不動産仲介の媒介契約 3 種類 完全ガイド|一般・専任・専属専任の違いを 5 観点で比較するインフォグラフィック
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不動産仲介の媒介契約 3 種類 完全ガイド|一般・専任・専属専任の違いと使い分け

不動産仲介の媒介契約 3 種類(一般・専任・専属専任)の違いを、販売活動の自由度・レインズ登録義務・報告頻度・両手取引可否・解約条件の 5 観点で完全比較。仲介マンが売主に提案する際の使い分けテンプレ 5 選と、よくある誤解も解説【2026 年版】。

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不動産仲介で売主と取り交わす「媒介契約」には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の 3 種類があります。どれを選ぶかで、売却スピード・成約価格・仲介マンの動き方が大きく変わります。

しかし「3 種類の違いを正確に説明できる仲介マン」は意外に少ない。売主からは「専任を勧めるけど、何が違うの?」「一般のほうが自由でいいんじゃない?」と聞かれて、答えに詰まる場面が今も多いのが実態です。

本記事では、3 種類の違いを 5 観点で完全比較し、売主視点の選び方フローチャート、よくある 5 つの誤解、仲介マンが「専任・専属専任」を提案するための 5 つの実務テンプレ、そして仲介手数料・両手取引との関係まで、実務に直結する形で整理します。

1. はじめに:媒介契約の選択が売却成果を左右する

ブランディングテクノロジー社の調査(売却検討者 417 サンプル)によると、業者選びで重視される点は 「確実に売れる不動産会社」89.1%(知名度より確実性が圧倒的)。そして売却依頼先を選ぶ際に最も参考にした情報源は 「口コミ・知人」33.1%(1 位)・ホームページ 31.1%(2 位)です。

つまり売主は「確実に売ってくれる仲介マン」を口コミと検討で探しています。

媒介契約の種類は、この「確実性」を担保するレバーです。

  • 専属専任媒介:1 社にすべてを託す代わりに、最も手厚いサポートを受けられる
  • 専任媒介:1 社に依頼するが、自分で買主を見つけた場合は直接取引可
  • 一般媒介:複数社に依頼して相互競争で売却スピードを上げる

業界の実感値として、専任媒介・専属専任媒介を合わせた選択率は約 70%(一般媒介は約 30%)と言われており、売主・仲介マン双方にとって「専任系」が主流です。

この記事の読みどころは 3 つ。 (1)3 種類の違いを 5 観点で完全比較できる (2)売主の状況別に「どれを選ぶべきか」がフローチャートで判断できる (3)仲介マンが売主に「専任系」を提案する実務テンプレ 5 つを丸ごと使える

2. 媒介契約 3 種類の基本構造|5 つの違いで読み解く

媒介契約 3 種類の違いは、5 つの軸で整理すると一目で理解できます。

違い 1:販売活動の自由度(他社との重複依頼可否)

最も大きな違いはここです

契約種類他社への重複依頼
一般媒介⭕️ 可能(複数社と同時契約 OK)
専任媒介❌ 不可(1 社のみ)
専属専任媒介❌ 不可(1 社のみ)

一般媒介は「複数社に同時に頼んで、最初に決まったところで成約」というスタイル。専任・専属専任は「1 社に集中して託す」スタイルです。

売主から見ると、一般は「ダメだったら他に頼める」安心感がある反面、仲介マンから見ると「他社に取られるかも」という競争圧力で、広告費の投下に慎重になりがちです。

違い 2:レインズ登録義務(5 日/7 日/任意)

レインズ(指定流通機構)は、業者向けの物件情報共有データベース。ここに登録されると全国の不動産会社が物件情報にアクセスでき、買主候補が一気に広がります。

契約種類レインズ登録義務
一般媒介任意(登録しなくても OK)
専任媒介契約から 7 日以内に登録義務
専属専任媒介契約から 5 日以内に登録義務

2024 年のレインズ新規登録件数は約 416 万件(前年比 -2.3%・月平均 34.7 万件)。一般媒介で登録されない物件は、この巨大な情報流通網に乗らずに「特定の仲介会社の中だけ」で売られることになります。

違い 3:業務報告頻度(書面 1 週間/2 週間/任意)

仲介会社が売主に対して、販売活動の状況を報告する義務の頻度です。

契約種類報告頻度
一般媒介義務なし(任意)
専任媒介2 週間に 1 回以上(書面 or 電子的方法)
専属専任媒介1 週間に 1 回以上(書面 or 電子的方法)

報告内容は「問い合わせ件数・内覧件数・反響内容・市場動向の所感」など。売主にとっては「仲介会社が本気で動いているか」を確認する重要な機会です。

違い 4:自己発見取引の可否

売主自身が知り合い・親族などから買主を見つけてきた場合の取り扱い。

契約種類自己発見取引
一般媒介⭕️ 可能(直接取引 OK)
専任媒介⭕️ 可能(直接取引 OK・仲介手数料不要)
専属専任媒介❌ 不可(必ず仲介会社経由)

専属専任媒介の最大の制約はここです。「親戚が買ってくれることになった」場合でも、仲介会社を通さないと違約金が発生します。

違い 5:契約期間と解約条件

契約種類契約期間上限解約条件
一般媒介法的制限なし(業界慣行 3 ヶ月)比較的自由
専任媒介3 ヶ月以内(宅建業法第 34 条の 2)契約書記載・実費請求の可能性
専属専任媒介3 ヶ月以内(同上)契約書記載・実費請求の可能性

専任・専属専任は法律で 3 ヶ月以内と定められており、満了時に売主は更新するか・他社に切り替えるかを自由に判断できます。

3. 媒介契約 3 種類の完全比較表(12 項目)

5 つの違いに加え、実務で気になる項目を全て表にまとめました。

比較項目一般媒介専任媒介専属専任媒介
複数社への依頼⭕️ 可❌ 不可❌ 不可
レインズ登録義務なし(任意)7 日以内5 日以内
報告頻度任意2 週間に 1 回1 週間に 1 回
自己発見取引⭕️ 可⭕️ 可❌ 不可
契約期間上限法定なし(慣行 3 ヶ月)3 ヶ月3 ヶ月
解約のしやすさ高い中(実費請求あり)中(実費請求あり)
仲介マンの本気度分散しがち高い最も高い
広告費投下控えめ積極的最も積極的
売却スピード遅め〜中速い最も速い
売主への情報透明性低い高い最も高い
囲い込みリスク低い中〜高
仲介会社の競争あり(複数社)なしなし

実務的なポイント:一般媒介は「自由・自己責任」、専任媒介は「バランス型・主流」、専属専任媒介は「完全委託・最速狙い」と覚えると分かりやすいです。

4. 売主視点で見る「どれを選ぶ?」フローチャート

売主の状況によって、最適な媒介契約は変わります。タイプ別に整理します。

一般媒介が向く売主の 3 パターン

パターン状況
パターン A知人・親戚に買主候補がいる(自己発見取引の可能性大)
パターン B複数の仲介会社と関係があり、相互競争で売り急ぎたい
パターン C土地・地方物件など売却に時間がかかる前提で、長く広く露出させたい

一般媒介の強みは「自由度」と「複数社の競争」。ただし仲介マンの広告投下が薄くなりがちなリスクは認識しておくべきです。

専任媒介が向く売主の 5 パターン(主流)

パターン状況
パターン A首都圏マンション・戸建てなど標準的物件(最も多い)
パターン B早期売却(3 ヶ月以内)を狙う
パターン C特定の仲介マンを信頼している
パターン D販売活動の進捗を定期的に把握したい
パターン E自己発見取引の可能性も残しておきたい

専任媒介は 3 種類の中で最もバランスが良く、業界の主流です。

専属専任媒介が向く売主の 2 パターン

パターン状況
パターン A手数料を払ってでも完全委託で最速で売りたい
パターン B不動産取引の知識がなく、すべて任せたい

専属専任媒介は「自己発見取引の自由を捨てる代わりに、最も手厚いサポートを受ける」スタイル。仲介会社の本気度が最も高くなりますが、売主にとっての制約も最も厳しいです。

5. 媒介契約をめぐる「よくある誤解」5 つ

業界知識が浅い売主や、新人の仲介マンが陥りがちな誤解を 5 つ整理します。

誤解 1:「一般媒介が一番得」は半分正解

複数社に頼めるから一般媒介がお得、という発想は売主の自由度の話としては正解ですが、売却スピード・広告投下の質の話としては逆です。

仲介会社の立場で考えると、「他社にも頼まれている物件」には広告費を集中投下しにくい。**結果、一般媒介の物件は「店頭の情報ストックに置かれて様子見」**になりがちです。

誤解 2:「専属専任は仲介マンに有利」は条件付き正解

「専属専任にすると仲介マンの両手取引狙いになる」という説は半分正解です。

確かに専属専任は他社問い合わせを断りやすく、両手取引(売主・買主双方から手数料を取る)が成立しやすい構造ではあります。しかし**売主にとっても「仲介マンの本気度が最も高い」**という大きなメリットがあり、双方利益の関係です。

問題は「囲い込み(後述)」が起きた時。これは契約形態ではなく、仲介会社のモラルの問題です。

誤解 3:「レインズ登録すれば必ず売れる」は誤り

専任・専属専任で義務付けられるレインズ登録は、確かに買主候補を広げる強力な手段ですが、登録自体が成約を保証するわけではない

2024 年のレインズ売り物件登録件数は約 145 万件(前年比 +4.3%)。この全件が成約するわけではなく、価格設定・物件状態・販売資料の質・問い合わせ対応スピードといった売る力の総合点が問われます。

誤解 4:「囲い込み」は専任の宿命ではない

囲い込みとは、仲介会社が両手取引を狙って他社からの問い合わせを「商談中です」と断る不正行為。専任・専属専任で発生しやすい構造ではありますが、必ず起きるわけではありません

見抜く方法:

  • レインズ登録の早さ(契約からの日数を確認)
  • 他社問い合わせ対応ログの開示要請
  • 「ステータス変更履歴」をレインズで確認(売主は売却物件の専用 ID から閲覧可能)
  • 販売活動レポートの透明性

2024 年からはレインズで「囲い込み防止チェック機能」も強化されており、不正は摘発されやすくなっています。

誤解 5:「報告頻度」は儀礼ではなく営業活動の証拠

「専任は 2 週間に 1 回、専属専任は 1 週間に 1 回の報告義務」は、仲介マンにとっての形式的負担ではなく、売主への営業活動の証拠です。

報告内容に「問い合わせ件数 0 件・内覧 0 件・反響なし」が続けば、それは販売価格の見直しや販売資料の改善が必要なサインです。**報告を「儀礼」ではなく「データドリブンな改善ループ」**として運用すれば、成約スピードは大きく上がります。

6. 仲介マンが「専任・専属専任」を提案する 5 実務テンプレ

売主の多くは「複数社に頼んだほうが得」という直感を持っています。そこを覆して専任系を選んでもらうには、情報の出し方が決定的に重要です。

テンプレ 1:レインズ登録スピード差を視覚化して見せる

伝え方: 「専任媒介なら 7 日以内にレインズ登録、専属専任なら 5 日以内です。一方、一般媒介はレインズ登録は任意。実は登録しない会社もあります。レインズに登録されると、全国の不動産会社が物件情報にアクセスできるので、買主候補が一気に広がります。」

視覚化:「専任 7 日 vs 一般 任意」を Before/After 図表で示すと納得感が違います。

テンプレ 2:囲い込み防止の宣言書を添付

専任系を提案する最大の障壁は「囲い込み」への不安です。これを先回りで打ち消します。

宣言書サンプル

「弊社は、レインズ登録から 3 日以内に登録番号を売主様に開示し、他社からの問い合わせは原則すべて売主様に共有します。問い合わせの拒否ログがない場合、契約期間中いつでも解約に応じます。」

書面で渡すことで「この仲介マンは透明性にコミットしている」が伝わります。

テンプレ 3:販売活動レポートのフォーマット見本提示

専任媒介の「2 週間に 1 回」の報告を、形だけのものにしない実例を見せます。

レポートフォーマット例

項目内容
反響件数ポータル ◯ 件 / レインズ ◯ 件 / 自社 ◯ 件
内覧件数◯ 件(うち再内覧 ◯ 件)
市場動向所感近隣相場・競合物件の動き
価格戦略の提案現状維持 / ◯% 価格調整 / 据え置き
次の 2 週間のアクション広告強化 / 写真差し替え / 内覧導線改善

これを契約時に「こんな形でレポートします」と見せれば、専任系の説得力が劇的に上がります

テンプレ 4:解約条件を明確に提示(売主の心理障壁を下げる)

「3 ヶ月縛られる」と思うと売主は躊躇します。だから先に解約条件を提示します。

提案文

「専任媒介ですが、解約は柔軟に対応します。月次レポートで反響が著しく少ない場合・売主様からのご要望があった場合、双方合意で円満解約可能です。広告実費は弊社負担とし、売主様には請求しません。」

実費請求しない宣言を入れることで、売主の最大の心配を取り除けます。

テンプレ 5:両手取引の透明性を約束

「専任にしたら両手で稼ぐつもりだろう」という疑念を先回りで解消します。

提案文

「両手取引(弊社が買主・売主双方から手数料を頂く取引)が成立する可能性はありますが、その場合は事前に売主様にご報告し、ご了承を頂きます。買主側仲介の独立した第三者を希望される場合は、レインズ経由で他社にも積極的に紹介します。」

透明性の事前宣言が信頼を生む。これが取れれば専任系の契約は格段に取りやすくなります。

7. 媒介契約と仲介手数料・両手取引の関係(実務インパクト)

媒介契約の種類は、仲介手数料の受取構造にも直結します。

片手取引と両手取引の構造

取引形態売主側仲介買主側仲介
片手取引弊社(売主から手数料受取)他社(買主から手数料受取)
両手取引弊社(売主から手数料受取)弊社(買主からも手数料受取)

両手取引は仲介会社にとって「売上が 2 倍」になる魅力的な取引ですが、売主側仲介と買主側仲介が同じ会社になることで利益相反のリスクが生じます。

仲介手数料の標準計算式は「物件価格 × 3% + ¥60,000 + 消費税」(物件 400 万円超)。仮に 3,000 万円の物件なら片手で約 105.6 万円・両手なら約 211.2 万円の受取になります。

媒介契約別の両手取引可能性

契約種類両手取引の可能性
一般媒介低い(他社経由の買主が多い)
専任媒介中(仲介会社の販売力次第)
専属専任媒介高い(他社問い合わせを断れる構造)

レインズ登録の早さで「片手化」が決まる

専任・専属専任でも、レインズ登録を早くして全国の他社に物件情報を流せば、片手取引の可能性が上がります。これは売主にとって「囲い込み防止の証拠」にもなり、仲介マンの透明性アピールとして強力です。

第 50 回でも触れた通り、レインズ義務化の流れは加速しており、「囲い込まずに広く売る」スタイルが今後の主流です。

8. スマッチュ運営観測:媒介契約と業務効率の関係

スマッチュの運営観測では、専任媒介・専属専任媒介を多く取る仲介マンほど、業務報告書の作成負担が大きいという構造があります。

  • 専任媒介を 10 件抱える仲介マン:月 20 件の業務報告書作成(2 週間に 1 回 × 10 件)
  • 専属専任媒介を 10 件抱える仲介マン:月 40 件の業務報告書作成(1 週間に 1 回 × 10 件)

1 件あたりの作成時間が 30 分なら、専属専任 10 件で月 20 時間が報告書作成に消えます。

ここに AI による業務報告自動化が効きます。スマッチュの業者向け AI マッチングは、レインズ・物件情報・反響件数・内覧件数といったデータを集約し、報告書のドラフトを自動生成。仲介マンは数字を確認して所感を 2〜3 行加えるだけで、1 件 5 分で報告書が完成します。

  • 旧スタイル:月 20 時間(手書き・Excel 集計)
  • AI 活用:月 3〜4 時間(自動ドラフト + 仲介マンの最終調整)

いえらぶ調査 2025 では、不動産業界の生成 AI 利用率は 41.4%(営業職 50.0%)に達しており、業務報告の自動化は今後さらに加速します。

専任系の媒介契約を多く取る仲介マンこそ、AI による業務報告自動化がボトルネック解消の決定打になります。これがスマッチュが個人〜小規模仲介マンを主要顧客に据えている理由でもあります。

9. まとめ|次の一歩

媒介契約 3 種類の選択は、売主の状況・仲介マンの提案力・契約後の業務設計、すべてが絡み合う実務の核心です。

今日から動ける 3 つのアクション

  1. 自社の媒介契約の比率を確認:専任系 / 一般の比率を把握し、専任系の比率を意図的に上げる戦略を立てる
  2. 販売活動レポートのテンプレを作る:テンプレ 3(H2-6)のフォーマットを参考に、自社版を作成
  3. 業務報告の自動化を検討:専任系が多い仲介マンほど、AI 活用の ROI が高い

スマッチュは、業者向け AI マッチング・物件情報の自動集約・販売活動レポートのドラフト生成までを一気通貫で提供する SaaS です。専任系の媒介契約を多く抱える個人〜小規模仲介マンの「業務効率化」と「売主への透明性アピール」を、AI で同時に解決します。

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著者:中西 潤平(スマッチュ代表)