
【不動産仲介】専任媒介を勝ち取る 5 つのプレゼン技術
「他社にも頼んでます」と言われた瞬間に読む 1 本。一般媒介ではなく "専任媒介" を勝ち取るための 5 つのプレゼン技術を、査定資料・差別化トーク・販促提案の観点から整理します。
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「実は、他社さんにも査定をお願いしていまして……」
不動産仲介の営業マンなら、媒介プレゼンの場で何度も聞いたことがあるフレーズだと思います。一生懸命に査定書を準備して、丁寧に説明しても、最後に「検討してから決めます」と言われて 1 週間音沙汰なし。気がつけば他社が専任を取っていた——。
専任媒介は、不動産仲介の 最大の山場 です。1 社限定の契約だから、3 社競合の中で 1 社だけが勝ち取れる。負けたら何時間もかけた準備がゼロになる。
しかし、「専任が取れる営業マン」と「いつも一般で終わる営業マン」の差は、才能でも経験年数でもありません。プレゼンの "5 つの技術" を持っているかどうかだけです。
第 23 回となる今回は、専任媒介を勝ち取るための 5 つのプレゼン技術を、現場で使える形で解説します。読み終わる頃には、次のプレゼンで「他社にも頼んでます」を覆す具体的な打ち手が見えているはずです。
【30 秒の結論】専任は "数字" ではなく "信頼" で取る
「査定額が一番高ければ専任が取れる」は、業界の最大の誤解です。
実際は、売主が専任を選ぶ理由は 査定額で 3 割、残り 7 割は "信頼" と "販売戦略の具体性"。
5 つの技術で、その 7 割を取りにいきます。 ① 事前準備 ② 査定提案 ③ 媒介種別トーク ④ 販促計画 ⑤ クロージング
なぜ専任媒介が "山場" なのか — 1 社限定契約の重み
まず、媒介契約の 3 種類を整理します。
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 契約できる業者数 | 複数 OK | 1 社のみ | 1 社のみ |
| 自己発見取引 | 可 | 可 | 不可(売主の知人にも売れない) |
| レインズ登録義務 | なし | 7 日以内 | 5 日以内 |
| 業者からの報告義務 | なし | 2 週間に 1 回 | 週 1 回 |
| 契約期間 | 任意(行政指導 3 ヶ月) | 3 ヶ月以内 | 3 ヶ月以内 |
売主からすれば、専任媒介は 「1 社に任せる代わりに優先的に動いてもらう」契約。一般媒介より縛りが強い分、業者を慎重に選びたいのが本音です。
専任を取れる営業マンの割合
業界全体で見ると、媒介プレゼン 1 件あたりの専任獲得率は以下のようになっています。
| 営業マンの層 | 専任獲得率 |
|---|---|
| 新人(経験 1〜2 年) | 10〜20% |
| 業界平均 | 30〜40% |
| 成績上位 20% | 70〜80% |
第 22 回(年収を 1.5 倍にする 5 つの戦略)で触れた通り、年収方程式の中で 客単価 を上げる最大のレバーが「両手仲介=専任獲得」です。専任獲得率が 30% から 60% に上がるだけで、年商は劇的に変わります。
ここから 5 つの技術を順番に解説します。
技術① 【事前準備】売主と物件を 3 倍深く理解する
ポイント:プレゼン前の 30 分が勝負を決める
専任を取る営業マンは、プレゼン当日の話術が優れているのではありません。プレゼン前にやる準備の量と質 が、他社と決定的に違います。
準備不足の営業マンが起きる現象
- 査定書は作ったが、売主の事情を聞いていない
- 物件の特徴を 登記簿と現地写真しか見ていない
- 周辺の競合事例を 3 件も把握していない
- 売主の質問に「持ち帰って調べます」を 連発する
これでは、売主から「この人で大丈夫かな……」と思われて当然です。
準備で押さえる 3 つの軸
| 軸 | 何を準備するか |
|---|---|
| ① 売主の事情 | なぜ売るのか / いつまでに売りたいか / 売却後の住み替え予定 / 家族構成 |
| ② 物件の特徴 | 築年数・面積・接道・容積率・近隣環境・物件のセールスポイント 3 つ |
| ③ 周辺の競合事例 | 半径 500m 以内の成約事例 5 件・現在売出中 5 件・成約までの平均期間 |
第 5 回(顧客ヒアリング 8 項目)で解説した買主向けのヒアリング技術は、売主にもそのまま使えます。「なぜ・いつまでに・どれくらいの価格で」を 数値で確定 させてからプレゼンに臨むだけで、提案の精度が劇的に変わります。
「この人、うちのことを誰よりも理解してくれている」と感じてもらえれば、それだけで信頼の 5 割は獲得できます。
技術② 【査定提案】高額査定で釣らず "根拠" で勝つ
ポイント:査定額の高さ ≠ 専任獲得
不動産仲介で最も誤解されているのが、「査定額が一番高ければ専任が取れる」という考えです。実際は逆。
「高額査定で釣る」が失敗する理由
| 状況 | 何が起きるか |
|---|---|
| 他社:4,500 万円 / 自社:5,500 万円 | 売主は 「自社のほうが正直そう」 と疑い始める |
| 5,500 万円で専任を取る | 3 ヶ月売れず、値下げ提案する羽目に |
| 売主の信頼を失う | 結局 4,500 万で売却 + 値下げ交渉まで疲弊 |
売主は、これまで複数の事例を見ています。「高い査定額を出して契約を取り、後で値下げを迫る」という業界の悪習を 知っている人ほど警戒する。
根拠で勝つ査定書の作り方
- 周辺の 成約事例 5 件 を実名(番地は伏せて)で提示
- 査定額の根拠を ㎡単価 × 面積 + 補正係数 で説明
- 想定売却期間(◯ヶ月以内に成約する確率 ◯%)を明示
- 「売主が期待する価格」を最初に聞き、その上で「市場が認める価格」を提示
「査定額は他社より低いかもしれません。でも、その代わりこの価格なら 3 ヶ月以内に売れます」という伝え方のほうが、長期的には信頼を勝ち取れます。
「この人は数字を盛らない」と判断された瞬間、専任獲得の確率は跳ね上がります。
技術③ 【媒介種別トーク】売主メリットから専任を選ばせる
ポイント:専任の "縛り" を売主のメリットとして見せる
「専任媒介は 1 社に絞らないといけないんですよね?」と売主が言ってきた時、どう答えるか。
ここで「はい、そうです」とだけ答えると、売主は「だったら一般にして複数社に頼みたい」となります。専任の縛りを売主のメリットに翻訳する のがこの技術の核心です。
NG トーク vs OK トーク
| 場面 | NG トーク | OK トーク |
|---|---|---|
| 「専任は 1 社のみ?」 | 「はい、1 社のみです」 | 「はい。だからこそ 私たちが本気で動きます。複数社競合だと、業者は売れる確率の低い物件に時間を使わなくなりがちです」 |
| 「報告義務って何?」 | 「2 週間に 1 回、報告します」 | 「2 週間に 1 回、販売活動の内容と反響数を書面で報告する義務があります。専任契約だから、業者が動いているかどうかが見える化されるんです」 |
| 「レインズ登録って?」 | 「7 日以内に登録します」 | 「専任なら 7 日以内に 国の指定流通機構に登録する義務があります。全国の不動産業者に物件情報が共有される ので、買主の母集団が一気に広がります」 |
専任の「縛り」は、売主側から見ると "業者にちゃんと動いてもらえる保証" です。この翻訳ができる営業マンは、専任獲得率が 2 倍違います。
「一般のほうが得」という売主への切り返し
「複数社に頼んだほうが早く売れるのでは?」という質問には、こう答えます。
「実は逆なんです。複数社に頼むと、各社は "他社が成約するかもしれない" と思って動きが鈍くなります。1 社に絞ったほうが、その業者が 責任を持って 100% の力で動く ので、早期成約に繋がりやすいんですよ。」
数字で語れる場合は、業界統計(例:専任の平均成約期間 2.5 ヶ月 vs 一般の平均 4 ヶ月)を引用するとさらに説得力が増します。
技術④ 【販促計画】"何を・いつ・どこで売るか" を見える化
ポイント:「頑張ります」より「これをやります」
売主が業者を選ぶ最終決め手は、販促計画の具体性 です。「全力で頑張ります」「弊社のネットワークでお探しします」では、何も言っていないのと同じ。
抽象 vs 具体の対比
| 抽象的な販促トーク | 具体的な販促計画 |
|---|---|
| 「ネットワークを使って探します」 | 「契約日翌日から、レインズ・SUUMO・HOME'S に掲載。3 日以内に 自社ホームページにも掲載」 |
| 「広告を打ちます」 | 「契約 1 週間以内 にチラシ 3,000 部を周辺地域にポスティング」 |
| 「オープンハウスもやります」 | 「最初の 3 週間でオープンハウス 2 回開催。土日各 1 回・午後 1〜5 時」 |
| 「内見希望者を案内します」 | 「内見希望者には 24 時間以内に対応。1 週間以内に内見実施を確約」 |
具体的な日程と数字を伴った販促計画は、それ自体が 「この業者は本気で売る気がある」 という証拠になります。
販促計画の見える化シート
プレゼン用に A4 1 枚の販促計画シート を持参すると、説得力が劇的に上がります。
| 時期 | アクション | 想定反響数 |
|---|---|---|
| 契約日 | レインズ・SUUMO・HOME'S 掲載 | — |
| 〜1 週間 | チラシ 3,000 部ポスティング | 問合せ 5〜10 件 |
| 〜2 週間 | オープンハウス 1 回目 | 来場 3〜5 組 |
| 〜4 週間 | オープンハウス 2 回目 + 価格反応の振り返り | 来場 3〜5 組 |
| 〜2 ヶ月 | 価格戦略の見直し提案 + 追加販促 | 内見 2〜3 件 |
| 〜3 ヶ月 | 成約目標(成約率 65%) | 契約 |
このシートを見せた瞬間、売主の表情が変わります。
技術⑤ 【クロージング】売主の "もう一押し" を引き出す一言
ポイント:即決を狙わない・予約クロージング
プレゼンの最後に「では、専任でお願いできますか?」と即決を迫るのは、多くの場合 逆効果 です。売主は心の準備ができておらず、「他社の話も聞いてから決めます」と返ってきます。
即決クロージングが失敗する理由
- 売主は他社プレゼンを残している → 断りやすい状況 にある
- 即決を迫られると 警戒心が強くなる
- 「考えます」と言われた後、決断が 数週間先送り になる
- その間に他社が囲い込みをして、専任を取られる
予約クロージングという技術
第 17 回(顧客の意思決定 5 段階)で解説した通り、人は 未来の予定が決まっていると、それに向けて準備する 心理があります。これを応用します。
「今すぐ決めていただかなくて結構です。◯日後の午後 2 時に、契約書類を持ってもう一度伺います。それまでに他社のプレゼンも聞いていただいて、ご判断いただければ。」
このトークの効果は 3 つ。
- 即決を迫らない安心感 で売主の警戒心が下がる
- 次のアポを物理的に確定 することで、他社より先に決断機会を得る
- 「契約書類を持ってくる」と宣言することで、売主の心の中で "もう決めた感" が芽生える
「考えます」で終わらせず、必ず 次のアクションを予約 する。これが専任を取る営業マンの共通点です。
専任媒介を取れた後の落とし穴 — 売主への報告義務
専任媒介は、取った瞬間がゴールではなく、スタート です。専任契約には法律で定められた報告義務があり、これを軽視すると次回の契約更新で他社に流れます。
報告義務の活用法
| 媒介種別 | 報告頻度 | 報告内容 |
|---|---|---|
| 専任媒介 | 2 週間に 1 回 | 販売活動報告書 + 問い合わせ数 + 内見数 + 反響の傾向 |
| 専属専任媒介 | 週 1 回 | 同上 |
多くの営業マンは、報告義務を「面倒な事務作業」と捉えています。でも、トップ層は 「無料の信頼構築ツール」 として活用しています。
報告書を信頼構築ツールに変える 3 つの工夫
- 数字 + 解釈をセット で報告(「問い合わせ 5 件。うち 2 件は価格に対する反応が良好」)
- 翌週のアクション を予告(「次週はチラシを 5,000 部に拡大します」)
- 売主の質問・希望 を引き出す質問を最後に 1 つ入れる
第 19 回(紹介・口コミで成果を出す 5 つの工夫)で触れた通り、定期的な接触が信頼残高を積み上げます。専任契約期間中の 6 回 × 2 週ごとの報告 は、リピート・紹介に直結する貴重な接点です。
まとめ:専任媒介は "信頼" と "準備" の総和
不動産仲介の "山場" である専任媒介を勝ち取るための 5 つのプレゼン技術は以下の通りです。
- 【事前準備】売主と物件を 3 倍深く理解する(プレゼン前 30 分が勝負を決める)
- 【査定提案】高額査定で釣らず "根拠" で勝つ(数字を盛らない営業マンが信頼される)
- 【媒介種別トーク】売主メリットから専任を選ばせる(縛りをメリットに翻訳する)
- 【販促計画】"何を・いつ・どこで売るか" を見える化(A4 1 枚の販促シートで差別化)
- 【クロージング】売主の "もう一押し" を引き出す一言(即決ではなく予約クロージング)
専任獲得率を 30% から 60% に上げられれば、年収方程式の「客単価」が劇的に変わります。第 22 回(年収を 1.5 倍にする 5 つの戦略)の戦略③(客単価)を 本気で動かす ためには、専任獲得が避けて通れない道です。
スマッチュは、技術①〜②(事前準備・査定提案)の段階で営業マンを直接支援します。物件情報の整理、周辺成約事例の抽出、買主側の反響見込みの可視化など、プレゼン前に「3 倍深く理解する」をデータで支援 します。1 件ごとの準備時間を半分に短縮しながら、プレゼンの質を 2 倍に上げる感覚を、まず無料で体験してみてください。
次のプレゼンで「他社にも頼んでます」と言われた瞬間に、笑顔で 5 つの技術を発動できる営業マンに変わる。それが、専任媒介の達人への第一歩です。
著者:中西 潤平(スマッチュ代表)
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