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境界確認書・筆界確認書のチェックリスト エクセル無料テンプレート|売買前にそろっているかを点検する見方・記入例【不動産売買仲介】

境界確認書・筆界確認書の点検用Excelテンプレートを記入例つきで無料配布。売買前に、隣地ごとの確認書・確定測量図・境界標がそろっているかを1枚で確かめられます。2つの書類の違いと、欠けていたときに売主・土地家屋調査士へ頼む段取りも解説します。

境界確認書筆界確認書確定測量図境界標チェックリストテンプレート売買仲介

売買契約の1週間前、買主の担当者から電話が来ます。「金融機関から、境界は確定しているかと聞かれました。確認書と測量図の写しをいただけますか」。売主に聞くと、「前に測量したはずだけど、どこにしまったか」。ようやく見つかった確認書は15年前のもので、東側の隣地の欄には、すでに亡くなった方の名前があります。現地に行くと、角の境界標が1つ見当たりません。

境界の書類は、そろっているかどうかを売り出しの前に確かめておかないと、契約や決済の直前に問題が見つかります。見つかってから土地家屋調査士を探し、隣地の方に立会いをお願いすると、日程は延び、値引きの交渉の材料にもなります。

この記事では、境界確認書と筆界確認書の違い、確定測量図・地積測量図・境界標との関係、売買契約の境界の明示と重要事項説明での扱い、点検する項目と記入例、欠けていたときの段取り、よくある失敗を、事業用・収益不動産の売買仲介の実務に沿ってまとめます。境界の位置を決めるのは土地家屋調査士の仕事です。この記事で扱うのは、仲介会社が「書類がそろっているか」を点検する見方です。

記事の最後まで読まなくても使えるよう、記入用の点検表、架空の土地での記入例、欠けていたときの段取り表、売主への聞き取り票を、Excelにまとめて無料で配布しています。

無料テンプレート

境界確認書・筆界確認書の点検表テンプレート(Excel・記入例+欠けていたときの段取り・売主への聞き取り票つき)

事業用・収益不動産の売買の前に、土地の境界の書類がそろっているかを点検する表。境界確認書・筆界確認書・道路や水路との境界の書類・確定測量図・地積測量図など11種類の書類の有無と日付・作った人、隣地ごとの確認書と今の所有者・境界標、現地で見ることの3つに分けて点検でき、隣地ごとの判定(そろっている・確認書が無い・署名者が今の所有者と違う・境界標を確かめる)は自動で出ます。架空の収益アパートの土地の記入例、状態ごとにまずやることと契約・重要事項説明での手当てをまとめた段取り表、売主への聞き取り票も収録しています。境界確認書そのものの書式ではありません。

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この記事の要点

  • 境界の点検は、書類(確認書・測量図・登記の記録)、隣地ごとの確認、現地の境界標の3つをそろえて見ます。どれか1つだけでは足りません
  • 境界確認書と筆界確認書は混ざって呼ばれますが、確かめている境は「持ち主どうしの境」と「登記上の境(筆界)」の2種類があります
  • 地積測量図や現況測量図があっても、境界が確定しているとは限りません。隣地すべての確認を経た確定測量図かを確かめます
  • 境界が確定しているかは重要事項に当たります。確定しないまま取引するなら、重要事項説明書に書いて説明します
  • 古い確認書は、署名した人が今の所有者と同じかを隣地ごとに見ます。相続や売買で変わっていれば、改めて確かめるかを相談します

「境界は確定していますか?」に答えられない売却

土地や一棟の収益物件の売買では、境界の質問は必ずと言っていいほど来ます。買主は、買ったあとに隣地ともめないかを気にします。金融機関は、担保にする土地の範囲がはっきりしているかを見ます。建替えや増築を考える買主なら、敷地の面積が計画に直接響きます。

それなのに、境界の書類は売主の手元でいちばん見つけにくい書類の1つです。測量をしたのが何十年も前だったり、相続で土地を引き継いだ売主が測量の経緯を知らなかったりします。書類があっても、確認書の相手の欄に書かれた隣地の所有者が、今はもう違うこともあります。

決済の直前に見つかると何が起きるか

境界の不備が契約や決済の直前に見つかると、取引には次のような影響が出ます。

見つかったこと起きやすいこと
確認書も確定測量図も無い測量から始めるため、引渡しの延期を相談することになる
境界標が無くなっている復元の測量と隣地の立会いが要り、日程が隣地の都合に左右される
確認書の署名者が今の所有者と違う買主や金融機関から、改めて確かめるよう求められることがある
道路・水路との境が確かめられていない役所の手続きに時間がかかり、決済日に間に合わないことがある
塀や室外機の越境が見つかる撤去の時期や承継の取り決めが要り、値引きの材料にされやすい

どれも、売り出しの前に分かっていれば、売主と相談して時間と費用の段取りを組めます。直前に分かると、選べる手が少なくなります。点検を早くするほど、売主と買主の両方にとって選択肢が残ります。

境界確認書と筆界確認書の違い|誰が作り、何を確かめる書類か

境界の書類の呼び名は、実務ではかなり混ざって使われています。同じ書類が「境界確認書」とも「筆界確認書」とも呼ばれることがあります。ただ、確かめている境そのものは、本来2種類あります。

横浜地方法務局は、筆界を「登記されている土地とその隣の土地とを区画する境界」と説明し、所有者どうしが認め合う所有権の境とは食い違うことがある、としています(筆界特定・横浜地方法務局)。筆界は、土地が登記されたときに決まった線で、所有者どうしの合意で動かすことはできません。

比べる点境界確認書(持ち主どうしの境の確認)筆界確認書(筆界確認情報)
確かめる境持ち主どうしが認め合う、土地の範囲の境登記上の境(筆界)の、現地での位置
主に使う場面売買の前の測量、塀の建替え、隣地とのもめごとの予防分筆・地積更正などの登記、確定測量
作るときに関わる人土地家屋調査士が測量し、隣地の所有者と立ち会う土地家屋調査士が測量し、隣地の所有者と立ち会う
署名する人隣り合う土地の所有者どうし隣り合う土地の所有者(登記の申請に添える)
合意で決められること持ち主どうしの境を認め合うこと筆界そのものは合意で動かせない。位置を確かめるだけ

実務では、1枚の書類で両方を兼ねていることも多くあります。点検するときは呼び名で判断せず、書類の題名・目的の欄・添付の図面を見て、何のために作られた書類かを確かめます。分筆や地積更正の登記の添付に使われたものなら、筆界の確認を目的にしていると考えられます。

なお、法務省は令和4年4月14日の通達(法務省民二第535号「表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いについて」)で、分筆や地積更正の登記での筆界確認情報の扱いを見直し、同年10月3日から全国の法務局で運用を始めています。法務省は、隣の土地の所有者が分からない場合でも、法務局に備え付けの精度の高い地図や地積測量図などで筆界を確かめられる場合があると案内し、詳しくは土地家屋調査士か管轄の法務局に相談するよう勧めています(隣の土地の所有者が分からなくてお困りの方へ・法務省)。「確認書が取れない隣地がある」ことが、すぐに手詰まりを意味するわけではありません。

確定測量図・地積測量図・境界標との関係

境界は、書類・図面・現地の杭の3つをそろえて見ます。どれか1つだけでは、境の位置ははっきりしません。

種類中身境界の確定を示すか
確定測量図隣地すべての所有者(道路など公有地を含む)の立会いと確認を経て作った測量図示す。確認書とセットで保管されていることが多い
地積測量図(法務局)分筆・地積更正などの登記のときに出された図面限らない。作られた年によって精度や確認の有無が違う
現況測量図今ある塀や杭などを測った図面示さない。隣地の確認を経ていないことが多い
境界標境の角に置くコンクリート杭・金属標・プレートなど図面の座標や寸法と合っているかを確かめて初めて意味を持つ

ここで大事なのは、「測量図がある」ことと「境界が確定している」ことは別だという点です。埼玉県の宅地建物取引業のよくある質問は、地積測量図や、売主が単独で作った測量図は確定測量図ではない可能性があり、測量図があることは境界の確定を意味しない、と注意しています(宅地建物取引業 よくある質問(重要事項説明)・埼玉県・PDF)。

境界標も同じです。杭が立っていても、工事で動いていたり、図面と位置が合っていなかったりすることがあります。点検では、図面の座標や寸法と照らして位置を確かめ、種類と写真を記録します。

話がまとまらないときの筆界特定制度

隣地と境の位置で意見が合わないときのために、法務局には筆界特定制度があります。筆界特定登記官が、外部の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地での筆界の位置を特定する制度です。

法務省の説明によると、申請できるのは、土地の所有者として登記されている人やその相続人などです。申請の手数料は土地の価格で決まり、申請する土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円なら8,000円という例が示されています。結果に納得できない場合は、裁判で筆界を争うこともできます(筆界特定制度・法務省)。

ただし、筆界特定は所有権の範囲を決める手続きではありません。法務省も、土地の所有権がどこまであるのかを特定するものではないと説明しています。持ち主どうしの境で話し合いが要るときは、土地家屋調査士会の境界問題の相談窓口(ADR)や弁護士への相談も選択肢になります(筆界特定・横浜地方法務局)。

時間もかかります。横浜地方法務局は、筆界特定の標準処理期間を、令和7年10月1日の受付分から9か月(従来は7か月)としています。売り出しの日程に組み込めるほど短い手続きではないので、境で争いがある土地は、解決の見通しが立つまで契約を急がないのが基本です。

売買契約の「境界の明示」と重要事項説明

境界の書類は、売買契約書と重要事項説明書の両方に関わります。

売買契約書では、売主が引渡しまでに、隣地との境界を現地で買主に示すことを定めるのがよく使われる書き方です。条項の例としては、「売主は、買主に対し、残代金の支払日までに、現地において隣地との境界を明示する」といったものがあります。書類と境界標がそろっていれば、売主は現地で境界標を示し、確定測量図と確認書の写しを渡すことで、この約束を果たせます。そろっていなければ、測量や境界標の復元が要り、その期限と費用をだれが持つかが問題になります。

重要事項説明では、境界が確定しているかどうかが説明の対象になります。埼玉県のよくある質問(令和7年12月1日現在の法令による)は、次のように整理しています(宅地建物取引業 よくある質問(重要事項説明)・埼玉県・PDF)。

論点埼玉県のよくある質問での整理
境界の確定の有無重要事項に当たる
宅建業者の調査境界標の確認、売主への境界の明示の求め、告知書などで調べ、結果を買主に説明する
確定しないまま取引する場合その旨を重要事項説明書に書いて説明する
測量図の扱い地積測量図や売主が単独で作った測量図は、確定測量図ではない可能性がある。測量図があることは境界の確定を意味しない

点検表で「そろっていない」隣地が見つかったら、売買契約書には、境界を示す期限、測量の費用の負担、示せなかったときの扱い(引渡しの延期、契約の解除、現状のままの引渡しなど)を書いておきます。重要事項説明書には、点検で分かった状態をそのまま書きます。書類があいまいなまま「確定済み」と説明するのが、いちばん避けたい形です。

重要事項説明の準備全体は、こちらのチェックリストにまとめています。

点検表の項目と記入例

配布の Excel の点検表は、A. 書類、B. 隣地ごとの確認、C. 現地で見ること、の3つに分かれています。上から順に埋めると、「どの隣地の、何が欠けているか」が1枚で分かります。

書類の欄(確認書・測量図・登記の記録)

A の欄では、次の11種類の書類について、有無・日付・作った人・写しの有無を書きます。有無は一覧から「有・無・不明」を選べます。持っていない種類の書類(筆界特定書など)は、空けておくか、メモの欄に「該当なし」と書きます。

書類点検で見ること
境界確認書(隣の民有地との)隣地ごとにあるか。日付と署名した人
筆界確認書(筆界確認情報)分筆・地積更正の登記に使われたものか
道路・水路との境界の書類(官民)役所の境界確定図・承諾書などがあるか
確定測量図隣地すべての確認を経ているか。作った土地家屋調査士
地積測量図(法務局)作られた年。確定測量図とは限らない
現況測量図隣地の確認を経ていないことが多い
公図(地図・地図に準ずる図面)土地の並びと形
登記事項証明書(この土地)地番・地積(公簿)・所有者
登記事項証明書(隣地)隣地の今の所有者。確認書の署名者と同じか
筆界特定書筆界特定がされている場合だけ
越境に関する覚書越境の取り決めがある場合だけ

分からない書類は「無」とせず「不明」を選びます。「無」と書いた書類が、あとで売主の金庫から出てくることはよくあります。逆に「ある」と聞いていた書類が見つからないこともあるので、写しを手元にもらうまでは「写しの有無」の欄を空けておきます。

隣地ごとの欄

B の欄は、隣地1つにつき1行で、最大8行まで書けます。書く項目は次のとおりです。

欄書き方
隣地(方角・地番)「北(101番3)」のように、方角と地番を並べる
種類民有地か、道路・水路など公有地か
確認書の有無・日付隣地ごとに書く。日付は年月まで
確認書に署名した人確認書に書かれた名前
今の所有者(登記)隣地の登記事項証明書で確かめた名前
署名した人と今の所有者「同じ・違う・不明」から選ぶ
境界標「全部ある・一部無い・無い・不明」から選ぶ
判定(自動)上の欄から自動で出る

判定の列は、「確認書が無い」「署名者が今の所有者と違う」「今の所有者を確かめる」「境界標を確かめる」「そろっている」のどれかを自動で表示します。判定が「そろっている」以外の行が、手当ての要る隣地です。表の下には、隣地の数と、そろっている隣地の数が自動で出ます。

C の欄は、現地で見る6つの項目です。境界標の位置を図面と照らす、境界標の種類を記録して写真を撮る、無くなっている・傾いている・動いた跡のある境界標を書き出す、塀や擁壁の位置を見る、室外機・庇・樹木・配管などの越境物を見る、道路・水路との境の役所の境界標を見る、の6つです。

現地の調査全体の流れは、物件調査のチェックリストの記事にまとめています。

記入例(架空の収益アパートの土地)の読み方

記入例は、北・東・西の民有地3つと、南の市道に接する、架空の収益アパートの土地です(物件名・地番・人名はすべて見本の架空のものです)。公簿の地積は330.57㎡、2009年の確定測量図による実測は332.10㎡で、公簿売買の想定にしています。

隣地確認書署名した人と今の所有者境界標判定
北(101番3)有(2009年6月)同じ全部あるそろっている
東(101番2)有(2009年6月)違う(署名者は2019年に死亡、2020年に相続)一部無い署名者が今の所有者と違う
西(102番)有(2009年6月)同じ全部あるそろっている
南(市道)有(2009年4月)同じ(見本市)全部あるそろっている

4つの隣地のうち3つはそろっていて、表の下の集計は「4 / 3」(隣地の数 / そろっている隣地の数)と出ます。手当てが要るのは東の隣地です。確認書はありますが、署名した方は亡くなり、土地は相続で別の方に移っています。さらに南東の角の境界標が無くなっています。

この場合の次の一手は、メモの欄に書いてあるとおりです。確認書の写しを買主へ渡せるかを売主に確かめ、南東の角の境界標の復元を土地家屋調査士に頼み、今の所有者に立会いをお願いします。南の市道については、2009年の境界確定図が今も有効かを市に確かめます。

判定の式は、確認書の有無を先に見て、次に署名した人と今の所有者、最後に境界標を見ます。東の隣地は境界標も欠けていますが、判定には署名者の違いが先に出ます。判定は「最初に手を付けること」を示すもので、欠けている所の全部ではありません。メモの欄に、残りの手当ても書いておきます。

無料テンプレート

境界確認書・筆界確認書の点検表テンプレート(Excel・記入例+欠けていたときの段取り・売主への聞き取り票つき)

事業用・収益不動産の売買の前に、土地の境界の書類がそろっているかを点検する表。境界確認書・筆界確認書・道路や水路との境界の書類・確定測量図・地積測量図など11種類の書類の有無と日付・作った人、隣地ごとの確認書と今の所有者・境界標、現地で見ることの3つに分けて点検でき、隣地ごとの判定(そろっている・確認書が無い・署名者が今の所有者と違う・境界標を確かめる)は自動で出ます。架空の収益アパートの土地の記入例、状態ごとにまずやることと契約・重要事項説明での手当てをまとめた段取り表、売主への聞き取り票も収録しています。境界確認書そのものの書式ではありません。

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欠けていたときの段取り

点検で欠けている所が見つかったら、状態ごとに手当てを決めます。配布の Excel の段取り表は、8つの状態について、まずやること・頼む先・目安の期間・契約と重要事項説明での手当てをまとめています。主なものは次のとおりです。

状態まずやること頼む先目安の期間
確認書も確定測量図も無い確定測量をするかを売主に決めてもらい、見積もりを取る土地家屋調査士(依頼者は売主)申し込みから登記まで約3か月が多い
署名した人が今の所有者と違う確認書の写しを渡せるか確かめ、改めて確かめるかを相談する売主・土地家屋調査士立会いの日程しだい
境界標が無い・動いた跡がある確定測量図の座標をもとに復元を頼み、隣地に立会いをお願いする土地家屋調査士数週間〜1か月ほど
地積測量図だけがある作られた年と、隣地の確認を経ているかを確かめる法務局・土地家屋調査士数日〜
道路・水路との境が確かめられていない役所に境界確定の記録があるかを問い合わせる役所の担当課・土地家屋調査士数か月かかることがある
隣地の所有者が分からない登記事項証明書で確かめ、分からなければ相談する土地家屋調査士・法務局事案しだいで長くなる

期間の目安は、野村不動産ソリューションズのノムコムの解説によるものです。確定測量は、申し込みから登記の申請が終わるまで3か月ほどかかることが多く、そのうち境界の立会いと境界標の設置で約1か月かかるとしています。費用は、道路など公有地との境(官民査定)を含むと60万〜80万円、民有地どうしだけなら30万〜50万円が目安です(ノムコム・野村不動産ソリューションズ、2024年11月1日更新)。

道路や水路との境は、役所の手続きを通るので、民有地どうしより時間がかかりやすい所です。点検で官民の境の書類が見当たらなければ、ほかの隣地より先に役所へ問い合わせます。

段取りを決めるときに大事なのは、費用と期限を売主と先に話し合うことです。測量をするかどうか、費用をどちらが持つかは、売主の判断です。確定測量をしないで売り出すなら、その状態を重要事項説明書に書き、売買契約書で、境界を示す範囲と示せなかったときの扱いを決めておきます。

売買で売主にそろえてもらう書類全体は、こちらにまとめています。

よくある失敗と防ぎ方

境界の点検でよくある失敗と、防ぎ方をまとめます。

よくある失敗防ぎ方
「測量図があります」と聞いて、確定済みと思い込む図面の種類(確定・地積・現況)と作られた年、隣地すべての確認を経ているかを確かめる
確認書があることだけ見て、署名者を見ない隣地の登記事項証明書を取り、署名した人と今の所有者を並べる
書類だけ見て、現地の境界標を見ない現地で図面の寸法と照らし、写真を撮る。工事のあとは特に注意する
道路・水路との境を後回しにする官民の境は時間がかかるので、点検で欠けていれば最初に役所へ問い合わせる
「有無が分からない」書類を「無」と書く「不明」とし、売主か土地家屋調査士に確かめてから書き直す
越境物を境界の問題と一緒に片付けようとする境界の確認と、越境物の扱いの取り決めを分ける

最後の点は、境界の点検でよく混ざる所です。境界確認書で境の位置がはっきりしても、隣地のブロック塀や室外機がこちらに出ていれば、それをいつ撤去するか、撤去するまでどう扱うかは別に決める必要があります。境界の書類は「境がどこか」を確かめるもの、越境の覚書は「出ている物をどう扱うか」を決めるものです。

点検表の C の欄で越境物が見つかったら、越境に関する覚書の段取りに進みます。書き方と記入例は、こちらの記事にまとめています。

スマッチュ運営観測|公的機関の書式は多いが、売買仲介向けの点検表は少ない

スマッチュでは、書類のテンプレートを配る記事を出す前に、その書類がどう探されているかを調べています。境界確認書について、2026年11月1日に確かめたことは次のとおりです。

確かめたこと結果測り方
「境界確認書 テンプレート」で出てくる書式確かめた5件はすべて公的機関(県の土木の事務所、森林管理局、町)の書式だった検索の道具で返った結果
書式の用途道路や国有林など、公有地との境を確かめる申請用が中心各ページの記載
民間のサービスの書式大手のサービスが、同じ名前の汎用の書式を配っている配布ページの記載
スマッチュのコラム172本の中境界確認書・筆界確認書の名前が出る記事は2本(越境の覚書と、売買の必要書類)サイト内の全文検索

「境界確認書」で探して出てくる書式の多くは、役所に出す申請の書式か、確認書そのもののひな形です。仲介会社が売り出しの前に、手元の書類と隣地ごとの確認と現地の境界標がそろっているかを点検する、という場面の表は多くありません。この記事で、確認書そのもののひな形ではなく点検表を配ることにしたのはそのためです。境界確認書を作るのは、測量と立会いをする土地家屋調査士の仕事なので、仲介会社が手元で使うなら、点検の表のほうが役に立つと考えました。

スマッチュのサイトではこれまで、越境の覚書で「境界を確かめる書類と、越境物の扱いを決める書類は別」と書き、売買の必要書類のチェックリストで確定測量図に触れてきました。今回の記事は、その間にある「境界の書類がそろっているかを確かめる」工程を埋めるものです。

テンプレートの使い方と、販売資料へのつなぎ

配布の Excel は6つのシートでできています。

シート中身
① 使い方ガイドファイルの構成、使う順番、書き方の注意、出典
② 境界の点検表(記入用)A. 書類11種類、B. 隣地ごとの確認(8行・判定は自動)、C. 現地で見ること6項目
③ 記入例(架空の土地)隣地3つと市道に接する、架空の収益アパートの土地。東の隣地が相続で所有者が変わり、境界標が1つ無い例
④ 欠けていたときの段取り8つの状態ごとの、まずやること・頼む先・目安の期間・契約と重要事項説明での手当て
⑤ 売主への聞き取り票出してもらう書類7項目の「ある・無い・分からない」と、売主に聞くこと8つ
⑥ スマッチュで使う物件資料の整理・顧客探し・提案の工程を短くする方法の紹介

使う順番は、次の4つです。

  1. 媒介契約の直後:売主への聞き取り票で、手元にある境界の書類と、隣地との話し合いの経緯を聞く。法務局で、この土地と隣地の登記事項証明書・公図・地積測量図を取る
  2. 現地を見るとき:点検表の C を見ながら、売主の立会いで境界標と塀・越境物を見て、写真を撮る
  3. 販売の前:点検表の B で隣地ごとの判定を見て、そろっていない隣地があれば、段取りのシートで手当てを決め、売主と費用と期限を話し合う
  4. 契約の前:点検の結果を、重要事項説明書と売買契約書(境界を示す期限・費用の負担・示せなかったときの扱い)に書く

販売資料へのつなぎ

点検の結果は、販売資料にも短く書いておくと、買主からの質問が減ります。物件概要書やマイソクの備考の欄に、「確定測量図あり(2009年)・境界標は南東の角を除き確認済み(復元を手配中)」のように1行で書きます。確認書と測量図の写しは、詳しい資料として、買主が検討を進める段階で渡します。

境界の状態を販売資料に書くのは、悪い材料を先に出すようで気が進まないかもしれません。ただ、書類がそろっていない所を契約の直前に知らされるより、最初から状態と手当ての予定が分かっているほうが、買主は検討を続けやすくなります。

資料づくりと顧客探しを、短くする

境界の点検は、売主との打ち合わせ、法務局での書類の取得、土地家屋調査士や役所とのやりとりが続く、時間のかかる仕事です。その時間を作るには、ほかの工程を短くする必要があります。物件資料を整理して、条件の合う買主・投資家を探し、提案する工程です。

スマッチュでは、物件資料をアップロードすると、AIが読み取った内容を確かめて物件概要書を作成します。概要書には備考の欄があるので、境界の状況を書き足せます。「マッチング」ボタンで、登録した顧客の条件と全件照合し、条件の合う顧客への提案メールの下書きまで用意できます。境界の点検は丁寧に、その前後の資料づくりと顧客探しはAIで速く、という分担ができます。

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概要書づくり・顧客選び・紹介メール——物件紹介の面倒な作業を、AIがまるごと自動化。

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事業用・収益不動産の売買の前に、土地の境界の書類がそろっているかを点検する表。境界確認書・筆界確認書・道路や水路との境界の書類・確定測量図・地積測量図など11種類の書類の有無と日付・作った人、隣地ごとの確認書と今の所有者・境界標、現地で見ることの3つに分けて点検でき、隣地ごとの判定(そろっている・確認書が無い・署名者が今の所有者と違う・境界標を確かめる)は自動で出ます。架空の収益アパートの土地の記入例、状態ごとにまずやることと契約・重要事項説明での手当てをまとめた段取り表、売主への聞き取り票も収録しています。境界確認書そのものの書式ではありません。

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まとめ

境界の点検は、書類・隣地ごとの確認・現地の境界標の3つをそろえて見る作業です。境界確認書と筆界確認書は混ざって呼ばれますが、確かめている境には、持ち主どうしの境と登記上の境(筆界)の2種類があります。測量図があっても、隣地すべての確認を経た確定測量図でなければ、境界が確定しているとは限りません。

点検は売り出しの前に行います。古い確認書は、署名した人が今の所有者と同じかを隣地ごとに見て、境界標は図面と照らして確かめます。欠けている所が見つかったら、状態ごとに手当てを決め、費用と期限を売主と先に話し合います。境界が確定しないまま取引するなら、重要事項説明書に書いて説明し、売買契約書で扱いを決めておきます。

配布の Excel は、記入用の点検表・架空の土地の記入例・欠けていたときの段取り表・売主への聞き取り票を、そのまま使える形にまとめています。次の媒介契約のあと、聞き取り票を売主と一緒に開くところから使ってみてください。買主の「境界は確定していますか」に、点検表を開いてその場で答えられれば、それがいちばんの成果です。

参考資料・出典

著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)

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境界確認書・筆界確認書の点検表テンプレート(Excel・記入例+欠けていたときの段取り・売主への聞き取り票つき)

事業用・収益不動産の売買の前に、土地の境界の書類がそろっているかを点検する表。境界確認書・筆界確認書・道路や水路との境界の書類・確定測量図・地積測量図など11種類の書類の有無と日付・作った人、隣地ごとの確認書と今の所有者・境界標、現地で見ることの3つに分けて点検でき、隣地ごとの判定(そろっている・確認書が無い・署名者が今の所有者と違う・境界標を確かめる)は自動で出ます。架空の収益アパートの土地の記入例、状態ごとにまずやることと契約・重要事項説明での手当てをまとめた段取り表、売主への聞き取り票も収録しています。境界確認書そのものの書式ではありません。

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