不動産マイソク完全ガイド 読まれる物件チラシの作り方 アイキャッチ
物件情報処理

不動産「マイソク」完全ガイド【2026年版】|物件チラシの必須記載項目・キャッチコピー・デザインから効率化まで

不動産仲介の「マイソク(物件チラシ)」の書き方を完全解説。必須記載項目の整理から魅力的なキャッチコピーの作り方、レイアウトの基本、NGパターン、AI活用による効率化まで実務目線で解説します。

マイソク物件チラシ不動産仲介物件情報広告

「マイソクを送ったけど反応がない」「他社から送られてくるマイソクと比べて、うちのは見劣りする気がする」

物件情報は同じでも、マイソクの質で問い合わせ率は大きく変わります。 読まれないマイソクは、どんなに良い物件でも機会を失います。

公益財団法人 不動産流通推進センター 業界実態調査(2024年) によれば、他社仲介会社が「物件情報を積極的に紹介したい」と思う要因の第1位は**「マイソクの情報が整っていて分かりやすい」**(68%)でした。物件そのものより、情報の見せ方が客付けの判断を左右します。

この記事では、問い合わせ率を上げるマイソクの作り方を、記載項目・キャッチコピー・デザイン・NGパターン・AI活用まで完全解説します。

マイソクとは何か【概要書との違いと用途】

「マイソク」は「媒介送付」の略で、不動産業界で広く使われる物件紹介チラシのことです。

概要書・マイソク・物件資料の違い

不動産仲介では似たような書類が複数ありますが、それぞれ役割が異なります。

書類主な用途受け取る相手情報量
マイソク物件の第一印象を伝える販促チラシ他社仲介・買主候補少なめ・ひと目で分かる
物件概要書物件の詳細を正確に伝える情報書類買主・検討者多め・正確性重視
重要事項説明書法令に基づく法的情報の開示買主(契約前)最も詳細・法的義務

マイソクは「興味を持ってもらうための入口」です。詳細情報を全部入れるのではなく、「この物件、気になる」「問い合わせてみよう」と思ってもらうことが目的です。

マイソクを使う主なシーン

シーン相手マイソクの役割
他社仲介会社への情報提供客付け会社の担当者「買主候補がいそうか」を判断してもらう
法人・投資家への初回提案買主候補の担当者「詳しく見てみようか」と思ってもらう
業者会・ネットワーキング同業者・専門家「知人に合いそう」という紹介を促す
ポータルサイトへの掲載一般購入検討者検索結果でクリックしてもらう

マイソクの種類と用途別フォーマット

マイソクは配布先・物件の種類によってフォーマットを変えるのが効果的です。

種類配布先重視する情報フォーマットの特徴
収益物件型投資家・資産運用法人利回り・CF・出口戦略数字を大きく・収支シミュレーション付き
事業用地型開発業者・建設会社容積率・接道・建蔽率図面・公図・測量図を添付
店舗・事務所型テナント探しの法人面積・坪単価・現況内装写真・見取り図を重視
他社仲介向け型客付け会社の担当者手数料・申し込み条件・決済時期A4 1枚で完結・連絡先大きめ

「全員に同じマイソクを送る」から「相手に合わせてフォーマットを変える」に切り替えるだけで、問い合わせの質と量が変わります。

マイソクに必要な「10の記載項目」

マイソクには「必須(法律・自主規制)」「基本(業界慣習)」「推奨(差別化)」の3段階があります。

必須記載項目(不動産公正競争規約による義務)

全国宅地建物取引業協会連合会 不動産公正競争規約(2024年版) に基づき、以下の項目は必ず記載します。

#必須項目記載例
1物件の種別一棟マンション・事業用土地・区分店舗 等
2所在地○○都○○区○○(地番または住居表示)
3面積土地○○㎡・延床○○㎡
4売買価格○○万円(消費税込/別 を明記)
5取引態様売主・専任媒介・一般媒介 等
6会社名・免許番号○○不動産(株)宅地建物取引業者 ○○知事(○)第○○○○号

基本記載項目(業界慣習・ほぼ必須)

#基本項目記載例
7最寄り駅・徒歩分数○○線○○駅 徒歩○分(80m=1分換算)
8建物構造・築年数RC造 築○年(○○年築)
9用途地域商業地域・準工業地域 等
10問い合わせ先担当者名・電話番号・メールアドレス

推奨記載項目(差別化・情報追加)

上記に加えて以下を入れるとマイソクの質が上がります。

  • 表面利回り・実質利回り(収益物件の場合)
  • 現況・入居状況(満室・空室率)
  • 接道状況(幅員・公道/私道)
  • 設備・スペック(エレベーター・駐車場台数等)
  • 物件のキャッチポイント(再開発エリア・容積率の余裕等)
  • 引渡し時期(即日・相談・○月以降等)

成約率が上がるキャッチコピーの書き方

記載項目が揃っていても、キャッチコピーが弱いと読まれません。マイソクで最初に目に入るキャッチコピーが、問い合わせ率を左右します。

NG例 vs 改善例の比較(5パターン)

#NGコピー改善例改善のポイント
1「好立地の収益物件」「表面利回り7.2%・○○駅徒歩3分の一棟マンション」数字で具体化
2「人気エリアの土地」「○○区・容積率400%・角地・坪単価○○万円台」投資家が判断できる情報を入れる
3「格安!お買い得」「同エリア相場より○%低い設定(成約事例:○○万円)」比較根拠を入れる(最上級表現はNG)
4「収益性の高い物件」「満室稼働中・年間賃料収入○○万円・CF試算○○万円/月」具体的な数字で価値を見せる
5「要問合せ」「非公開物件・○○万円台(詳細はお電話で)」「なぜ非公開か」を明確に

最上級表現の注意点: 不動産公正競争規約では「最高」「格安」「激安」「お買い得」「値ごろ」などの最上級・優良表現は原則禁止です。使う場合は客観的な根拠(「同エリア相場比○%低い」など)が必要です。

用途別キャッチコピーテンプレート

収益物件(一棟マンション・アパート・ビル)

表面利回り○%・実質利回り○%
○○線○○駅 徒歩○分
満室稼働中(入居率○%)
年間賃料収入○○万円

事業用地・開発用地

○○区・容積率○%・建蔽率○%
角地・接道○m(公道)
○○㎡(約○坪)
○○駅 徒歩○分・再開発エリア隣接

区分店舗・事務所

○階・専有面積○○㎡(約○坪)
○○駅 徒歩○分・1階路面店
現況:空室(即入居可)
保証金○ヶ月・賃料○○万円
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レイアウト・デザインの基本ルール

どんなに情報が正確でも、レイアウトが悪いと読まれません。

視線の流れと情報の優先順位

人の視線は自然に「左上→右上→左下→右下」(Z型)または「左上→左下→右上→右下」(F型)に動きます。マイソクの情報配置はこの視線の流れに沿わせます。

推奨レイアウト(A4縦・1枚)

┌────────────────────────────────┐
│ 【上段】キャッチコピー+物件名(最重要情報) │
├────────────┬───────────────────┤
│            │ 価格・利回り・面積      │
│  物件写真   │ (数字を大きく)        │
│  (メイン) │                       │
│            │ 最寄り駅・徒歩分数      │
├────────────┴───────────────────┤
│ 【中段】基本スペック一覧(表形式)          │
│ 所在地/面積/構造築年/用途地域など        │
├────────────────────────────────┤
│ 【下段】特記事項・問い合わせ先・会社情報    │
└────────────────────────────────┘

情報の優先順位:

  1. 価格・利回り(最大フォント)
  2. 物件名・所在地(大きめ)
  3. 最寄り駅・徒歩分数(中程度)
  4. 基本スペック(標準)
  5. 特記事項・免許番号(小さめ)

物件写真の選び方と配置

マイソクの写真は「見たい・来てみたい」という気持ちを作ります。

写真の選び方推奨NG
アングル正面・外観・全景が分かる構図暗い・斜め・一部しか見えない
時間帯日中・晴れ・順光夜間・曇り・逆光
枚数1〜3枚(外観必須・内部追加)10枚以上詰め込む
加工コントラスト調整・明るさ補正まで実際より良く見せる過度な加工

いえらぶコラム 不動産広告における写真効果調査(2025年) によれば、高品質な写真を使ったマイソクは、そうでないものと比べて問い合わせ率が平均2.1倍高くなる結果が出ています。

マイソク作成でよくある7つのNGパターン

良かれと思ってやっている行動が、逆効果になっているケースがあります。

NGパターン1:情報を詰め込みすぎる 余白がなく情報で埋め尽くされたマイソクは、「どこを見ればいいか分からない」と感じさせます。A4サイズなら情報量は7〜8割に抑え、余白で視線を誘導します。

NGパターン2:価格を小さく書く 「価格が目立つと値引き交渉が来やすい」と思って価格を小さく書くと、逆に問い合わせ自体が減ります。判断基準となる価格・利回りは大きく明示することが正解です。

NGパターン3:規約違反の表現を使う 「激安」「格安」「最高の立地」などの最上級表現は、不動産公正競争規約により規制されています。違反表現を使うと信頼性が下がるだけでなく、業界内での評判にも影響します。

NGパターン4:問い合わせ先が分かりにくい マイソクを見て「いいかも」と思ったとき、電話番号やメールが小さすぎて見つからないと機会を逃します。担当者名・電話・メールは視認性の高い場所に配置します。

NGパターン5:写真が古い・暗い 「物件に写真がない」「古い写真を使い回している」は問い合わせ率を大きく下げます。季節・時間帯・清掃後に撮影した最新写真を使います。

NGパターン6:徒歩分数の計算が間違っている 不動産広告で徒歩分数は「80m=1分」の換算が義務付けられています(端数は切り上げ)。Google マップの徒歩時間とは異なることが多いため、必ず正しく計算します。

NGパターン7:更新されていない情報を使い続ける 価格変更・成約済み・条件変更があったのにマイソクを更新せず配布し続けると、受け取った側の信頼を失います。変更が生じたら即日更新・再配布が基本です。

マイソクの「配布戦略」設計

良いマイソクを作っても、届かなければ意味がありません。配布先と方法を設計することで、同じ物件でも問い合わせ数が変わります。

配布先の優先順位

優先度配布先配布方法期待する反応
★★★過去に案件を共有した仲介会社メール+一言添え書き「買主候補がいる」「興味あり」
★★★地元エリアで活動する仲介会社FAX+メール「条件に合う顧客がいる」
★★投資家ネットワーク・業者会メール一斉配信「詳細を教えてほしい」
★★レインズ掲載(専任・専属専任の場合)システム登録他社客付けからの問い合わせ
SNS・コラム経由公開情報として掲載一般層からの問い合わせ

効果的な配布タイミング

初回配布(媒介契約締結直後): できるだけ早く配布します。レインズ登録義務(専任:7日・専属専任:5日以内)と合わせて、最初の2〜3日に集中的に情報を広げることが成約スピードを上げるカギです。

フォロー配布(2〜4週間後): 初回配布後に反応がなかった会社に「価格調整しました」「引渡し時期が変わりました」などの変更情報を添えて再配布します。同じマイソクを送るより、変化を起点にした再送の方が開封率が上がります。

定期更新配布(1〜2ヶ月後): 写真を追加した・内覧可能日を設定した・売主が条件交渉に応じる姿勢になった、などの変化を「アップデート版マイソク」として配布します。

配布時の一言添え書きの重要性

マイソクをメールで送る際、本文に一言添え書きを入れると反応率が変わります。

NG(本文なし):

件名:物件情報のご案内
添付:マイソク.pdf

推奨(添え書きあり):

件名:【○○区・利回り7%】収益物件のご案内

○○様

先日ご相談いただいていた「○○区・利回り6%以上」
の条件に近い物件が出ましたのでご連絡します。
満室稼働中で、今月中の成約希望です。
詳細は添付のマイソクをご確認ください。

ご不明点あれば、お電話でもご説明します。

添え書きで「なぜこの会社に送ったか」が伝わると、開封・確認率が大幅に上がります。

AI・スマッチュで作成を効率化する

マイソク作成の最大の工数は「物件情報の入力」と「テキスト作成」です。AIを活用することで、この工数を大幅に削減できます。

スマッチュが自動化するフロー

ステップ従来の作業スマッチュ活用後
物件情報の収集PDFから手動でコピー(30分〜1時間)PDFをアップロードするだけで自動抽出(3分)
スペックの整理Excelに手動入力・計算AI抽出データをそのまま活用
キャッチコピーの作成ゼロから考える(10〜30分)AI生成のベースを修正(5分)
テンプレートへの流し込みコピペ作業(10〜20分)自動生成された下書きを確認(2〜5分)
合計工数50分〜1.5時間/件10〜15分/件

特に「元付け会社からPDFを受け取り、自社マイソクとして整形して他社に配布する」というフローが、AIによって大幅に効率化されます。

AI活用で変わる物件紹介の質

AIは単なる時間短縮ツールではありません。物件情報の見落とし・記載漏れのリスクを下げるという品質向上効果もあります。

手動でマイソクを作ると「利回り計算を間違えた」「面積の単位が違った」「免許番号を記載し忘れた」というミスが起きやすいです。AIが自動抽出・確認することで、こうした基本的なミスが大幅に減ります。

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まとめ:マイソク作成 完全チェックリスト

この記事のポイントをまとめます。

項目要点
必須記載項目種別・所在地・面積・価格・取引態様・会社情報の6項目は必ず
キャッチコピー数字+メリットの組み合わせ。最上級表現は禁止
レイアウトZ型視線・価格は大きく・余白を確保
写真日中・順光・最新写真。問い合わせ率2.1倍の差
NGパターン詰め込み・価格小さく・規約違反・更新なしは避ける
AI活用情報抽出から下書き生成まで50分→10分に短縮

マイソク作成 即日チェックリスト:

  • 必須6項目(種別・所在地・面積・価格・取引態様・会社情報)が記載されている
  • 徒歩分数が80m=1分換算で正しく計算されている
  • 最上級表現(格安・お買い得・最高等)を使っていない
  • 価格・利回りが大きく見やすい場所に配置されている
  • 日中・順光の外観写真が入っている
  • 問い合わせ先(担当者名・電話・メール)が見つけやすい
  • 最新情報に更新されている(価格変更・成約済みの場合は差し替え済み)

マイソクは「物件の代理人」です。担当者が直接説明できない場面で、物件の代わりに自己紹介をします。手間をかけた1枚のマイソクが、1件の問い合わせを生み、1件の成約につながります。

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著者:中西 潤平(スマッチュ代表)