物件情報処理

買付証明書テンプレート無料DL【Excel雛形・記入例つき】|売主に選ばれる"通る買付"の書き方・条件設計【2026年版】

買付証明書(購入申込書)の無料Excelテンプレート(記入例つき)をダウンロードできます。売主・元付に選ばれる"通る買付"の書き方、条件を盛りすぎない設計、ローン特約の正しい理解、よくある失敗7パターンまで、事業用・収益不動産の売買仲介の現場実務に即して解説します。

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この記事の要点

買付証明書(購入申込書)は「テンプレートの空欄を埋めれば通る」書面ではありません。売主や元付業者が本当に見ているのは価格だけでなく、「この相手は確実に決済まで進んでくれるか」です。本記事では、事業用・収益不動産の売買仲介の現場実務に即して、売主に選ばれる"通る買付"の書き方・条件設計・注意点を解説し、そのまま使える**無料のExcelテンプレート(記入例・チェックリストつき)**を配布します。

先にテンプレートだけ受け取りたい方へ。買付証明書の記入用Excel(記入例+"通る買付"チェックリスト+ローン特約の注意メモ入り)を下のフォームから無料でダウンロードできます。

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買付証明書(購入申込書)テンプレート(Excel)

記入用の買付証明書ひな形に、収益一棟の記入例・"通る買付"チェックリスト(出す前/出した後)・ローン特約の注意メモを収録。事業用・収益の売買仲介の現場実務に即して作成しています。

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買付証明書(購入申込書)とは?──"意思表示"であって契約ではない

買付証明書は、購入希望者が「この物件を、この条件で買いたい」という意思を売主側に示すための書面です。「購入申込書」「買付申込書」とも呼ばれ、様式に法律上の決まりはなく、各不動産会社がひな形を用意しているのが一般的です。

まず正確に押さえておきたいのは、買付証明書そのものに法的拘束力は原則としてないということです。買付証明書を出したこと、あるいは売主が売渡承諾書を返したことだけでは、売買契約は成立しません。

過去の裁判例でも、買付証明書は「将来買い受ける希望がある旨を表示するものにすぎない」とされ、これと売渡承諾書の交換だけでは売買契約の確定的な意思表示があったとはいえない、と判断されています(大阪高判平成2年4月26日ほか・全日本不動産協会の解説)。実務上、契約が成立したと言えるのは「契約書の作成」と「手付金の授受」がなされた段階、というのが一般的な目安です。

段階状態
買付証明書の提出購入意思の表示(契約は未成立・原則撤回可能)
売主の売渡承諾売る意思の表示(これだけでは契約未成立)
契約書作成・手付授受ここで売買契約が成立(以降は手付解除・違約のルール)

なお、買付証明書に対して売主が「売ります」という意思を示す書面を売渡承諾書といいます。買付証明書と売渡承諾書はセットで語られますが、前述のとおり、この2通を交わしただけでは売買契約は成立しません。あくまで「双方が前向きである」ことの確認であり、正式な契約は契約書の締結(と手付授受)によって初めて成立します。

ただし、「拘束力がない=いつでも気軽に破っていい」ではありません。契約書案を何度も往復し、条件調整がほぼまとまった段階で一方的に破棄すると、契約締結上の過失として損害賠償(信頼利益の賠償)を問われることがあります。実際、契約書案を7通往復し、売主がすでに工事費用約500万円を支出していた段階で買主が翻意した事案では、損害賠償が認められています(東京地判平成20年11月10日)。「まだ契約前だから」と軽く扱うと、思わぬ責任が生じる点は買主・仲介双方が知っておくべきです。

物件資料から提案の起点となる概要書を整える段階については、こちらで詳しく解説しています。

"通る買付"と"流れる買付"を分けるもの

同じ物件に複数の買付が入ったとき、売主・元付は何を基準に相手を選ぶのか。価格が高いほうが有利なのは間違いありませんが、現場ではそれだけで決まりません。

売主・元付が本当に気にしているのは、「この相手は、本当に・確実に・決済まで進んでくれるのか」です。事業用・収益不動産の売買では、決済に至らず流れると、売主も間に入る仲介会社も時間と労力を失います。だからこそ「金額は少し低くても、確実に買ってくれそうな相手」が選ばれることが起こります。

ここで有効な捉え方があります。買付は、顔の見えない相手からの"お見合いの申し込み"のようなものだ、という見立てです。結婚相手に求める条件を並べすぎる人ほど、相手からは「一緒になったら大変そう」と敬遠され、マッチしにくくなります。買付も同じで、条件(特約)を盛りすぎると、売主にも仲介にも「面倒な相手」という印象を持たれ、比較で不利になることがあります。

たとえば融資特約はごく一般的な条件ですが、条件が積み重なるほど「この買付は手離れが悪そうだ」と受け取られます。そのため、需要の高い人気物件では、あえて条件を絞り、スピードで勝負する買付のほうが通ることが少なくありません。

  • 価格:もちろん重要。ただし"満額かどうか"だけでなく、指値の理由が納得できるかも見られる
  • 条件(特約)の少なさ:条件が多いほど「面倒・不確実」の印象。譲れない条件だけに絞る
  • 決済までの確実性・スピード:融資の確度、契約〜決済までの早さ
  • 提出の順番:一番手は有利。ただし絶対ではない(後述)
  • 本気度:「本当に買いたい」という意思が伝わっているか

"盛らない・速い・本気"——この3つが、通る買付の芯になります。

補足すると、この考え方は事業用・収益不動産ならではの面があります。実需(自分が住むための住宅)の売買では、買主が住宅ローンを使うのが前提で、融資特約もほぼ標準です。一方、事業用・収益では買主がプロやセミプロの投資家であることが多く、現金購入や事前審査済みの買主も珍しくありません。だからこそ「条件の少なさ・決済の確実性・スピード」が価格以上に効く場面が生まれます。自社が扱う物件が事業用・収益中心なら、買付の設計も"確実性で勝つ"方向に振るのが有効です。

買付証明書の必須記載項目と書き方【無料テンプレDL】

買付証明書に決まった様式はありませんが、記載すべき標準項目はおおむね決まっています。以下は、事業用・収益不動産の売買で押さえておきたい項目です。

項目書き方のポイント
物件の表示所在地・地番・面積・種別など、対象物件を特定できる情報
購入希望価格満額か指値か。指値の場合は理由(相場・修繕・利回り等)を一言添えると納得されやすい
手付金の額一般に売買価格の5〜10%程度。厚めに設定すると本気度が伝わる
契約希望日早いほどスピード感が伝わる
決済(残代金支払)希望日「いつ決済できるか」は売主が最も気にする点。現金なら早さを明示
融資利用の有無・金融機関現金か融資か。事前審査済みなら記載すると確度が伝わる
ローン特約(融資特約)融資利用時の解除条件。期日を明記
買付の有効期限一般に1〜2週間程度
その他条件現況有姿・契約不適合責任の扱いなど。盛りすぎないこと

このあと解説する内容とテンプレートは対応しています。手を動かしながら読みたい方は、先にダウンロードしておくと便利です。

無料テンプレート

買付証明書(購入申込書)テンプレート(Excel)

記入用の買付証明書ひな形に、収益一棟の記入例・"通る買付"チェックリスト(出す前/出した後)・ローン特約の注意メモを収録。事業用・収益の売買仲介の現場実務に即して作成しています。

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書き方の原則はシンプルです。「売主が知りたいこと(確実に・いつ決済できるか)を先に、条件は必要最小限に」。空欄をすべて埋めることより、相手の不安を消す情報を的確に載せることが大切です。

記入例(収益一棟マンションの買付・架空)

実際に各欄を埋めるとどうなるか、収益一棟マンションを想定したサンプルです(特定の物件ではありません)。

項目記入例
物件の表示◯◯区◯◯1丁目 ◯◯マンション(RC造・全12戸)
購入希望価格1億1,800万円(売出1億2,000万円に対し200万円の指値/室内原状回復費用を考慮)
手付金1,000万円(価格の約8.5%)
契約希望日2週間以内
決済希望日契約から1ヶ月以内
融資利用利用予定(◯◯銀行・事前審査承認済み)
ローン特約あり(融資額9,000万円・特約期限:契約日から3週間)
有効期限本書提出日から1週間
その他条件現況有姿にて引渡し希望

このサンプルのポイントは3つです。指値の理由を1行添えていること、手付を厚めにして本気度を示していること、そして融資の事前審査承認済みを明記して確度を伝えていること。条件は必要最小限に絞られており、売主から見て「確実に決済まで進みそうな買付」に映ります。

"通る買付"にする5つの実務ポイント

1. スピードで勝つ(人気物件は即日買付が入る)

良い物件ほど動きが速く、都心部では情報が出たその日のうちに買付が入ることも珍しくありません。良い物件はレインズ等に公開される前に水面下で決まることも多く、「速さ」は価格に匹敵する武器です。買付の準備を型化し、条件が固まったらすぐ出せる体制を作っておくことが、そのまま勝率になります。

2. 条件(特約)を絞る

前述のとおり、条件を盛りすぎた買付は「面倒・不確実」と見られます。買主にとって本当に譲れない条件だけを残し、それ以外は外す判断が重要です。仲介会社は、買主から「これだけは外せない」という条件を事前に引き出しておきましょう。

3. 手付金と決済時期で本気度を示す

手付金を厚めにする、決済時期を早めに設定する——これらは「本気で買う」という意思の可視化です。特に決済時期は売主の資金計画に直結するため、「いつ決済できるか」を明確にできる買付は強くなります。

4. 融資の確度を伝える

融資を使う場合でも、事前審査を通しておく、利用金融機関を明記する、といった一手間で確度が伝わります。需要の高い物件では、そもそもローン特約を受け付けない(現金・確実性重視の)買主が競合になることもあるため、融資利用側は「確度の高さ」を示すことが不可欠です。

5. 間に入る仲介会社との連携

売主・仲介会社が間に入っているなら、買付を出す前に内容を相談し、その仲介会社が積極的に動いてくれそうかを見極めます。買付は買主単独で通すものではなく、間に立つ人を味方につけることで通りやすくなります。

物件受信から提案までのスピード設計は、こちらも参考になります。

指値(値引き交渉)を"通る"形で伝える

指値そのものは悪いことではありません。問題になるのは「理由のない、大幅な指値」です。相場から大きく外れた指値は、売主・仲介から「この人は本気で買う気があるのか」と受け取られ、交渉のテーブルにすら乗らないことがあります。

通る指値には、共通して**"納得できる理由"**が添えられています。

指値の伝え方相手の印象
「1億2,000万→1億800万で」(理由なし)値切りたいだけに見える/信頼を損なう
「室内の原状回復に約200万円かかる見込みのため、その分を考慮して1億1,800万で」根拠がある/誠実に見える/交渉が前に進む

ポイントは、売主が"損した"と感じない材料を示すことです。修繕・原状回復の見積り、周辺の取引事例、想定利回りの目線——こうした根拠が1行あるだけで、同じ金額でも通り方が変わります。仲介会社の役割は、買主の指値をそのまま右から左へ伝えることではなく、「なぜその価格なのか」を言語化して添えることにあります。根拠のある指値は、売主にとっても「この買主は物件をきちんと見ている」という安心材料になります。

ローン特約(融資特約)の正しい理解と注意点

買付・契約でつまずきやすいのがローン特約(融資特約)です。用語を正確に押さえておきましょう。

ローン特約は、一般に**「解除条件」**として構成されます。つまり、売買契約は締結時点で有効に成立しており、期日までに融資が承認されなかった場合に契約が白紙解除される、という仕組みです(「まだ契約が成立していない」という意味の"停止条件"と混同されがちですが、通説は解除条件です。東急リバブルの解説ほか)。融資否認による解除の場合、受領済みの手付金等は無利息で返還されるのが一般的です。

注意したいのは、ローン特約には実務上2つの型があることです。

内容注意点
自動解除型融資不承認なら自動的に契約が解除される買主の追加行動は不要
解除権留保型融資不承認の場合、買主から解除の意思表示があって初めて解除できる期限内に解除通知を出さないと解除できなくなる

実際、融資が否認されたにもかかわらず、解除の意思表示が期限に2日遅れたために解除できなくなった、という事例が報告されています(三井住友トラスト不動産の紹介事例)。「融資がダメなら自動で白紙」と思い込まず、契約書の文言を確認し、期日を管理することが、買主・仲介双方にとって重要です。

買付まわりでよくある失敗7パターン

現場で繰り返し起きる失敗を、買主側・売主側・契約直前の3つの局面で整理します。

① 一番手でも取れない

先に買付を出しても、価格・融資の確実性などの総合判断で後順位の買主に逆転されることがあります。先着順は慣習であって権利ではなく、最終的に誰に売るかは売主の判断です(不動産会社のミカタ)。「一番手だから安心」と気を抜かないことが大切です。

② "とりあえず買付"で信用を失う

仲介業者に促されるまま、購入意思が固まらないうちに買付を出す——こうした「とりあえず買付」は、後で流すと信用を失い、本命物件のときに相手にしてもらえなくなります。買付は「本気で買う」意思が固まってから出すのが原則です。

③ 煽られて即断し、後で撤回

「今すぐ入れないと決まってしまう」と急かされて出したものの、冷静になって撤回——撤回自体は原則可能ですが、間に入る業者との信頼関係を損ないます。スピードは重要ですが、意思決定の質とセットです。

④ 指値・条件の盛りすぎ

相場から大きく外れた指値や、過度に多い条件は、売主・仲介の信頼を失い、比較で選ばれません。"お見合いで条件を並べすぎる人"と同じ構図です。

⑤ 契約直前のちゃぶ台返し

条件調整がほぼまとまった段階での一方的なキャンセルは、契約締結上の過失として損害賠償リスクがあります(前述の東京地判平成20年11月10日)。

⑥ ローン特約の解除期限を過ぎる

前章のとおり、解除の意思表示が必要な型で期限を徒過すると、解除できなくなります。

⑦ 二重申込・複数業者への同時提出

同じ物件に複数の業者経由で買付を出す、あるいは意思が固まらないまま複数物件に同時に買付を入れると、売主・他の買主の不信を招きトラブルに発展しやすくなります。

これらの多くは「型(何を確認し、どう書くか)がない」から起きます。テンプレートに確認項目を組み込んでおくだけで、大半は防げます。

仲介会社が押さえるべき"グリップ"

買付を扱う仲介会社の立場でもっとも大切なのは、買主から**「決済時期」と「本当に譲れない条件」をしっかりグリップしておく**ことです。これを曖昧にしたままテンプレートの空欄だけ埋めて買付を出すと、後から「やっぱりこの条件が必要だった」「決済がずれる」と揺れ、売主の信頼を失います。

グリップしておきたい項目は次のとおりです。

グリップ項目なぜ確認するか
いつ契約・決済できるか売主が最も気にする点。ここが握れていないと買付の信頼度が下がる
本当に譲れない条件はどこか条件を絞るための前提。全部を条件化すると通らない
融資の確度(現金/融資・事前審査)決済の確実性を伝えるため
買主の本気度"とりあえず買付"を出させないため

売主・元付の側も、複数の買付を比較するのが普通です。「本当に買ってくれそうな相手」に時間と労力を割きたいというのが本音であり、だからこそ買主側は「本気で買いたい」と思わせる情報の出し方が問われます。買付は、価格を書く欄ではなく、本気度を伝える書面なのです。

スマッチュの運営観測では、業者ネットワークが育った担当者には月に300件を超える物件情報が流入します。そのすべてに丁寧な提案・買付準備をするのは不可能で、実際に処理できるのは月30〜50件程度です。残りの250件超は「見るだけ」で流れていきます。

ここで効いてくるのが"型"です。買付をはじめとする書面づくり(概要書・提案・買付)を型化しておけば、案件ごとにゼロから考える時間が減り、その分を「どの買主が本気か」「どの物件を優先するか」という人にしかできない見極めと交渉に振り向けられます。書面の質を保ちながらスピードを上げる——この両立が、限られた時間で成約数を伸ばす鍵になります。買付が"本気度が伝わる書面"であるほど、売主・元付との関係も積み上がっていきます。

収益物件の価格妥当性(利回り・相場根拠)の押さえ方は、こちらも参考にしてください。

買付を出す前後のチェックリスト

買付は「出して終わり」ではありません。出す前・出した後で確認すべき項目を、テンプレートにも組み込んでおくと、抜け漏れによるトラブルを防げます。

買付を出す前

  • ☐ 買主の購入意思は固まっているか("とりあえず買付"になっていないか)
  • ☐ 決済時期を買主と確認したか
  • ☐ 本当に譲れない条件だけに絞れているか
  • ☐ 融資の確度(現金/事前審査)を確認・明記したか
  • ☐ 指値がある場合、納得できる理由を添えたか
  • ☐ 間に入る仲介会社に事前相談したか

買付を出した後

  • ☐ 売主・元付からの返答期限を把握しているか
  • ☐ 融資利用の場合、ローン特約の解除期限と、解除に意思表示が必要な型かを確認したか
  • ☐ 一番手でも、条件面で逆転され得ることを買主に共有したか
  • ☐ 契約日までのスケジュール(契約書案の確認・手付準備)を握れているか

このリストをテンプレートの確認欄として組み込んでおけば、新人でもベテランと同じ水準で買付を扱えるようになります。買付の一枚一枚に"型"を持たせることが、結果として成約率と信頼の積み上げにつながります。

まとめ|買付証明書は"本気度が伝わる書面"に

買付証明書は、法的には「購入意思の表示」にすぎません。しかし現場では、その一枚が「この相手に売るかどうか」を左右します。売主・元付が見ているのは価格だけではなく、「確実に・いつ・本当に決済まで進んでくれるか」です。

だからこそ、"通る買付"の芯は**「条件を盛りすぎない・スピードで勝つ・本気度を伝える」**の3つ。そして仲介会社は、買主から決済時期と譲れない条件をグリップし、間に入る人を味方につけることが求められます。

まずは配布しているテンプレートを使い、記入例と"通る買付"チェックリストに沿って、自社の買付の型を作るところから始めてください。

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参考資料・出典

著者:中西 潤平(Spira Solutions 代表)

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