レインズ完全活用ガイド|BtoB仲介で勝つ!5つの使い方・月33万件のデータを先取りする方法
物件情報処理

レインズ完全活用ガイド|BtoB 不動産仲介で物件情報と買主ニーズを先取りする 5 つの使い方【2026 年版】

レインズは「登録するもの」から「先取りするもの」に変わります。月 33 万件が流通するレインズを BtoB 売買仲介で最大活用する 5 つの使い方——物件先取り・買主ニーズ把握・市場動向分析・マッチング連携まで実践的に解説します。

レインズ物件情報BtoB不動産仲介マッチング業務効率化

レインズを使っていますか?——「もちろん」と答える不動産仲介担当者はほぼ全員のはずです。では「レインズを活用していますか?」と聞かれたらどうでしょうか。

多くの担当者にとってレインズは「物件を登録するシステム」です。しかし、レインズには月 33 万件の物件情報が流通しており、その中には競合より先に動ける案件、売主への逆提案に使える需要情報、法人・投資家への提案材料になる市場データが眠っています。

この記事では、BtoB 売買仲介の担当者がレインズを「先取り活用するシステム」に変えるための 5 つの使い方を解説します。


レインズとは何か|不動産仲介担当者が知るべき基本と BtoB 仲介での使い方の違い

レインズの基本

レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)は、国土交通省が管轄する不動産流通標準情報システムです。宅地建物取引業法に基づき、専任媒介・専属専任媒介契約を締結した物件は一定期間内にレインズへの登録が義務付けられています。

全国を 4 つのブロックに分けて運営されており、会員(宅建業者)のみがアクセスできます。

会員種別と権限

会員種別主な権限
宅建業者(一般会員)物件登録・検索・成約情報の閲覧
指定流通機構システム運用・データ管理

個人やエンドユーザーはアクセスできないため、**「レインズに載っている情報は業界内での情報」**として扱われます。これが、レインズをいち早く活用することで競合より先に動ける理由です。

住宅仲介と BtoB 仲介でのレインズの使い方の違い

比較軸住宅仲介BtoB 売買仲介(事業用・収益)
検索の主目的エンドユーザー向け物件探し法人・投資家・オーナー向け投資用・事業用物件探し
重視する条件エリア・間取り・駅徒歩利回り・用途地域・容積率・賃料収入
使う情報物件詳細・写真成約事例・相場・市場動向データ
需要側活用あまり使わない「物件求む」情報を積極活用

BtoB 仲介でレインズを真に活用するには、「物件を探す」だけでなく「市場を読む」「需要を把握する」視点が必要です。


なぜレインズ活用で差がつくのか|月 33 万件のデータが持つ可能性

流通量の実態

不動産流通推進センターの統計 によると、2024 年のレインズ新規登録件数は 4,161,677 件(月平均 346,806 件)。神戸 SAKIGAKE の分析 では 2025 年の登録は約 **394 万件(月 33 万件規模)**と推計されています。

毎月 33 万件の物件情報がレインズに登録されている——これは 1 日あたり約 1 万件以上の新着情報が発生していることを意味します。

新規登録件数月平均前年比
2024 年4,161,677 件346,806 件−2.3%
2025 年(推計)約 394 万件約 33 万件−5.3%

登録件数は減少傾向にありますが、それでも月 33 万件という膨大な情報量です。この中から自社の顧客に合う案件を素早く見つけられるかどうかが、成約率の差を生みます。

活用できていない現場の実態

スマッチュの運営観測では、業者ネットワークが育った担当者のもとに月 300 件超の物件情報が流入しています。しかし実際に処理できているのは 30〜50 件 / 月。残り 250〜270 件は「見るだけ」か「流す」で消えていきます。

レインズも同様です。登録義務があるため「とりあえず登録する」担当者がいる一方、システムを開いてもどう使うかが分からず「見るだけ」になっている担当者が多い。この活用格差が、成約率の差に直結しています。

レインズ活用が BtoB 仲介で特に重要な理由

事業用・収益不動産の案件は物件数が少なく、良い案件は登録から数日以内に動きが決まります。「登録されてから 1 週間後に気づいた」では遅い。BtoB 仲介では**「新着に最速で反応する仕組み」**を持っているかどうかが、成約率を大きく左右します。


使い方①:新着物件を競合より早く見つける検索テクニック

BtoB 仲介向けの検索条件設定

レインズの検索機能は、条件を正しく設定しているかどうかで見つかる物件数が大きく変わります。BtoB 仲介で使える主な絞り込み条件:

条件項目BtoB 仲介での設定例
物件種別一棟マンション・一棟アパート・事務所・店舗・工場・倉庫・土地(事業用)
価格帯顧客の予算レンジ(例:5,000 万〜3 億円)
利回り5% 以上(収益物件の場合)
エリア顧客の希望エリア(複数設定可)
登録日「本日登録」「昨日登録」等で新着を先取り

「登録日絞り込み」が最強の先取りテクニック

多くの担当者は登録日を指定せずに検索しています。しかし、競合より先に動くためには**「今日登録された物件」から始める習慣**が重要です。

朝イチでレインズを開き、「本日登録」で自分の担当エリア・物件種別を検索する——これだけで、同じ情報を見ている競合より数時間早く売主・仲介会社に連絡できます。

検索結果の確認と初動対応

新着物件を見つけたら、以下の手順で初動を決めます。

  1. 物件の基本情報を確認(エリア・価格・利回り・築年・用途地域)
  2. 顧客ニーズとの照合(条件が合う顧客はいるか)
  3. 売主側仲介会社に連絡(「この物件に興味のある顧客がいます」)
  4. 顧客への提案準備(概要書作成・提案メール文の下書き)

登録されてから 24 時間以内に動けるかどうかが、BtoB 仲介における競合優位の分岐点です。事業用・収益物件は物件数が限られているため、「良い物件を見つけてから動く」ではなく「良い物件が出たら即動ける準備が整っている状態」を作ることが重要です。

レインズの検索で見落としがちな条件

BtoB 仲介担当者がよく見落とす検索条件:

  • 現況:「空室」か「稼働中(賃貸済)」か(投資家には稼働中が人気・法人には空室が必要なことも)
  • 用途地域:商業地域・近隣商業・準工業など、法人の事業用途に合うか
  • 容積率・建蔽率:建て替え・増築を検討している法人には特に重要
  • 土壌汚染・埋蔵文化財:事業用地では事前確認が必須

これらを顧客の属性・目的に合わせて条件設定することで、不要な物件を除外し、本当に提案できる物件だけを効率よく見つけられます。


使い方②:新着アラートを設定して毎朝「先取り情報」を受け取る

アラート設定の実践法

レインズには「登録物件アラート機能」があり、設定した条件に合う物件が登録されると通知が届きます。顧客ごとに条件を設定しておくことで、**「この顧客に合う物件が出たらすぐ分かる」**状態を作れます。

アラート設定の手順:

  1. 顧客の希望条件(エリア・物件種別・価格・利回り等)を登録
  2. 条件に合う新着物件が登録されたら通知
  3. 通知を受けたら当日中に売主側の仲介会社に連絡

重要:アラートを設定しても通知を見落としたり、連絡を翌日に回すと意味がありません。「通知が来たら 2 時間以内に動く」ルールを自分の中で決めることが先取り活用の核心です。

アラート設定の優先順位

顧客が多い場合、全員分のアラートを設定すると通知が大量になります。以下の優先順位でアラートを設定します。

  1. A ランク顧客の条件(直近 3 ヶ月に案件相談があった顧客)— 最優先・条件を絞って設定
  2. B ランク顧客の条件(半年以内に接触があった顧客)— 広めの条件で設定
  3. 市場観測用(特定エリア・物件種別の相場把握)— 成約事例の把握目的

A ランク顧客のアラートが鳴ったときだけ即日対応し、B ランク・市場観測は週次でまとめて確認する——このメリハリが、情報過多を防ぎながら先取り効果を最大化する方法です。

顧客ニーズとアラートの紐付け

アラートは「物件条件」だけでなく「顧客」と紐付けて管理することで、通知が来た瞬間に「誰に提案すればいいか」がすぐ分かります。

顧客設定しているアラート条件
A 投資家(RC 一棟・利回り 5%〜・首都圏)RC 造・一棟マンション・利回り 5% 以上・首都圏
B 法人(事業用地・300 坪〜・大阪市内)土地・300 坪以上・大阪市・事業用途
C オーナー(買い替え検討・小規模収益)一棟アパート・4,000 万〜1.2 億・関西圏

使い方③:「物件求む」情報を活用して売主にアプローチする

需要側情報とは

レインズには売り物件情報だけでなく、「このような物件を探しています」という需要側(買主・借主)の登録情報があります。これを活用することで、**「売主に先に提案できる」**逆アプローチが可能です。

逆提案の具体的な使い方

  1. レインズで「物件求む」情報を確認
  2. 自分が持っている売主候補(既存顧客・紹介ルート)と照合
  3. 「このような条件で買いたい法人がいます」と売主に連絡

「売りたいけど、条件の合う買主が見つかるか不安」と思っているオーナーにとって、「すでに買いたい人がいます」という情報は強力な動機づけになります。

BtoB 仲介で需要側情報が特に有効な理由

事業用・収益物件の売主(法人・オーナー)は、エンドユーザーと違い「いつかは動くかも」という潜在的な売却意向を持っているケースが多いです。明確な売却意思がない売主でも、「こんな需要があります」という情報があれば動き始めることがあります。

逆提案の成功パターン

逆提案が成功しやすいのは、以下のシナリオです:

①相続不動産の整理:相続で複数の物件を引き継いだオーナーに「この物件を探している法人がいます」と連絡すると、「実は売ることも考えていた」という話に発展することがあります。

②法人の遊休資産:使われていない事業用地や収益性の低い物件を保有している法人に「この条件で買いたい会社がいます」と情報提供すると、社内の検討を動かすきっかけになります。

③買い替えのタイミング:現在保有している物件の管理が大変になってきたオーナーに「あなたの物件に興味のある投資家がいます」と伝えると、買い替え検討が始まることがあります。

いずれも「売ってください」という売り込みではなく、「こういう需要があります」という情報提供から始めるのがポイントです。相手にとって役立つ情報として受け取られるため、関係を壊さずにアプローチできます。


使い方④:成約事例・市場動向を法人・投資家への提案に使う

成約事例データの活用

レインズには過去の成約事例が蓄積されており、「このエリアで似た物件がいくらで決まったか」を確認できます。このデータは、法人・投資家への提案で非常に強力な武器になります。

活用シナリオ:

  • 投資家への利回り根拠:「このエリアの類似物件は直近 6 ヶ月で表面利回り 5.2〜6.8% で成約しています。今回の物件は 5.5% なので市場水準です」
  • 法人への事業用地提案:「隣接エリアで同じ用途地域の土地が 3 ヶ月前に ¥○○ 万 / 坪で成約しました。今回の価格は適正範囲内です」
  • オーナーへの売却提案:「直近 1 年で同条件の一棟マンションが平均 ¥○○ 億で成約しています。今が売り時です」

市場動向を「温め施策」に使う

顧客ランク B(中温度)の法人・投資家に送る情報提供として、レインズの市場動向データは最適です。「担当エリアの直近成約事例まとめ」を定期的に送ることで、接触機会を作りつつ価値提供ができます。

具体的には以下のような内容でまとめて送ると効果的です:

  • 直近 3 ヶ月で成約した類似物件の価格帯・利回りの範囲
  • 在庫件数の推移(増えているか・減っているか)
  • 平均成約日数(市場の動きが速いか遅いか)

「このエリアは在庫が減ってきています。今後は希望条件の物件が出にくくなる可能性があります」という情報は、休眠していた B ランク顧客を A ランクに引き上げるきっかけになります。市場動向は単なる情報ではなく、顧客の意思決定を動かすレバーとして使います。


使い方⑤:レインズ × スマッチュでマッチングを自動化する

手動マッチングの限界

レインズで新着物件を見つけても、「この物件に合う顧客は誰か」を頭の中で照合するのは時間と記憶力が必要です。顧客が 50 人・100 人になると、手動での照合は現実的ではありません。

スマッチュとの連携

スマッチュでは顧客ごとの希望条件(エリア・物件種別・価格・利回り等)を登録しておくことで、レインズで見つけた物件情報を入力(または PDF アップロード)するだけで条件が合う顧客を自動で抽出できます。

流れ:

  1. レインズで新着物件を発見
  2. 物件概要書 PDF をスマッチュにアップロード
  3. AI が物件条件を自動抽出
  4. 登録済みの顧客ニーズと自動マッチング
  5. 合致した顧客への提案メール文を自動生成

レインズで先取りした情報を、スマッチュで即座に提案に変える——この流れを仕組み化することで、競合より早く・多く・質の高い提案ができます。

手動マッチングとシステムマッチングの比較

作業手動マッチングスマッチュ活用
物件情報の読み取り担当者が見て記憶PDF アップロード → AI が自動抽出
顧客との照合頭の中で照合(記憶依存)登録条件と自動照合
提案メール作成一から文章を書く(30〜60 分)自動生成の下書きを微修正(3〜5 分)
記録・履歴管理個人のメモ帳や Excelシステムに自動記録
担当者が変わった場合照合の仕組みが消える条件・履歴がそのまま継承

顧客が 10〜20 名のうちは手動でも回りますが、50 名・100 名になると手動照合は物理的に限界です。レインズ先取りの効果を最大化するためには、マッチングの仕組み化が必須です。


レインズ活用の 5 つの落とし穴と対策

レインズを活用し始めると、いくつかの落とし穴にはまりやすいです。事前に知っておくことで回避できます。

落とし穴内容対策
①情報の鮮度を軽視する登録から数日経った物件に連絡しても「もう動いています」と言われる「本日登録」フィルターを毎朝確認。通知後は当日中に動く
②重複登録に気づかない同じ物件が複数の会社から登録されている場合がある住所・建物名・面積・価格を複合チェック
③条件を広く設定しすぎる大量の物件がヒットして処理できない顧客ごとの具体的な条件を事前に整理し、狭く深く検索
④アラートを設定して満足する通知が来ても「後で見よう」で数日放置通知を受けたら 2 時間以内に動くルールを決める
⑤検索結果を記録しない良い物件を見つけても顧客への連絡記録が残らないスマッチュ等に「いつ・どの物件を・誰に提案したか」を必ず記録

「登録義務」をビジネスチャンスに変える発想転換

レインズへの登録は義務ですが、他社の登録情報は「競合が持っている情報を全て見られる」という特権でもあります。この視点を持つだけで、レインズの使い方が受動的な義務から能動的な情報収集に変わります。

成約事例・市場動向・需要情報を含め、レインズは不動産仲介担当者が無料でアクセスできる最大の業界データベースです。このデータをどれだけ活用できるかが、BtoB 仲介の担当者間の差を生みます。


参考資料・出典

著者:中西 潤平(スマッチュ代表)