
鍵引渡書(物件引渡確認書)エクセル無料テンプレート|鍵の本数・付帯設備・書類を1枚で受領確認【不動産売買仲介】
鍵引渡書(物件引渡確認書)の無料Excelテンプレートを記入例つきで配布。鍵の本数と種類、付帯設備、引き渡す書類、電気・水道のメーター値、賃貸中の物件なら賃貸借契約書の原本や敷金の承継まで、売主から買主へ何を渡したかを1枚にまとめ、双方が署名して残せる受領書です。
鍵引渡書物件引渡確認書引渡し決済収益物件テンプレート売買仲介
決済の日の夕方、事務所に戻って一息ついたところに、買主から電話が来ます。「鍵、2本しかないんですけど、3本って聞いてましたよね?」。売主に聞くと「全部渡したはず」。こうなると、もう誰も本当の本数を証明できません。
鍵引渡書(物件引渡確認書)は、この「言った・言わない」を、引渡しのその場で終わらせるための書類です。鍵の本数と種類、付帯設備、引き渡す書類、メーターの値を、売主と買主が1枚の紙で確かめて署名します。
この記事では、鍵引渡書の位置づけを決済の進行表・付帯設備表との違いから整理し、書く項目と記入例、賃貸中の収益物件で足すもの、当日の段取り、よくある失敗を、事業用・収益不動産の売買仲介の実務に沿って説明します。
記事の最後まで読まなくても使えるよう、記入用の1枚、賃貸中の一棟マンションの記入例、引き渡すものの準備表を、Excelにまとめて無料で配布しています。
無料テンプレート
鍵引渡書(物件引渡確認書)テンプレート(Excel・記入例+引き渡すものの準備表つき)
売買の決済で、売主から買主へ物件を引き渡すときに、実際に渡した鍵・付帯設備・書類・メーターの値を1枚にまとめ、売主と買主が署名して残すための記入用テンプレート。引渡日時・当事者・物件の表示・鍵(種類・番号・本数)・付帯設備・引き渡す書類(原本か写しか)・メーター値・確認と署名の8つの欄に、賃貸中の物件で使う敷金の承継・入居者への通知・管理会社の欄を加え、A4縦1枚で印刷できます。賃貸中の一棟マンションの記入例と、必要な数と用意できた数から足りない数と判定(そろった・足りない)を自動で出す準備表も収録しています。
この記事の要点
- 鍵引渡書(物件引渡確認書)は、法律で決まった書類ではなく、引渡しの事実と渡したものの中身を残す受領書です
- 書く項目は引渡日時・当事者・物件・鍵・付帯設備・書類・メーター・署名の8つ。鍵は「一式」ではなく種類ごとの本数で書きます
- 賃貸中の収益物件は、賃貸借契約書の原本・敷金の承継・入居者への通知・管理会社の予備鍵が加わり、渡すものが一気に増えます
- 鍵を渡すのは残代金の着金を確かめた後。引渡日時もその時刻で書きます
- 配布の Excel はA4縦1枚で印刷でき、準備表で「何を・何本・誰が用意するか」を決済の前日までに確かめられます
「鍵、何本でしたっけ?」が決済の後に揉める理由
引渡しの後の揉めごとは、たいてい金額が小さく、そのぶん厄介です。数千円の合鍵や1枚のカードキーをめぐって、売主・買主・仲介の3者が電話をし合い、誰も証拠を出せないまま時間だけが過ぎていきます。
揉める理由は、次の3つに集約できます。
- 数えた人がいない:決済の場では、着金・登記・精算に気を取られ、鍵は封筒ごと手渡されがちです
- 「鍵」の範囲が人によって違う:玄関の鍵だけを思い浮かべる人と、郵便受け・物置・オートロックのカード・機械室まで含める人がいます
- 書いたものが残っていない:決済の進行表に「鍵の引渡し ✓」とあっても、何本だったかまでは書かれていません
収益物件になると、話はさらに大きくなります。共用部・各部屋の予備・設備室・駐車場のリモコンと、渡すものが数十点になることも珍しくありません。引渡しの後で1本足りないと分かれば、入居者の安全のためにシリンダーの交換が必要になり、費用の負担で揉めることになります。
鍵引渡書(物件引渡確認書)とは──決済の進行表・付帯設備表との違い
鍵引渡書は、売主から買主へ物件を引き渡したことと、そのとき渡したものの中身を、当事者どうしで確かめて残す受領書です。呼び方は会社によって「物件引渡確認書」「引渡完了確認書」「鍵受領書」などさまざまですが、役割は同じです。
宅地建物取引業法で交付が義務づけられた書面(重要事項説明書・37条書面)ではなく、書式も自由です。それでも作っておく理由は、引渡しの日が、売買の法律関係のいくつかの区切りになるからです。
- 引渡しの後に、売主・買主のどちらの責任でもない理由で物件が壊れたときは、原則として買主の負担になります(民法第567条)
- 物件が契約の内容に合わないときの売主の責任は、契約で「引渡しから◯か月」と期間を区切ることが多く、その場合は引渡しの日が数え始めになります
- 賃貸中の物件は、売買にともなって貸主の立場が買主に移り、敷金を返す義務も買主が引き継ぎます(民法第605条の2)
似た書類との違いを、表にまとめます。
| 書類 | 何を確かめるか | いつ作るか | 誰が署名するか |
|---|---|---|---|
| 売買契約書 | 売買の条件(価格・引渡日・特約など) | 契約の日 | 売主・買主(仲介も記名) |
| 付帯設備表・物件状況等報告書 | 引き渡す設備の有無と状態、売主が知っている不具合 | 契約の日(引渡しの前に見直す) | 売主(買主が受け取る) |
| 決済の進行表 | 決済の当日、誰が・何を・どの順で行うか | 決済の前日まで | 署名なし(仲介の段取り表) |
| 鍵引渡書(物件引渡確認書) | 実際に渡した鍵・設備・書類・メーター値 | 引渡しのその場 | 売主・買主(仲介は立会人) |
付帯設備表は「渡す約束」、鍵引渡書は「渡した事実」です。両方を並べて照合することで、約束と事実の食い違いをその場で見つけられます。
引渡しの日が「区切り」になる3つの場面
鍵引渡書に書く引渡日時は、ただの記録ではありません。売買の法律関係では、次の3つの場面で、引渡しの日が境目として働きます。
| 場面 | 引渡しの前 | 引渡しの後 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 物件が壊れたとき(地震・もらい火など) | 原則として売主の負担。買主は代金の支払いを拒める | 原則として買主の負担。買主は代金の減額や解除を求められない | 民法第567条 |
| 契約の内容に合わないことが見つかったとき | ― | 契約で決めた期間(引渡しから◯か月など)のうちに売主へ知らせる | 民法第566条・売買契約書の特約 |
| 賃貸中の物件の貸主の立場 | 売主が貸主 | 買主が貸主(入居者に主張するには所有権移転の登記が要る) | 民法第605条の2 |
1つめは、「危険の移転」と呼ばれる考え方です。引渡しを受けた後に、売主・買主のどちらの責任でもない理由で物件が壊れても、買主は売主に修理や代金の減額を求められません。決済の当日に鍵を渡した時刻が、その境目になります。
2つめは、契約不適合の責任の期間です。民法では、買主は不適合を知ってから1年以内に売主へ知らせればよいとされていますが、売買契約では「引渡しから3か月」のように期間を短く区切ることがよくあります。売主が宅地建物取引業者の場合は、宅地建物取引業法第40条により、引渡しから2年以上とする特約を除いて、民法より買主に不利な特約は無効になります。特約で「引渡しから◯か月」「引渡しから2年」と区切った場合は、引渡しの日が数え始めになります。特約がなければ、民法の原則どおり、買主が不適合を知った時から1年です。ただし、売主が引渡しのときに不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この1年の制限はかかりません(民法第566条ただし書)。責任を負わない・期間を短くするといった特約があっても、売主が知りながら告げなかったことについては責任を免れません(民法第572条)。
3つめは、賃貸中の物件だけの話です。貸主の立場は売買で買主に移りますが、入居者に対して「これからは私が貸主です」と主張し、賃料を請求するには、所有権移転の登記が済んでいる必要があります。決済の日に登記を申請するのは、このためでもあります。
この3つの場面で「引渡しはいつだったか」が問題になったとき、売主と買主が署名した鍵引渡書は、いちばん分かりやすい証拠になります。
書く項目と記入例
配布の Excel は、次の8つの欄で1枚になっています。上から順に埋めれば、抜けは起きません。
| 欄 | 書く中身 | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| ① 引渡日時・場所 | 年月日と時刻、決済の場所 | 着金を確かめた時刻を書く |
| ② 当事者 | 売主・買主の氏名(法人名と代表者)、立会いの仲介会社 | 法人は担当者名も添える |
| ③ 物件の表示 | 所在地・名称・部屋番号・種別 | 登記の表示と一致させる |
| ④ 鍵 | 種類・番号(刻印)・本数・備考 | 「一式」と書かない |
| ⑤ 付帯設備 | 付帯設備表のとおりか、違う点 | 違う点だけを具体的に書く |
| ⑥ 引き渡す書類 | 書類名・原本か写しか・部数 | 原本と写しを分けて書く |
| ⑦ メーター値 | 電気・ガス・水道の指針と読んだ時刻 | 写真を撮った旨も残す |
| ⑧ 確認と署名 | 「上記のとおり引き渡し、受領しました」の文と署名 | 売主・買主の両方が署名する |
鍵の欄
いちばん揉めやすいので、種類ごとに1行ずつ書きます。
- 種類:玄関・勝手口・郵便受け・物置・門扉・オートロックのカードキー・駐車場のリモコンなど
- 番号(刻印):鍵に刻まれた番号を書きます。メーカー純正の鍵か、後から作った合鍵かの見分けにもなります
- 本数:実際に数えた本数。「売主が把握している本数」と「実際に渡した本数」が違えば、両方を書きます
ディンプルキーやカードキーは、登録された番号やカードがないと追加で作れない種類があります。番号を控えた紙(セキュリティカード)も、鍵と一緒に引き渡す書類として書いておきましょう。
媒介の期間中に内覧のため売主から鍵を預かっていたなら、預かったときの本数と、ここで渡す本数が合うかも確かめます。鍵を預かるときの受領書(鍵預かり証)のテンプレートは、こちらにまとめています。
鍵の種類ごとの注意
鍵の形によって、確かめることが違います。とくに収益物件では、ふつうの鍵より、作り直しや設定の変更に手間がかかる鍵が増えています。
| 鍵の種類 | 確かめること | 鍵引渡書への書き方 |
|---|---|---|
| ふつうの鍵(ギザギザの鍵) | 刻印の番号、合鍵の有無 | 刻印と本数。合鍵が分からなければ「不明」 |
| ディンプルキー | 登録の番号を控えた紙(セキュリティカード)があるか | 本数と、番号控えのカードの有無 |
| オートロックのカードキー・タグ | 登録されている枚数と、なくした分の登録を消してあるか | 枚数と、登録の確認をした日 |
| 暗証番号・アプリで開ける電子錠 | 番号やアカウントを買主の側に変えられるか | 「暗証番号は引渡し後に買主が変更」と書く |
| マスターキー(一棟) | 1本で全住戸を開けられる鍵の本数と保管場所 | 本数と、誰が保管するか |
マスターキーは、1本で全住戸を開けられる鍵です。入居者の安全に直結するので、何本あって、引渡しの後は誰が保管するのか(買主か、管理会社か)を、鍵引渡書にはっきり書いておきます。
暗証番号やアプリで開ける電子錠は、鍵そのものを渡しても、番号やアカウントが売主のままだと、売主がいつでも開けられる状態が残ります。引渡しの後に買主が番号を変えること、アカウントを引き継ぐことを、備考に書いておきましょう。
付帯設備の欄
付帯設備は、契約のときに取り交わした付帯設備表を手元に置き、「付帯設備表のとおり」か「違う点あり」かを書きます。違う点だけを具体的に書けば十分で、全部の設備を書き直す必要はありません。
違う点として書くことが多いのは、次のようなものです。
- 契約の後に壊れた設備(エアコン・給湯器など)と、その扱い(売主が直した・買主が了承した)
- 付帯設備表では「有」なのに、引渡しのときに撤去されていたもの(照明器具・カーテンレール・物置など)
- 売主が置いたままにしていく残置物と、その処分をどちらがするか
残置物は、引渡しの後に「捨ててくれると思っていた」「置いていってよいと聞いた」と揉めやすいところです。残すものと処分するものを、品名で書いておきます。
記入例(賃貸中の一棟マンション)の読み方
配布の Excel の記入例は、住戸12戸のうち11戸が入居中、1戸が空室の一棟マンションを、法人の売主から法人の買主へ引き渡す場面です。社名・人名・番号・金額はすべて架空です。読み方のポイントを3つ挙げます。
- 鍵は6行に分けています。共用玄関のカードキー3枚、管理人室・機械室2本、屋上・受水槽1本、各住戸の予備鍵11本、空室の鍵3本、駐車場のリモコン2台で、合計の本数は自動で出ます
- 各住戸の予備鍵の行には「入居者が使用中の鍵は引き渡さない」と書き、数える範囲をはっきりさせています
- 空室の鍵は、合鍵を作ったかどうかを売主が覚えていないため、「不明」と書いたうえで、引渡し後に買主が交換すること、その費用は買主が負担することを備考に残しています
最後の点は、売主・買主のどちらが悪いという話ではなく、分からないことを分からないまま合意しておく書き方です。引渡しの場でこの1行を書いておけば、後で費用の負担をめぐって話し直す必要がなくなります。
書類の欄
売主から買主へ渡す書類は、物件によって大きく違います。戸建・区分・一棟で共通しやすいのは、建築確認済証と検査済証、設計図書、設備の取扱説明書と保証書、管理規約(区分)などです。
物件の種類ごとに、引き渡すことが多い書類を表にまとめます。物件によって無いものもあるので、「無い」と分かったものは、無いことを書いておきます。
| 書類 | 戸建 | 区分(1室) | 一棟・店舗 |
|---|---|---|---|
| 建築確認済証・検査済証 | ○ | (管理組合が保管していることが多い) | ○ |
| 設計図書・竣工図 | ○ | 管理組合の保管分を確かめる | ○ |
| 管理規約・使用細則・長期修繕計画 | ― | ○ | 区分所有の店舗なら○ |
| 賃貸借契約書(原本) | 賃貸中なら○ | 賃貸中なら○ | ○(部屋・区画ごと) |
| 設備の点検報告書(消防・昇降機など) | ― | (管理組合が保管) | ○ |
| 設備の取扱説明書・保証書 | ○ | ○ | ○ |
| 境界の確認書・測量図 | ○ | ― | 土地を含む売買なら○ |
それぞれ原本か写しかを必ず分けて書きます。確認済証の原本がなく写ししか渡せない、ということは珍しくありません。後で「原本をもらえるはずだった」とならないよう、その場で記録します。
メーターの欄
電気・ガス・水道の指針は、引渡しの時点の値を書き、写真を撮ったことも残します。公共料金の精算や名義の切り替えのときに、どの時点からが買主の負担かをはっきりさせるためです。
無料テンプレート
鍵引渡書(物件引渡確認書)テンプレート(Excel・記入例+引き渡すものの準備表つき)
売買の決済で、売主から買主へ物件を引き渡すときに、実際に渡した鍵・付帯設備・書類・メーターの値を1枚にまとめ、売主と買主が署名して残すための記入用テンプレート。引渡日時・当事者・物件の表示・鍵(種類・番号・本数)・付帯設備・引き渡す書類(原本か写しか)・メーター値・確認と署名の8つの欄に、賃貸中の物件で使う敷金の承継・入居者への通知・管理会社の欄を加え、A4縦1枚で印刷できます。賃貸中の一棟マンションの記入例と、必要な数と用意できた数から足りない数と判定(そろった・足りない)を自動で出す準備表も収録しています。
【収益物件の要】賃貸中の引渡しで足すもの
賃貸中の物件の売買では、物件と一緒に「貸主の立場」も買主へ移ります。民法第605条の2により、賃貸中の不動産が売られると、貸主の立場は原則として買主に移り、入居者に預かっている敷金を返す義務も買主が引き継ぎます。
そのため、鍵引渡書には、ふつうの引渡しにはない項目が加わります。
| 項目 | 書く中身 | よくある抜け |
|---|---|---|
| 賃貸借契約書 | 部屋ごとの契約書の原本の部数(写しなら写しと書く) | 更新の合意書・覚書が別綴じで漏れる |
| 敷金・保証金の承継 | 承継する総額と、精算書の金額と一致しているか | 償却の取り決めの読み違い |
| 予備の鍵 | 売主・管理会社が保管する予備鍵の部屋数と本数 | 入居者が使う鍵と混ざって数が合わない |
| 入居者への通知 | 貸主が変わったことと賃料の振込先の変更の通知をいつ・誰が出すか | 通知が遅れ、旧所有者の口座に賃料が入る |
| 管理会社 | 管理を続けるか、引き継ぎの窓口と日付 | 管理委託契約の解約予告の期限を過ぎる |
| 預かり物 | 駐車場・駐輪場のリモコン、宅配ボックスの暗証番号の控えなど | 暗証番号が口頭だけで伝わる |
入居者が使っている鍵は、入居者の手元に残るので引き渡しません。鍵の欄に「入居者が使用中の鍵は引き渡さない」と1行書き、予備の鍵だけを部屋ごとに数えると、数の食い違いが起きません。
敷金の額は、レントロールと精算書の数字が合っているかを、決済の前日までに確かめておきます。鍵引渡書には「承継する敷金の総額は精算書のとおり ◯◯円」と書けば十分です。

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スマッチュコラム
区分・一棟・店舗で、気をつける点も少しずつ違います。
- 区分(1室):管理組合への所有者の変更届と、管理費・修繕積立金の引き落とし口座の変更。玄関のほか、郵便受け・宅配ボックス・駐輪場の鍵を忘れがちです
- 一棟(マンション・アパート):共用部・機械室・受水槽・屋上の鍵と、各部屋の予備鍵。消防設備や昇降機の点検報告書の写しも渡す書類に入れます
- 店舗・事務所:テナントが自分で鍵を付け替えている場合があり、貸主が持つ予備鍵が実際の鍵と合うかを事前に確かめます
当日の段取り──いつ・誰が・どこで署名するか
鍵引渡書は、決済の流れの最後に置きます。順番を間違えると、代金を受け取る前に鍵だけが渡ってしまいます。
| 順番 | すること | 担当 |
|---|---|---|
| 1 | 本人確認・登記の書類の確認(司法書士) | 司法書士 |
| 2 | 融資の実行・残代金の着金の確認 | 買主・売主・銀行 |
| 3 | 固定資産税などの精算金の受け渡し | 売主・買主 |
| 4 | 鍵・書類を数えて渡し、鍵引渡書に署名 | 売主→買主(仲介が立会い) |
| 5 | 鍵引渡書を2通作り、売主・買主が1通ずつ持つ(仲介は写し) | 仲介 |
前日までに、売主から鍵と書類を預かれる場合は、仲介会社で一度数えておくと当日が楽になります。配布の Excel の「準備表」で、何を・何本・誰が用意するかを決め、足りないものを洗い出しておきましょう。
売主が立ち会えないとき
売主が遠方に住んでいる・法人で担当者が来られない、という場合は、売主が先に署名した鍵引渡書と鍵を、仲介会社が預かって当日に買主へ渡します。預かった日時・本数・預かった担当者を、備考に書いておきます。
鍵を郵送するとき
郵送は、追跡のできる方法で送ります。届いたその日に買主に本数を数えてもらい、署名した鍵引渡書を返送してもらう、という順番です。鍵だけが届いて書類が戻ってこない、ということがないよう、返信用の封筒を同封しておきます。
よくある失敗
引渡しで実際に起こりやすい失敗を、7つ挙げます。どれも、鍵引渡書に1行書いておけば防げるものです。
- 「鍵一式」と書いてしまう:何本だったかを誰も証明できません。種類ごとの本数で書きます
- カードキー・リモコンを数え忘れる:鍵の形をしていないものほど漏れます。オートロック・駐車場・宅配ボックスは別の行にします
- 合鍵の有無をあいまいにする:分からないなら「不明」と書き、買主にシリンダーの交換を案内します
- 原本と写しを区別しない:建築確認済証・検査済証は、原本がないことがあります
- 着金の前に鍵を渡す:買主に急かされても、着金の確認が先です
- メーターを読まない:公共料金の精算で、どこからが買主の負担かが決まらなくなります
- 1通しか作らない:売主・買主がそれぞれ1通ずつ持つよう、2通作ります
いずれも、一つひとつは小さな抜けです。ただ、引渡しの後に見つかると、もう一度3者で日程を合わせて確かめ直すことになります。決済の後に全員で集まり直す飲み会なら楽しいのですが、鍵の確認のためだと誰も喜びません。
引渡しの後で足りないと分かったら
どれだけ気をつけても、引渡しの後で「1本足りない」「この書類をもらっていない」と分かることはあります。そのときは、慌てずに次の順で進めます。
- 鍵引渡書を見て、その品目が書かれているか、何本と書かれているかを確かめる
- 書かれていれば、売主に「鍵引渡書では◯本でしたが、◯本しかありません」と、書面のとおりに伝える
- 書かれていなければ、売主に心当たりを聞き、見つからなければ鍵の交換を検討する
- 交換の費用をどちらが負担するかを、売主・買主で決め、決めた内容をメールなど残る形で送る
鍵引渡書に書かれていれば、話は「書いたものと実物が違う」という事実の確認から始められます。書かれていなければ、話は「渡したはず」「もらっていない」の言い合いから始まります。この差は、引渡しの後の電話の回数に、そのまま表れます。
賃貸中の物件で予備鍵が足りないときは、入居者の安全を先に考えます。誰の手にあるか分からない鍵が残っているなら、その部屋のシリンダーの交換を、費用の話より先に進めるのが無難です。
スマッチュ運営観測|「鍵引渡書」を探している人は、決済の手順ではなく1枚の書式を探している
ここからは、不動産仲介向けAIアシスタント「スマッチュ」を運営する立場からの観測です。
スマッチュのコラムには、決済・引渡しの当日の段取りをまとめた記事があります。その記事は、Google の検索で「鍵引渡書 テンプレート」と調べた人に、平均で2位前後に表示されていました。それでも、直近90日(2026年7月〜10月)でそこから記事を開いた人は0人でした(Google Search Console の集計・表示の回数そのものは少ない数です)。
検索結果のタイトルだけを見て、「これは段取りの話で、自分が欲しい書式ではない」と判断されたのだと考えています。同じ時期に「売買物件引渡確認書 エクセル」「物件引渡確認書 雛形」といった、書式そのものを指す言葉でも検索されていました。
仲介の現場で欲しいのは、読み物よりも、印刷してすぐ使える1枚です。この記事と配布の Excel は、その1枚を用意するために作りました。
テンプレートの使い方と、決済の前の段取りを短くする話
配布の Excel は、次の5つのシートでできています。
- 使い方ガイド:シートの構成と、印刷・保存のしかた
- 引渡確認書(記入用):A4縦1枚。上から順に埋めれば、8つの欄がそろいます
- 記入例(賃貸中の一棟マンション):予備の鍵・賃貸借契約書の原本・敷金の承継を含む書き方。社名・人名・番号はすべて架空です
- 準備表:引き渡すものごとに、必要な数・用意できた数・担当を入れると、足りないものに印が付きます
- スマッチュで使う:決済の前の工程(物件資料の整理・条件の合う顧客探し・提案)を短くする方法の紹介
使い方は、決済の前日までに準備表で数をそろえ、当日は引渡確認書を2通印刷して、その場で数えながら記入する、という流れです。
決済の書類をそろえる作業は、どうしても時間がかかります。そのぶん、決済の前の工程、つまり物件の資料を整理して、条件の合う買主を探して、提案する工程を短くできれば、引渡しの確認に時間を使えます。事務作業のどこから AI に任せられるかは、別の記事で全体をまとめています。
無料テンプレート
鍵引渡書(物件引渡確認書)テンプレート(Excel・記入例+引き渡すものの準備表つき)
売買の決済で、売主から買主へ物件を引き渡すときに、実際に渡した鍵・付帯設備・書類・メーターの値を1枚にまとめ、売主と買主が署名して残すための記入用テンプレート。引渡日時・当事者・物件の表示・鍵(種類・番号・本数)・付帯設備・引き渡す書類(原本か写しか)・メーター値・確認と署名の8つの欄に、賃貸中の物件で使う敷金の承継・入居者への通知・管理会社の欄を加え、A4縦1枚で印刷できます。賃貸中の一棟マンションの記入例と、必要な数と用意できた数から足りない数と判定(そろった・足りない)を自動で出す準備表も収録しています。
まとめ
- 鍵引渡書(物件引渡確認書)は、引渡しの事実と渡したものの中身を残す受領書。法律の書式はありませんが、引渡しの日は売買のいくつかの区切りになります
- 鍵は種類ごとの本数で書き、カードキーやリモコンも別の行にします
- 賃貸中の収益物件は、賃貸借契約書の原本・敷金の承継・予備の鍵・入居者への通知を加えます
- 鍵を渡すのは着金を確かめた後。鍵引渡書は2通作り、売主・買主が1通ずつ持ちます
決済が終わって買主と握手をした後、「鍵、何本でしたっけ?」の電話が来ない。それだけで、その日の夕食は少しおいしくなるはずです。
参考資料・出典
- 民法(e-Gov 法令検索):第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)、第567条(目的物の滅失等についての危険の移転)、第572条(担保責任を負わない旨の特約)、第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)
- 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省):2020年4月施行の改正の概要
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索):第35条(重要事項の説明)、第37条(書面の交付)、第40条(担保責任についての特約の制限)
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO):不動産取引の紛争事例と相談の情報
- 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会:不動産取引の実務に関する情報
著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)
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物件情報処理
物件状況等報告書(告知書)・付帯設備表 エクセル無料テンプレート|事業用・収益物件の記載項目と記入例【売買仲介向け】
物件状況等報告書(告知書)と付帯設備表の無料Excelテンプレートを記入例つきでダウンロードできます。この2枚は宅建業法35条・37条が交付を義務づける書面ではありませんが、民法572条により「知りながら告げなかった事実」は免責特約があっても免責されません。全日・全宅連の標準書式の実物を確認したうえで、そこに欄が無い受変電設備・消防用設備等・エレベーター・PCB・テナントとの係争・定期借家の別など、一棟ビルや倉庫で必要になる事業用・収益物件の記載項目まで、売買仲介の実務に即して解説します。登録不要でダウンロードできます。
無料テンプレート
鍵引渡書(物件引渡確認書)テンプレート(Excel・記入例+引き渡すものの準備表つき)
売買の決済で、売主から買主へ物件を引き渡すときに、実際に渡した鍵・付帯設備・書類・メーターの値を1枚にまとめ、売主と買主が署名して残すための記入用テンプレート。引渡日時・当事者・物件の表示・鍵(種類・番号・本数)・付帯設備・引き渡す書類(原本か写しか)・メーター値・確認と署名の8つの欄に、賃貸中の物件で使う敷金の承継・入居者への通知・管理会社の欄を加え、A4縦1枚で印刷できます。賃貸中の一棟マンションの記入例と、必要な数と用意できた数から足りない数と判定(そろった・足りない)を自動で出す準備表も収録しています。




