記録に、貸した相手の会社名と氏名、目的、貸した本数、戻った日と本数を書きます。他社に貸した鍵が戻らないまま次の内覧が入ると、記録がなければ、どこにあるかを探すところから始まります。返す日の約束(「内覧の翌営業日まで」など)を、貸すときに口頭でも伝えておきます。
キーボックスに入れる
現地にキーボックスを置くと、担当者が鍵を取りに事務所へ戻らずに済み、他社の内覧にも対応しやすくなります。いっぽうで、暗証番号を知っている人なら誰でも鍵を取り出せるため、誰が鍵を使ったかが記録に残りにくくなります。
キーボックスを使う場合は、預かり証の「保管する場所」でキーボックスを選び、番号は別に管理します。番号を教えた相手と日付は、持ち出し記録に残すと、後で使った人をたどれます。媒介が終わったら、売主に番号の変更を案内します。
預かってから返すまで|持ち出しの記録をつける
預かり証が「預かったとき」と「返したとき」の記録だとすれば、その間をつなぐのが持ち出し記録です。配布の Excel の「持ち出し記録」は、鍵を持ち出すたびに1行ずつ書く表です。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 持ち出した日時 | 鍵を保管場所から出した日時 |
| 持ち出した人(会社・氏名) | 自社の社員なら氏名、他社に貸したなら会社名と氏名 |
| 目的 | 内覧(相手の会社名)・物件調査・立会いなど |
| 持ち出した本数 | 持ち出した鍵の本数 |
| 戻した日時・戻した本数 | 保管場所に戻した日時と本数 |
| 確認した人 | 戻ったことを確かめた人 |
| 判定 | 自動で「戻った」「足りない」「多い」「未返却」を表示 |
持ち出した本数と戻した本数を入れると、判定の列に「戻った」「足りない」「多い」「未返却」が自動で出ます。「戻った」になるのは、持ち出した本数と戻した本数が同じときだけです。戻した本数が多いときも、別の物件の鍵が混ざった恐れがあるので「多い」と出します。「戻った」以外は赤く表示され、表の下にその件数が出るので、月末などに一度見るだけで、本数の合わない鍵があるかが分かります。
業務の報告にも、そのまま使える
専任媒介契約を結んだ仲介会社は、2週間に1回以上(専属専任媒介契約なら1週間に1回以上)、売主に業務の処理状況を報告する義務があります(宅地建物取引業法第34条の2第9項)。報告には、問い合わせの数や内覧の実績を書くのが一般的です。
持ち出し記録には、内覧のために鍵を持ち出した日と相手が残っています。報告を書くときに、この表を見れば、その期間に何回内覧があり、どの会社が案内したかを数え直す必要がありません。立ち入るときの連絡を「販売活動の報告でまとめて伝える」にした場合は、この記録が、売主への説明そのものになります。
販売活動の報告書の書き方と、報告書のテンプレートはこちらにまとめています。
よくある失敗と、無くしたときの対応
鍵の預かりで起きる失敗は、どれも小さなことから始まります。よくある形を5つ挙げます。
| よくある失敗 | 何が起きるか | 先にしておくこと |
|---|---|---|
| 「鍵一式」と書いて預かる | 返すときに、何がそろえば一式なのかで食い違う | 種類ごとの本数で書く |
| 他社に貸したまま忘れる | 次の内覧で鍵が見つからず、売主に連絡できない | 持ち出し記録に、貸した相手と戻った日を書く |
| 自社の鍵と混ざる | 似た鍵が保管庫の中で混ざり、別の物件の鍵を持ち出す | 物件ごとに袋かタグを分け、物件名を書く |
| 暗証番号を広く伝えすぎる | 誰が鍵を使ったかたどれない | 番号を教えた相手と日付を記録する |
| 媒介が終わっても返していない | 契約が切れた後も鍵が手元に残り、売主の不安になる | 返す時期を書き、媒介が終わる前に返す日を決める |
無くしたときの対応
鍵を無くしたと分かったら、まず売主へ連絡します。探してから連絡しようと考えがちですが、探している間にも、鍵を拾った誰かが建物に入れる状態が続いています。連絡が遅れたこと自体が、売主の信頼を大きく損ないます。
連絡したら、鍵(シリンダー)の交換などの対応と、費用の負担を話し合います。費用の負担に一律の答えはありません。預かり証の「無くしたとき」の欄で、連絡と話し合いの段取りを先に決めておくと、慌てずに済みます。
交換した場合は、預かり証の備考に、交換した日と新しい鍵の本数を書き足します。古い鍵を前提にした記録のままにしておくと、返すときに本数が合わなくなります。
不動産取引の紛争の事例は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)が相談や紛争の情報を公開しています。費用の負担で売主との話し合いがまとまらないときは、弁護士など専門家に相談してください。
鍵を預かる前の現地の確認は、物件調査のチェックリストとあわせて行うと、鍵が開くかどうかの確認も漏れません。
スマッチュ運営観測|鍵の書類は、探されているのに専用の書式がない
スマッチュでは、書類のテンプレートを配る記事を出す前に、その書類がどう探されているかを測っています。鍵預かり証について、2026年10月14日時点で確かめたことは次のとおりです。
| 確かめたこと | 結果 | 測り方 |
|---|---|---|
| 検索候補に出る語 | 「鍵預かり証」に続く候補10語のうち4語が、テンプレート・ひな形・ダウンロード・無料テンプレートといった書式を求める語 | Google の検索候補 |
| 上位に出る書式 | 会計ソフトの会社が配っている一般向けの預り証の解説が中心で、売買仲介が売主から鍵を預かる場面に絞った無料の Excel は見当たらなかった | 検索結果の上位の確認(網羅はできていない) |
| 媒介契約の約款 | 国土交通省が公開している標準媒介契約約款(令和4年5月26日最終改正の版)に「鍵」という語は0回 | 約款の本文の確認 |
検索候補の半分近くが書式を求める語だったのは、「鍵預かり証とは何か」を知りたい人より、「今すぐ使える1枚」を探している人が多いことを示しています。媒介契約書には鍵の決まりがないので、仲介会社の多くは、自社で書式を作るか、作らずに済ませているのだと考えられます。
同じ傾向は、10月14日に公開した鍵引渡書の記事でも見えていました。鍵引渡書を探している人は、決済の手順を知りたいのではなく、受け取りを残す1枚の書式を探しています。鍵を預かるときと渡すときの2枚をそろえたのは、この2つの場面が、1つの取引の中で続いて起きるからです。
テンプレートの使い方と、決済の鍵引渡書へのつなぎ
配布の Excel は5つのシートでできています。
| シート | 中身 |
|---|---|
| ① 使い方ガイド | ファイルの構成、使う順番、書き方の注意、出典 |
| ② 鍵預かり証(記入用) | A4縦1枚。7つの欄を上から順に埋める |
| ③ 記入例(空きビル) | 全フロアが空室の事務所ビルを、専任媒介で預かる場合の書き方(架空) |
| ④ 持ち出し記録 | 持ち出すたびに1行。判定(戻った・足りない・多い・未返却)と、本数の合わない件数が自動で出る |
| ⑤ スマッチュで使う | 内覧の前の工程(物件資料の整理・顧客探し・提案)を短くする方法の紹介 |
使う順番は、次の3つです。
- 鍵を受け取るとき:売主の前で鍵を種類ごとに数え、記入用のシートを埋める。2通印刷し、両方が署名して1通ずつ持つ
- 預かっている間:鍵を持ち出すたびに、持ち出し記録に1行書く。他社に貸すときも同じ
- 返すとき:記入用のシートの⑦の欄に、返した日と本数を書き、売主に受け取りの署名をもらう
決済の日に、買主へ直接渡すとき
売買がまとまると、預かっていた鍵を売主に返さず、決済の日に買主へ直接渡すことがあります。このとき使うのが鍵引渡書です。鍵引渡書には、売主から買主へ引き渡した鍵の種類と本数を書き、売主と買主が署名します。
預かり証の⑦の欄では、「買主へ引き渡した(鍵引渡書のとおり)」にチェックを入れます。これで、売主から預かった鍵が、どこへ行ったかが1本の線でつながります。預かったときの本数と、引き渡したときの本数が合っていれば、預かりの記録はそこで閉じられます。
鍵引渡書のテンプレートと書き方は、こちらにまとめています。
鍵を預かる前後には、物件の状態を売主から聞き取る書類や、買主候補に資料を出す前の書類もあります。売主が知っている物件の状態と付帯設備は物件状況等報告書・付帯設備表で、買主候補に詳しい資料を出す前の秘密保持は CA(秘密保持契約書)で取り交わします。
内覧の前の工程を、短くする
鍵を預かって内覧を重ねるには、その前に「この物件を見たい人」を探す工程があります。物件資料を整理して、条件の合う買主・投資家を探し、提案する。この工程を短くできれば、内覧の段取りと鍵の管理に時間を回せます。
スマッチュでは、物件資料をアップロードすると、AIが読み取った内容を確かめて物件概要書を作成します。「マッチング」ボタンで、登録した顧客の条件と全件照合し、条件の合う顧客への提案メールの下書きまで用意できます。鍵の管理は丁寧に、その前の資料づくりと顧客探しはAIで速く、という分担ができます。
物件PDFを送るだけ。
「誰にどう提案すべきか」まで
AIに完全丸投げ。
概要書づくり・顧客選び・紹介メール——物件紹介の面倒な作業を、AIがまるごと自動化。
物件概要書を自動作成
PDFをAIが読み取り、自社ロゴ入りの概要書に。手入力ゼロ。
紹介すべき顧客をAIが提案
登録顧客全員のニーズと自動照合し、おすすめ順に理由つきで提示。
紹介メールも下書きまで自動
顧客ごとに最適化した紹介文を、概要書つきでGmailの下書きに保存。
概要書づくりから紹介の準備まで

● 実際の画面|理由もメールもAIが自動生成
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鍵預かり証テンプレート(Excel・記入例+鍵の持ち出し記録つき)
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まとめ
鍵預かり証は、法律で決まった書類ではありません。物を預ける契約は合意だけで成り立ち、書面も要らないからこそ、何を何本預かったかは、預かり証を作らない限りどこにも残りません。媒介契約書の様式にも、鍵の決まりはありません。
書くのは、預かった日と当事者・鍵・目的と使える人・保管のしかた・返す時期と無くしたとき・署名・返したときの確認の7つです。鍵は種類ごとの本数で書き、他社に貸すかどうかと合鍵を作らないことは、預かるときに決めておきます。預かっている間は持ち出すたびに記録し、返すときは同じ紙で閉じます。決済の日に買主へ直接渡すなら、鍵引渡書につないで終わりです。
配布の Excel は、記入用の1枚・空きビルの記入例・持ち出し記録の3つを、そのまま使える形にまとめています。次に鍵を預かるときに、売主の前で一緒に数えるところから使ってみてください。
参考資料・出典
- 民法(e-Gov 法令検索):第400条(特定物の引渡しの場合の注意義務)、第644条(受任者の注意義務)、第656条(準委任)、第657条(寄託)、第659条(無報酬の受寄者の注意義務)、第662条(寄託者による返還請求等)
- 寄託に関する見直し(法務省):2020年4月施行の民法改正で、寄託が合意だけで成り立つ契約になったことの説明
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索):第34条の2(媒介契約)、第45条(秘密を守る義務)
- 宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款(国土交通省):令和4年5月26日最終改正の版
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO):不動産取引の紛争事例と相談の情報
- 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会:不動産取引の実務に関する情報
著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)
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私道の通行掘削承諾書を、記入例つきのExcelテンプレートで無料配布しています。2023年の民法改正で水道・ガス管を通す権利は明文化されましたが、売買の実務では今も承諾書が求められる場面があります。取得の段取り、承継・承諾料の書き方、重説への載せ方まで売買仲介の順に整理しました。

物件情報処理
越境に関する覚書テンプレート無料DL【Excel雛形・記入例つき】|撤去条件・承継の書き方と売買前の境界確認の段取り【売買仲介向け】
越境に関する覚書の無料Excelテンプレートを、記入例つきでダウンロードできます。室外機・庇・塀・樹木などの越境を売買の前にどう確かめ、撤去の条件や、買主・次の所有者へ引き継ぐ条項をどう書くかを、売買仲介の実務の順に解説します。境界確認の段取り表と、仲介会社が関わってよい範囲(弁護士法で禁じられた「非弁行為」との線引き)も整理しました。

物件情報処理
物件状況等報告書(告知書)・付帯設備表 エクセル無料テンプレート|事業用・収益物件の記載項目と記入例【売買仲介向け】
物件状況等報告書(告知書)と付帯設備表の無料Excelテンプレートを記入例つきでダウンロードできます。この2枚は宅建業法35条・37条が交付を義務づける書面ではありませんが、民法572条により「知りながら告げなかった事実」は免責特約があっても免責されません。全日・全宅連の標準書式の実物を確認したうえで、そこに欄が無い受変電設備・消防用設備等・エレベーター・PCB・テナントとの係争・定期借家の別など、一棟ビルや倉庫で必要になる事業用・収益物件の記載項目まで、売買仲介の実務に即して解説します。登録不要でダウンロードできます。
無料テンプレート
鍵預かり証テンプレート(Excel・記入例+鍵の持ち出し記録つき)
売却の媒介の期間中に、内覧の案内などのために、仲介会社が売主から物件の鍵を預かるときの受領書。預かった日と当事者・鍵(種類・番号・本数)・預かる目的と鍵を使える人・保管のしかた・返す時期と無くしたとき・確認と署名・返したときの確認の7つの欄を、A4縦1枚で印刷できます。全フロアが空室の事務所ビルの記入例と、持ち出した本数と戻した本数から判定(戻った・足りない・多い・未返却)を自動で出す持ち出し記録も収録しています。




