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不動産仲介の物件調査チェックリスト 無料Excelテンプレート 現地・役所・法令・権利関係 アイキャッチ
物件情報処理

【無料テンプレDL】物件調査チェックリスト(事業用・収益)Excel雛形・記入例つき|現地・役所・法令・権利関係の調査項目を漏れなく概要書に落とす(不動産仲介)【2026年版】

事業用・収益物件の物件調査チェックリストを無料Excelで配布。現地・役所・法令・権利関係の調査項目と確認先窓口、記入例、宅建業法の調査・重要事項説明の根拠まで、不動産仲介の実務目線で解説。概要書・提案の「買える根拠」づくりに使えます。【2026年版】

物件調査チェックリスト収益物件重要事項説明不動産仲介

この記事の要点

収益物件でも実需でも、仲介の信用は物件調査の精度で決まります。現地を見て、役所をまわり、登記を確認する。この地道な作業を飛ばすと、後から接道の問題や違反建築、越境が出てきて、契約や決済が止まります。買主や売主から見れば「この担当は調べていない」と一目で分かり、任せてもらえなくなります。

本記事では、事業用・収益物件の物件調査を、現地・役所・法令・権利関係の4領域に整理し、それぞれの調査項目と確認先の窓口を、宅建業法の根拠つきでまとめます。そのうえで、事業用・収益物件で特に見落としやすい落とし穴、調査結果を概要書や重要事項説明に落とす流れまでを実務目線で解説し、そのまま使える無料のExcelテンプレート(調査項目・確認先・記入例つき)を配布します。

先にテンプレートだけ受け取りたい方へ。物件調査チェックリストのExcel(確認先・記入例入り)を、下のフォームから無料でダウンロードできます。

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物件調査は、仲介の信用と収益を左右する

物件調査とは、その物件がどんな土地・建物で、どんな法的制限や権利関係を持ち、実際に使える・売れる・貸せる状態なのかを、現地と役所と書類で確かめる作業です。事業用・収益物件では、この調査の精度がそのまま提案の説得力になり、価格交渉の主導権を左右します。

いま、収益不動産の利回りは投資家にとってシビアな水準にあります。日本不動産研究所の調査では、東京・城南地区のワンルームの期待利回りは3.6%、ファミリータイプは3.7%と、低い水準で推移しています。利回りが薄い局面ほど、買主は「本当にこの数字が続くのか」「あとで問題が出ないか」を厳しく見ます。調査が甘い物件は、それだけで買い叩かれます。

そして、都市部では物件価格が上昇局面にあり、取引の金額も大きくなっています。国土交通省の不動産価格指数でも、区分所有マンションの指数が住宅総合を上回って推移しています。金額が大きいほど、調査漏れが招くトラブルの損害も大きくなります。

ここで、仲介の立場としての線引きを先に置きます。宅地建物取引業法第35条は重要事項の説明義務を定めており、その前提として調査が必要になります。ただし、第35条そのものは「説明義務」を定めた規定で、「調査義務」を直接明文化した条文ではありません。調査義務は、第35条・第37条書面の前提として事実上必要になること、同法第31条の信義誠実義務、媒介契約が準委任にあたることから生じる民法上の善管注意義務、といった複数の根拠の積み重ねで導かれるものと理解されています。すべてを「法的義務」と単純化せず、実務上不可欠な自衛策として丁寧に行う、という姿勢が正確です。

物件調査の全体像:4領域+事業用特有

物件調査は、やみくもに現地へ行くだけでは漏れが出ます。次の4領域に分けて、それぞれをチェックリストで潰していくと、抜けを防げます。事業用・収益物件では、これに遵法性や耐震などの「建物リスク」が加わります。

領域主に見るものどこで調べるか
現地調査境界・越境・接道・道路・高低差・インフラ・周辺現地(目視・メジャー・写真)
役所調査用途地域・建ぺい/容積・道路種別・法令制限・災害区域市区町村・都道府県の各窓口
法令上の制限接道義務・セットバック・開発許可・各種規制役所調査の結果を法令に照らす
権利関係所有権・抵当権・賃借権・地役権・境界・私道法務局(登記・公図・地積測量図)
事業用・収益特有遵法性・耐震・アスベスト・消防・テナント検査済証・図面・専門家・賃貸借契約

この5つの視点で「自分は今どこを見て、どこを見ていないか」を意識するだけで、調査の質が変わります。以下、領域ごとにチェック項目を整理します。

本題に入る前に、いま自分が扱っている物件で、次のことを即答できるか確認してみてください。

  • 前面道路が建築基準法上の何号道路か、接道が2m以上あるかを言えるか
  • 用途地域・建ぺい率・容積率と、現況建物がそれに収まっているかを言えるか
  • 登記の権利関係(抵当権・賃借権など)と、現況・公図との相違を確認したか
  • 事業用なら、検査済証の有無・耐震・アスベストの記録を確認したか

ここが曖昧なまま提案に進むと、買主や金融機関の質問で足元を見られます。

現地調査チェックリスト【一覧表】

現地は、書類だけでは分からない事実の宝庫です。境界、越境、接道、インフラは、必ず自分の足で確かめます。以下は代表的な確認項目です。

項目何を確認するかなぜ必要か
境界標境界標の有無、官民境界・民民境界の別、確定測量図の有無面積・越境・トラブルの起点。無ければ確定測量の要否を助言
越境塀・樹木・庇・軒・雨樋・アンテナ・給排水管・地中埋設物の越境買主の負担・是正の火種。是正の覚書の有無も確認
接道・間口前面道路に何m接しているか、間口の広さ接道義務・建築可否・再建築の可否に直結
道路幅員前面道路の実測幅員、道路の状況幅員4m未満ならセットバックの可能性
高低差・擁壁敷地の高低差、擁壁の有無・設置時期・確認済証造成規制・工作物の適法性・追加費用の判断
インフラ上水・下水(公共/浄化槽)・ガス・電気の引込状況引込がないと追加費用。私設管の有無も
ハザード河川氾濫(外水)・内水氾濫・高潮・土砂災害の想定融資・保険・重説に影響。役所調査で裏取り
周辺環境嫌悪施設・騒音・臭気・電柱や支線賃料・稼働・買主の判断に影響

現地で見えるのは「事実の入口」までです。たとえば地役権は本来、登記事項証明書の乙区に記載される権利で、現地で確認できるのは電柱や支線などの物的な痕跡までです。有無そのものは、後述の法務局調査で裏取りします。現地でメモした事実を、必ず書類とつなげて確認するのがコツです。

物件の情報を号室・区画単位で整理する台帳の考え方は、次の記事も参考になります。

収益物件の場合、現況の賃料や稼働の整理も並行して必要です。

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役所調査チェックリスト【所管窓口つき】

役所調査は、どの窓口で何を確認するかを知っているかどうかで、かかる時間がまったく変わります。以下は代表的な窓口と確認事項です。窓口の名称や分担は自治体によって異なるため、訪問前に電話で確認しておくと二度手間を防げます。

窓口(名称は自治体差あり)主な確認事項取得・確認できるもの
都市計画課用途地域・建ぺい率・容積率・防火/準防火地域・都市計画道路・地区計画都市計画図・各種制限の内容
建築指導課(建築主事)前面道路の種別(建築基準法42条)・接道・違反建築の有無建築計画概要書・台帳記載事項証明
道路管理課/土木事務所道路境界・幅員・認定道路か私道か・セットバックの扱い道路台帳・幅員証明
上下水道局本管の口径・位置・私設管の有無・負担金給排水設備図
教育委員会埋蔵文化財包蔵地かどうか(文化財保護法93条の届出)包蔵地の地図
農業委員会農地かどうか・農地法の許可/届出農地転用の要否
環境部局(都道府県・政令市)土壌汚染対策法の区域指定の有無区域図
都道府県 砂防担当課/市町村 防災担当課土砂災害警戒区域・造成宅地防災区域・津波災害警戒区域区域の指定状況

いくつか、間違えやすい点を補足します。

農地については、市街化区域内であれば農地法第4条・第5条の「届出」で足りるのに対し、市街化調整区域などでは「許可」が必要になります。許可制と届出制の違いは、取引のスケジュールに直結するので必ず確認します。

災害区域と土壌汚染は、窓口が別です。土壌汚染は環境部局ですが、土砂災害・造成宅地防災・津波などの災害区域は、都道府県の砂防・防災担当課や市町村の防災担当課が中心です。「環境課でまとめて聞ける」と思い込むと漏れます。

セットバック(後述)の判定を建築指導課で行うか道路管理課で行うかも、自治体によって分かれます。生産緑地の所管も都市計画課とは別部署のことがあります。「窓口はこう」と決めつけず、自治体ごとに確認する姿勢が安全です。

法令上の制限と権利関係のチェック

役所で集めた情報は、法令に照らして初めて「建てられるか」「再建築できるか」の判断になります。ここを外すと、価格の根拠が崩れます。

接道義務とセットバック

建築基準法第43条第1項により、建築物の敷地は原則として、同法第42条の道路(幅員4m以上)に2m以上接していなければなりません。これを接道義務といいます。第42条の道路には、道路法上の道路(1項1号)、開発許可等による道路(2号)、基準時に現に存在した道(3号)、事業執行予定として特定行政庁が指定した道(4号)、位置指定道路(5号)、そして幅員4m未満で特定行政庁が指定したみなし道路(2項道路)があります。

幅員4m未満の2項道路に接する敷地は、原則として道路の中心線から2m後退した線が敷地と道路の境界とみなされます(セットバック)。川や崖に接する場合は、反対側の境界線から4m後退が求められます。後退部分には建築できず、実質的に使える面積が減るため、収益や価格に直結します。

なお、かつての「第43条ただし書き」による許可は、2018年の建築基準法改正で、第43条第2項第1号(認定)と第2号(許可)に再編されました。現行法に「第43条ただし書き」という条文はないため、資料では「旧43条ただし書き、現行43条2項2号」のように書くと正確です。

そのほかの法令上の制限

用途地域による用途・建ぺい率・容積率の制限、都市計画法の開発許可、農地法、生産緑地、文化財保護法、土壌汚染対策法、急傾斜地・土砂災害・津波・水害のハザード関連など、確認すべき制限は多岐にわたります。

特に、盛土や造成のある土地では、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に注意します。2021年の熱海市の土石流災害を契機に、旧宅地造成等規制法が抜本改正され、2022年に公布、2023年5月26日に施行されました。用途を問わず、危険な盛土等を全国一律の基準で規制する内容に強化されています。擁壁や造成のある物件では、規制区域か、適法に造成されたかを確認します。

権利関係の調査

権利関係は、法務局で取得できる書類で確認します。登記事項証明書の甲区には所有権に関する事項(保存・移転・差押・仮登記など)、乙区には所有権以外の権利(抵当権・地上権・賃借権・地役権など)が記載されます。抵当権が残っていれば決済時の抹消、賃借権があれば承継の確認が必要です。

あわせて、公図・地積測量図で土地の形状・面積を確認し、登記の地目や地積が現況と食い違っていないかを見ます。古い土地では地積測量図がない、実測との差が大きい、といったことも珍しくありません。

なお、前面が私道の場合は、その私道の掘削承諾(水道・ガス管の埋設や引き直しの許可)や、通行の権利が確保されているかも重要です。承諾がないと、インフラの工事ができず、建て替えや設備更新でつまずくことがあります。私道の持分や、通行・掘削の覚書の有無を確認します。

ここでも線引きが重要です。確定測量や境界確定は、土地家屋調査士の独占業務(土地家屋調査士法第3条・第68条)であり、仲介業者が自ら行うものではありません。仲介にできるのは、境界標や地積測量図の有無を確認し、確定測量の必要性を助言し、専門家へ取り次ぐことまでです。「仲介が境界を確定する」かのような表現は避けます。

事業用・収益物件で特に見るべき「落とし穴」6つ

事業用・収益物件では、土地の調査に加えて建物のリスクが収益や融資を大きく左右します。買主に「この担当は分かっている」と思わせるのは、この裏側を先に指摘できるかどうかです。

1. 検査済証がない

検査済証は、建物が建築確認どおりに完成したことを示す書類です。事業用・収益物件では、この検査済証が取得されていない物件が一定数存在します。検査済証がないと、増改築や用途変更、融資、再販に支障が出ることがあります。特に金融機関は融資審査で検査済証の有無を重視するため、無い場合は早めに買主や金融機関へ共有します。まず有無を確認します。

2. 違反建築(容積率・建ぺい率オーバー)

増改築の結果、容積率や建ぺい率が制限を超えている「既存不適格」や「違反建築」があります。役所調査で得た制限と、現況の建物・図面を突き合わせ、超過がないかを確認します。オーバーしていると、融資や再建築で不利になります。

3. 旧耐震

耐震の基準は、建物の完成日ではなく「建築確認を受けた日」が1981年6月1日以降かどうかで、新耐震・旧耐震が分かれます。旧耐震の建物は、耐震診断の有無や耐震補強の状況が、融資や賃貸のリスクに直結します。「築年数」だけで判断せず、建築確認の時期を確認します。

4. アスベスト(石綿)の記録

重要事項説明で説明が必要なのは、仲介業者が新たに石綿使用調査を実施することではなく、既存の石綿使用調査の記録があるときに、その内容(実施機関・範囲・方法・年月日・使用の有無など)を説明することです。仲介にアスベスト調査そのものを実施する義務はない、という点を正しく理解しておきます。築古の商業ビルや工場では、記録の有無を必ず確認します。

5. 消防設備の点検

消防法により、特定防火対象物(店舗・飲食店など)は原則年1回、非特定防火対象物(事務所ビルなど)は原則3年に1回の点検報告義務があります(消防法第17条の3の3ほか)。収益物件では、点検・報告の状況を確認します。

6. テナント・賃貸借の承継

所有権の移転に伴い、賃貸人としての地位や敷金の返還債務は原則として買主に承継されます(民法第605条の2)。レントロールと賃貸借契約書を突き合わせ、契約形態・敷金・更新の状況を確認します。あわせて、受変電設備やPCB(高濃度PCB使用機器の処分期限)など、築古のビルで問題になりやすい設備も確認します。

これらは、断定を避け、必要な部分は建築士など専門家の調査を前提に確認します。仲介にできるのは、資料の収集・役所照会・現況の目視確認・専門家への取次ぎまでです。「仲介がすべて調査して保証する」わけではないことを、売主・買主にも正しく伝えます。

契約書や重要事項説明の全体像は、次の記事も参考になります。

調査結果を概要書・重説・提案にどう落とすか

集めた調査結果は、資料に落として初めて価値になります。ここからは、スマッチュ(事業用・収益物件のBtoB売買仲介を支援するサービス)を運営する立場からの整理です。

物件調査の結果は、大きく3つの出口に流れます。1つ目は概要書で、買主に物件を見せる基本資料になります。2つ目は重要事項説明で、登記の権利、法令制限、私道負担、インフラ、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域、石綿使用調査の内容、耐震診断の内容、水害ハザードマップにおける所在地などが、調査に直結する法定の説明事項です。3つ目は提案で、調査で分かった強みとリスクを整理して、買主が判断できる材料にします。

ここで、仕事を分けて考えると整理できます。現地を歩き、役所をまわり、登記を読み解いて「この物件は何か」を判断するのは、担当者にしかできない仕事です。一方、整理した物件情報を概要書の形に整え、条件の合う買主を全件から突き合わせ、提案文の下書きを作る作業は、仕組みで速くできます。

スマッチュがやっているのは、この後半部分です。物件情報から概要書を自動生成し、登録済みの買主条件と全件マッチングし、提案メールの下書きまで自動で用意します。念のため正確に書くと、スマッチュが物件調査そのもの(現地確認や役所調査、重説の作成)を代行するわけではありません。調査はこの記事のチェックリストのように人の手で行い、そこで固めた物件情報を起点に、概要書・マッチング・提案の部分を自動化する、という切り分けです。

概要書のつくり方そのものは、次の記事で詳しく解説しています。

調査で固めた事実は、価格の根拠にもそのままつながります。用途地域や接道、遵法性の確認結果は、査定の前提そのものだからです。

査定を書面に落とす価格査定書のつくり方は、次の記事も参考になります。

物件調査で土台を固め、そこから先の提案を速く回す。この組み合わせが、利回りの薄い市場で選ばれる担当者の動き方です。

無料テンプレートの使い方とまとめ

本記事で配布している物件調査チェックリストのExcelテンプレートは、現地・役所・法令・権利関係・事業用特有の項目を、確認先の窓口とセットで並べています。チェック欄と備考欄があり、調べた結果と要確認事項を可視化しながら潰していけます。記入例と、宅建業法・重要事項説明の観点の注記もついています。

使い方はシンプルです。

  • 現地調査・役所調査・法令・権利関係の各項目を上から確認し、チェックを入れる
  • 「要確認」「専門家へ取次ぎ」の項目は備考に残し、抜けを防ぐ
  • 調べた結果を、概要書・重要事項説明・提案の材料として整理する

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 物件調査は現地・役所・法令・権利関係の4領域+事業用特有で漏れなく潰す
  • 第35条は説明義務の規定で、調査義務は信義誠実義務・善管注意義務などの積み重ね。すべてを法的義務と単純化しない
  • 役所調査は窓口を知っているかで速さが変わる。名称・分担は自治体差があるので事前確認する
  • 接道義務(建基法43条)・セットバック・盛土規制法は価格・再建築に直結する
  • 確定測量は土地家屋調査士、耐震診断は建築士など、専門家の領域との線引きを守る
  • 事業用は検査済証・違反建築・旧耐震・アスベスト記録・消防・テナント承継を必ず確認する
  • 断定を避け、必要な部分は専門家調査を前提に。仲介の役割は調査・整理・取次ぎ

物件調査で土台を固めたら、次は提案のスピードです。整理した物件情報から概要書・マッチング・提案文の下書きまでを自動化して、案件を取りこぼさない体制をつくれます。スマッチュは7日間無料で試せます。

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参考資料・出典

著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)

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